木走日記

場末の時事評論

危機の今こそ経営者はリーダーシップを発揮し万難を排し組織を維持せよ

 我が目を疑うニュースが続いています。

 読売新聞電子版速報記事から。

日経平均リーマン・ショック超す下げ幅
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110315-OYT1T00237.htm?from=top

 いとも簡単に10000円割れした日経平均が今日(15日)になり9000円割れ、現在は8800円台にまで回復したものの一時8000円の大台も割り込みました。

 そして毎日新聞電子版速報記事から。

東日本大震災:高濃度放射能漏れ 福島4号機で水素爆発
http://mainichi.jp/select/today/news/20110315k0000e040029000c.html

 遂に格納容器損傷という事態が生じた模様です。

 先週の金曜日の大地震発生を境に何もかも人々の心理状態も含め一変してしまった日本列島なのであります。

 経営コンサルとITコンサルを生業にしている会社を経営している私も、昨日月曜日早朝から、クライアント20社からの問い合わせの対応に追われています。

 相談内容はすべて今回の「計画停電」に関してです。

 IT担当者には 社内LANを「計画停電」に対応させてどうダウンさせ復旧させるか、バックアップは必要かなどの技術的アドバイスをしながら「可能な限りシステムを先週までと同様に動かして下さい。サーバーは正しい手順で電源断すれば間違いなく復旧できます。あせらず手順を踏まえて停電終了後速やかにシステムを立ち上げて下さい」と強くお願いしています。

 経営者には「計画停電」による首都圏の鉄道ダイヤの混乱により「自宅待機」を余儀なくされている社員・スタッフの正確なリストを作成し、今週中にバイクや自転車あるいは会社近くに親族・親戚の家がないか、変わりの通勤手段を確立し、全社員の出勤率を先週までの通常時の状態に戻すよう強くアドバイスしています。

 工場を持つ会社には「計画停電」時間直前におけるラインの停止作業と直後のラインの回復作業のマニュアル化と時間計測をとり、1分でも早く停止と回復に掛かる時間の短縮につとめ、ラインの稼働率を先週までの水準に可能な限り近づけるようにお願いいたしています。

 もちろんこの状況で通常時の稼働状態に戻すことは至難なわけですが、私はクライアントに強く求めているのは「果たすべきことを果たせ」ということであります。

 先週までと同様、労働者は職場にいき元気よく働き、工場のラインはたくましくものを生産する、経営者たるもの、この非常時にこそリーダーシップを発揮して艱難辛苦をかき分けて力強くみなをひっぱていくべきです。

 このような非常時に「不謹慎」だと生産・消費を萎縮させることは逆にこの国の体力を減じさせると考えます。

 日本全体で考えれば今一番早急に対処しなければならないのは、被災地における人命救助や不足する救援物資の輸送、さらには原子力発電放射能漏れを何とかしてくい止めること、やるべきことのプライオリティははっきりしています。

 ただ、私たち被災地以外の一般の国民は、被災地における人命救助もましてや原子力発電放射能漏れの対処にもお手伝いすることはかないません、かえって作業のじゃまになるだけでしょう。

 私たちが今成すべきことは、先週までと同様に、労働しモノを生産しそしてモノを消費する、つまり健全な経済をできうる限り維持することに努めるべきです。

 この未曾有の災難において電力不足の中で、「計画停電」などの節約に協力しながら、しかし私は私の会社のクライアントの経営者達に「元気を出せ! いつものように働き、いつものようにモノを作って下さい」とお願いしています。

 そのような努力の繰り返し、その延長線上に首都圏経済の回復があると信じています。

 首都圏経済が元気を取り戻せば日本経済をしっかり下支えすると信じています。

 労働者が元気に職場で働けば、お昼にはそばのラーメン屋でおいしく食事することでしょう。

 OLは通勤をすれば、日曜などにいつもの美容院で髪をととのえることでしょう。

 小さなことのようですが、消費活動の連鎖を維持しなければなりません。

 今重要なことは、経営者がリーダーシップをとり、しっかりすべての労働者を働かせモノを生産する、先週までの状態に万難を排して復帰させる、あらゆる手段を講じるべきです。

 それがこの国の経済を支え、この国の体力を支え、しいてはこの国がこの災難から復興する原動力となると信じています。

 ・・・

 危機のときのリーダーシップとは、リスクマネージメントの質を上げ、対策のプライオリティをしっかり把握し、いかなる実現手段があるかしっかり考え、正しく部下を配置し、目的を明示し部下を鼓舞し、リーダーの責任において組織を動かすことです。

 そしてリーダーは冷静・沈着、部下達に安心感を与えるようふるまい、決して感情的にならないことも重要です、部下を怒鳴りつけることは組織を萎縮させ逆効果であると、あえて付け加えておきます。



(木走まさみず)