木走日記

場末の時事評論

小沢氏副幹事長解任撤回で梯子を外された小沢支持者達

 23日付け産経新聞電子版速報記事から。

小沢氏、生方民主副幹事長の解任を撤回 「もう一度補佐してほしい」
2010.3.23 13:46

幹事長室を出て記者団に囲まれる民主党生方幸夫・副幹事長=23日午後、国会内(酒巻俊介撮影)
 民主党小沢一郎幹事長は23日午後、国会内で副幹事長解任が決まっていた生方幸夫衆院議員と会談し、「続けてくれないか。もう一度補佐してほしい」と述べ、続投を求めた。生方氏はこれに応じた。
 民主党は同日の役員会と常任幹事会で解任を正式に決定することにしていたが、党内外から「言論封殺」と批判が高まったため急きょ、方針を撤回した。
 生方氏は、17日付の産経新聞のインタビューで小沢一郎幹事長の党運営について「中央集権的だ。権限と財源をどなたか1人が握っている」などと批判。
 これを理由に高嶋良充筆頭副幹事長が生方氏に辞表を提出するよう求めると同時に解任の方針を決定。小沢氏もこれを了承し、すでに後任として辻恵衆院議員の就任も内定していた。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100323/stt1003231347003-n1.htm

 小沢氏が自ら本人と会って生方民主副幹事長の解任を撤回、「続けてくれないか。もう一度補佐してほしい」と述べ、本人も受諾したそうであります。

 党内外から「言論封殺」と批判が高まったため方針を撤回したと、産経記事は推測しています。

 笑止。

 これは二重にあり得ないことです。

 ひとつはご本人が発言を全く撤回していない、いやそれ以上にTVに出まくって論説を激化してきたのに、方針撤回の大儀がまったく説明されていませんことです。

 執行部批判をかえって強めていたわけです。

 そこはどう説明するのでしょうか。

 そしてより深刻なのは、鳩山首相や大臣クラスの人も含めて「内部で批判するのはいいが幹部が外部に向けて批判するのはおかしい。幹部を辞めてから批判すべきであり解任は当然だ」という論法で、民主党内部の人たちはメディアで説明していましたよね、それ真に受けてネットでもメディアでも小沢支持の評論家やブロガー達が「幹部が組織批判したのだから解任は当然」と主張していたのに。それら生方副幹事長解任肯定論を唱えた人たちの梯子(はしご)を見事にはずしてしまうじゃないですか。

 すっかりアンチ小沢急先鋒のレッテルを貼られている当ブログ(苦笑)は関係ないけど、一部の小沢支持で生方副幹事長解任肯定論を掲げてきた論客達は、当の小沢氏が何ら撤回理由も明示化せずに解任を撤回したのでは、論理的には彼らは次に執行部批判しなければなりません、内部で批判するのはいいが幹部が外部に向けて批判するのはおかしいのであって解任は当然であったのでしょう、であるならば解任撤回した小沢氏を彼らは批判すべき対象とならなければなりません。

 小沢さん、それはないでしょう。

 不肖・木走はそもそも生方さんは「しごく真っ当なことをインタビューで答えた」だけで解任されるなんて「喜劇」みたいと批判してきました。

■[政治]しごく真っ当なことをインタビューで答えたら解任された副幹事長の悲喜劇〜「国民は小沢さんが不起訴になったから全部シロだとは思っていないんですよ」(生方幸夫副幹事長)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100319

 だから解任撤回は個人的には大歓迎なんですが、余計なお世話ですが、解任支持してきた日刊ゲンダイや評論家やブロガーさん達、いわゆる小沢信者達の梯子(はしご)を見事にはずしちゃって、これでいいのか。

 彼らは今後前言を無視してそれでも小沢支持をつらぬくのか、それとも本件では解任撤回を小沢批判するのか。

 私は梯子を外された小沢支持者達の今後の論説に注目したいのであります。



(木走まさみず)