木走日記

場末の時事評論

最新iPadの中身は半分メードインコリア

 米アップル社の新端末「iPad(アイパッド)」の売れ行きが好調であります。

 9日付け日経新聞紙面記事では、小売価格499ドルのiPadの原価が259ドルであったことをアメリカの調査会社がiPadを分解し分析結果を報告したと報じています。

 日本経済新聞電子版から当該記事を紹介。 

iPad部品、日本製の影薄く
韓台勢が台頭
2010/4/9 1:33日本経済新聞 電子版

 米アップルが米国で3日発売した新端末「iPad(アイパッド)」の売れ行きが好調だ。ゲームや音楽、電子書籍などが楽しめる多機能が人気で、世界では年間500万台以上の販売が期待される。その新端末に搭載さ…

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http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E2EAE293E18DE2EAE2E6E0E2E3E29C9CEAE2E2E2

 「続きをお読みいただくには、電子版の登録が必要です」か、なんだかなあ。

 米調査会社のアイサプライ社(iSuppli)がプレスリリースしたレポートの二次ソース報告記事なのに、有料ロックですか、オリジナルソースじゃない記事も有料化するのはどうなんでしょうね。

 日経記事はどうでもいいです、ネットは便利ですね、以下のアイサプライ社サイトでプレスリリース(一時ソース)を直接参照できるのでご紹介。

User-Interface iPad Changes the Game in Electronic Design,iSuppli Teardown Reveals
http://www.isuppli.com/News/Pages/User-Interface-Focused-iPad-Changes-the-Game-in-Electronic-Design-iSuppli-Teardown-Reveals.aspx

 要約しますと、「User-Interface iPad Changes the Game in Electronic Design」というタイトルで、iPadはこれまでのIT製品にない斬新な設計思想の製品であると分析しています。

 iSuppliが分解して調べてみたところ、ユーザーインターフェイス部品が占める割合が43.7%に上っており、分析を担当した主席分析官のAndrew Rassweiler氏は、iPadが世界のゲームを変えるポテンシャルを秘めていると指摘しています。

 また、iPadの設計はIT機器のコスト構造とコンテンツの新しいパラダイムを現出させたとし。これまでのパソコンはマザーボードを中心としていて、ディスプレイ、キーボード、オーディオなどは、周辺機器にすぎなかったのが、iPadではこれが逆転しているとその斬新さに驚嘆しています。

 すべてはヒューマンマシンインターフェイス、つまりユーザーの使いやすさを中心としている設計思想になっているということです。

 さてこの英文レポートには分解の結果、搭載されている各パーツの部品とそのメーカーが表になっています。

 この表ですね、日経記事が「iPad部品、日本製の影薄く韓台勢が台頭」と嘆いていたのは。

 表をメーカーとその国籍も見やすく改良して訳してみました。

iPadの16GBモデル、製造原価259.60ドルの内訳表

部品名 メーカー 価格
IPS液晶ディスプレイ LG Display社製 韓国 65.00ドル
タッチスクリーン Wintek社製 台湾 30.00ドル
PCB基板、コネクタなど --- --- 32.50ドル
バッテリー TechnologyDynapack社製 台湾 21.00ドル
マイクロプロセッサー Samsung社製 韓国 19.50ドル
モバイルSDRAM Samsung社製 韓国 7.30ドル
無線LANBluetooth、FMモジュールチップ Broadcom社製 米国 8.05ドル
タッチスクリーンコントローラー Broadcom社製 米国 2.30ドル
タッチスクリーンドライバー Texus Instruments社製 米国 1.80ドル
マルチオートコントローラー Broadcom社製 米国 1.40ドル
オーディオ機器 Cirrus Logic社製 米国 1.20ドル
電源管理チップ Dialog Semiconductor社製 ドイツ 2.10ドル
電源管理チップ Samsung Semiconductor社製 韓国 1.25ドル
その他の機器 --- --- 20.20ドル
NANDフラッシュメモリ Samsung Electronics社製 韓国 29.50ドル
筐体 --- --- 7.50ドル
合計 --- --- 250.60ドル
組み立て費 --- --- 9.00ドル

 ここで留意すべきなのは、これらのパーツのメーカーはアイサプライ社が今回分解したiPadの個体がたまたま載せていたわけですが、別のiPadの中では、パーツによってはその他のメーカーの部品が採用されているものもある点です。

 それにしても確かに韓国・台湾社製が目立ちます。

 日本系列ではバッテリーのTechnologyDynapack社(台湾)が実はTDKの子会社であるぐらいですか。

 うむ、このレポートよりiPadのパーツの価格による国別構成比を表にしてみました。

iPadの16GBモデル、製造原価パーツ供給国別内訳表

価格
韓国 122.55ドル 48.9
台湾 51.00ドル 20.3
米国 14.75ドル 5.9
ドイツ 2.10ドル 0.8
その他(不明) 60.20ドル 24.0
合計 250.6ドル 100.0

※台湾には日系企業含みます。

 うーん、韓国製部品が48.9%となりました。

 アップル社最新iPadの中身の半分は韓国製で占められていたわけです。

 ふう。



(木走まさみず)



<追記>
エントリーに関係ありませんが遅まきながらツイッター始めましたのでビギナーですがよろしくお願いいたします。
http://twitter.com/kibashiri
です。m(_ _)m