木走日記

場末の時事評論

「小沢一郎を荒野へ追い放て、さもなくば日本は自滅だ!」(英エコノミスト誌記事)を補足する

 2日付け英エコノミスト誌の記事が強烈です。

Self-destruction
Japan’s ruling party should cast its most famous member, Ichiro Ozawa, into the wilderness
http://www.economist.com/node/16943663?story_id=16943663&CFID=142862019&CFTOKEN=14699975

 タイトルが"Self-destruction"すなわち「自滅」であります、でこのままでは何が自滅しちゃうのかといえばそれは日本であり日本の民主主義であり、サブタイトルで"Japan’s ruling party should cast its most famous member, Ichiro Ozawa, into the wilderness"、「日本の政権党は小沢一郎を荒野(あらの)へ追(お)い放(はな)て」と主張しています。

 記事は冒頭から強烈にかつ完全に“The Destroyer”破壊者でしかない小沢氏を否定します。

For the good of Japanese democracy, not to mention its own future, the DPJ must reject Mr Ozawa and all that he stands for.

 日本の民主主義の利益のために、言うまでもなく日本それ自身の未来のためも、民主党は小沢氏と小沢氏が象徴するものすべてを排除しなければならない。

 記事は呼びかけます。

Be brave

 勇気を出すべきだ。

 今こそ民主党は勇気を持って小沢氏と小沢的なもの一切を拒絶すべきあると主張します。

 小沢氏の特異な密室で物事を決める手法、恐喝的ときに独善的な昔ながらの政治手法や支持者に忠誠心を強要する手法を"Tribal politics"すなわち前時代の「部族政治」と批判します。

Tribal politics has no place in modern Japan. The country, trapped in a 20-year economic funk, needs bold leadership, not blind loyalty. The divisions in the party have already had worrying economic repercussions:

 部族政治など近代日本に居場所など全くないだろう。20年の経済的不安感で縛られているこの国に必要なのは、(小沢氏への)盲目の忠誠心などではなく、力強い指導力のはずだ。

 記事はこう結ばれています。

If the DPJ picks Mr Ozawa as Japan’s next leader, it can expect no mercy.

 もし民主党が日本の次期指導者として小沢氏を選ぶならば、容赦のない事態を招くことだろう。

 英エコノミスト誌は9日にも「ザ・ダーク・サイド」という強烈なタイトルで小沢氏批判記事を掲げています。

The dark side
Ichiro Ozawa has troubling connections. Yet some in Japan cast him as a saviour
http://www.economist.com/node/16992215?story_id=16992215&CFID=142862019&CFTOKEN=14699975

 サブタイトルで、やっかいな問題を抱える小沢一郎を救世主と信じている者たちが日本の中にいる、と、小沢支持者をまるで「信者」のような見立てで表現していますが、こちらの記事では「小沢氏を支持し続ける人たち」をその「支持理由」とともに批判しています。

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 小沢氏がもし総理大臣になるとしたらそれは日本の「自滅」を意味するだろうと主張する英エコノミスト誌なのであります。

 私は記事にある「民主党は小沢氏と小沢氏が象徴するものすべてを排除しなければならない」主張にまったく同意するものです。

 でも民意は圧倒的に菅氏を支持していますが、民主党の党員や支持者、国会議員・地方議員の投票行為はかならずしも一般国民の民意を反映した結果にはならないかもしれません。

 ならば私は小沢氏が総理大臣になることを支持します。

 どのみち菅政権が続いたとしても彼の指導力では日本経済を救うことなどできないでしょう。

 ならばこの閉塞状況をリセットすべきです。

 少々荒療治ですが小沢政権が誕生すれば国民の支持を失い民主党分裂は必至です。

 英エコノミスト誌は小沢政権では日本の未来があぶないと指摘していますが、私は小沢政権誕生で「自滅」するのはまず民主党政権だと思っています。

 日本が「自滅」する手前で「小沢政権」自体が必ず「自滅」するはずです。

 国民の支持・理解をまったく得られていない政権は瞬時に立ち行かなくなります、そしてそれは小沢を悪徳権力に逆らう「救世主」と信じている信者達の有する小沢神話なるものの終焉をも意味するでしょう。

 国民の支持のない無能なる政権は、日本の国益に短期的には危機を招くかも知れませんが、すぐに解散総選挙に追い込まれるはずです。

 皮肉な見方に聞こえるかも知れませんが、日本の将来のために、私は小沢政権の誕生を期待します。

 国民の支持のまったくない小沢政権は民主党を自滅に導くはずです。

 天空の城ラピュタの滅びの呪文は「パルス」でした。

 民主党に滅びの呪文はいりません。

 「破壊神」小沢に政権を執らせれば民主党は自滅します。



(木走まさみず)