経団連・財界の意向を見事に反映する大新聞劣化カーボンコピー社説群
年頭会見で首相が示した重点対策は以下の3点でした。
・「平成の開国」(TPPへの参加)
・税制抜本改革(消費税引き上げを含む税制と社会保障の一体改革)
・政治とカネの問題へのけじめ(小沢一郎氏の政倫審喚問)
これに対する評価が8日までに各紙社説で出そろいました。
【朝日社説】首相年頭会見―本気ならば応援しよう
http://www.asahi.com/paper/editorial20110105.html
【読売社説】首相年頭会見 指導力を発揮して有言実行を
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110105-OYT1T00168.htm
【毎日社説】菅首相 有言実行しか道はない
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110108ddm005070113000c.html
【産経社説】首相年頭会見 言葉通り実行してみせよ
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110105/plc1101050237001-n1.htm
【日経社説】首相は今度こそ「有言実行」の約束果たせ
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E3E0E1E6E4E1E2E2E5E2E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
社説タイトルを並べて一目瞭然ですが、日本はいつから言論統制復活したのかと思うほどどの社説も内容が同じなのであります、おお、なんなんだこの劣化カーボンコピー社説群は(苦笑)・・・
まずは「その意気や良し」としておこう。今度こそ、ぶれず、ひるまず、掲げた目標をやり遂げてほしい。(朝日)
菅首相は今年こそ、首相・民主党代表として指導力を発揮し、有言実行を貫かねばならない。(読売)
政治不信を解消するためにも今度こそ首相の「有言実行」を求めたい。(毎日)
今年こそ不退転の決意で、最高指導者としての責務に当たってほしい。(産経)
有言実行内閣の看板が偽りだと言われないよう、不退転の決意で成果を上げてほしい。(日経)
各紙とも、TPPへの参加、消費税増税含む税制改革、小沢氏の「政治とカネ」問題追求、この3点には諸手を挙げて賛成しています、そして気持ち悪いほどまったく同じ論調同じキーワードを用いて菅政権を叱咤激励するのであります。
「今度こそ」「不退転」の決意で「有言実行」せよ、と。
不肖・木走は、熱烈なTPP参加支持者ですし、社会保障制度改革も含めた税制改革の議論も大いに深めることに異存ないですし、小沢氏の「政治とカネ」問題ではももともと厳しく氏を批判してきましたし、菅首相の年頭会見の内容は評価しています、していますが、しかしこのマスメディアの気持ち悪いシンクロ社説には、少し虫ずが走るのであります。
なんかちょっと言論空間が狭すぎませんかと。
メタボの中年親父5人組による完璧なシンクロナイズドスイミングを見せられたような、嫌な困惑と嫌悪感。
・・・
ここまで各紙社説の論調がそろうのはちょっとイヤだなと感じたのは、どうやら私だけではないようで、9日付け「しんぶん赤旗」記事から。
5紙「共同社説」!?
消費増税・TPP「有言実行」迫る
菅直人首相の4日の年頭会見に対し、全国紙5紙(「朝日」「読売」「日経」「毎日」「産経」)が8日までに、いっせいに中身のほぼ同じ社説を掲載しました。6月をめどに、社会保障財源を口実とした消費税増税と環太平洋連携協定(TPP)への参加方針を決めるとした菅首相に実現を迫るもので、見出しも各社横並びという異様な状況を呈しています。
(後略)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-09/2011010901_01_1.html
「見出しも各社横並びという異様な状況」と指摘しています。
記事は50年前の安保騒動のときの「7社共同宣言」に触れつつ、「メディア自身」が行き詰まっていると痛烈な批判で結ばれています。
うむ、「電通」と「朝日」が仕掛けた「7社共同宣言」ですか、懐かしい。
安保条約改定に対する国民的な反対が盛り上がった1960年6月、在京7紙が「7社共同宣言」を出し、国民の抗議行動を暴力視し政府を助けた歴史を思い起こさせます。
TPP参加には、農業団体にとどまらず日本消費者連盟、日本医師会なども懸念を表明。山形、富山、熊本各県では全市町村で反対の意見書が可決されるなど多くの自治体で反対意見書があがっています。消費税増税も多数の国民が反対しています。
自ら推進してきた「二大政党」の行き詰まりに焦り、増税か福祉切り捨てかの袋小路を迫る姿は、メディア自身の行き詰まりを示しています。
50年前の安保騒動のとき、国会前でのデモ活動に参加した樺美智子さんが圧死し、激しい抗議運動がピークになったまさに6月17日に、朝日、読売、毎日、産経、日経、東京、東京タイムスが共通で「議会政治を守れ」としたスローガンを掲げた社告を掲載いたします。
その内容は、安保闘争に冷や水を浴びせ政府にとって有利な内容でしたので、後に新聞労連からも「新聞が死んだ日」と酷評されることになるわけですが、この「7社共同宣言」ですが、仕掛けたのが広告代理店「電通」(吉田秀雄)と「朝日新聞社」(笠信太郎)らでありました。
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「赤旗」ではないですがメディアの論調が気持ち悪く揃うときはしっかりリテラシーしましょうね。
今回も電通が動いたなどとは証拠も無くいえませんが、大切なスポンサーである、経団連・財界の意向を各紙社説が反映しているのは間違いないでしょうから。
(木走まさみず)