木走日記

場末の時事評論

がんばれ!“聖火防衛隊”!! 負けるな!“聖火防衛隊”!!

kibashiri2008-04-10



 今朝(10日)の朝日新聞電子版速報記事から。

米の聖火リレー、いきなりコース変更、棄権者も続出 
2008年04月10日07時10分

 【サンフランシスコ=堀内隆】北京五輪に向けた北米で唯一の聖火リレーが9日、米サンフランシスコで行われた。チベット系団体と中国人のグループが同日朝からリレーのルート上に集結して気勢を上げるなどしたため、市当局は当初予定していた海沿いのコースを断念して別コースでリレーを行った。警備上の問題でコースが完全に変更されるのは今回の聖火リレーで初めての事態だ。

 サンフランシスコでは午後1時ごろから海岸沿いで開会式が行われ、そのまま海沿いの大通りを中心に約10キロの区間でリレーが行われる予定だった。しかし聖火と走者は開会式会場からバスに乗せられて、約4キロ離れた内陸の交差点に運ばれ、警官隊に守られながらリレーを始めた。

 米メディアによると、当日朝までに3人の走者が棄権。安全面の懸念が原因とみられる。
http://www.asahi.com/international/update/0410/TKY200804100002.html

 うーん、警備上の問題でコースが完全に変更された米サンフランシスコの聖火リレーなのでありますが、TV見てみると気の毒なのは、海沿いのコースを中継する予定だったメディアとそれを見ようとしていた一般観客達なのでありまして、なんだかここまでくると何のための誰のための聖火リレーなのか、よくわからない、ちょっと不遜な言い方なのは承知ですが、本来は五輪の宣伝活動である聖火リレーがあえて誰も知らない報道されないルートで走るなんてコミカルであるとすら思えてしまいます。

 なんだかなあ・・・

 ・・・

 ふう。

 そういえば、昨日(9日)の時事通信記事から。

2008/04/09-06:18 聖火消したのは中国側=リレー打ち切り自ら決める−仏

 【パリ8日時事】AFP通信は8日、パリで7日行われた北京五輪聖火リレーで、聖火を消したり、リレーを打ち切ったりしたのは、中国からパリに派遣されていた北京五輪組織委員会の警備隊だったと報じた。この警備隊が聖火に付き添い、リレー進行を取り仕切っていたという。
 AFPによれば、この警備隊は青いジャケット姿で約10人。仏警察筋は「治安部隊の精鋭だろうが、身元は何も知らされていない」と話している。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008040900062

 うーむ、「パリで7日行われた北京五輪聖火リレーで、聖火を消したり、リレーを打ち切ったりしたのは、中国からパリに派遣されていた北京五輪組織委員会の警備隊だった」そうですが、そういえばロンドンやパリの聖火リレーのTVニュースの映像見ていて、とても気になったのが、この聖火ランナーを取り巻く青いジャケット姿の屈強な中国人達なのでありますネ。

 写真でもおわかりなんですが、妨害者をけっこう乱暴に排除しまっくっていて、地元警官が逆に青いジャケット姿の中国人達のほうを制止している風に見えた映像も多かったり(苦笑)・・・

 うーん、仏警察筋は「治安部隊の精鋭だろうが、身元は何も知らされていない」と話しているそうですが、この人達はいったい何者なんだ??

 ・・・

 まじめな論評は他のところにおまかせするとして、例によって当ブログとしては少し脱線して、この謎の聖火を必死に守っている青いジャケット姿の中国人達に注目して見たいのであります。



●輝け“聖火防衛隊”〜中国全土から集めた背が高く、ハンサムな超スーパーアスリート集団

 少しネット上で調べてみればすぐに彼らの名称はわかりました、そうかこの青いジャケット姿の中国人達ですが、中国からはるばる派遣された“聖火防衛隊”だったのであります。

 7日付け読売新聞記事から。

中国が“聖火防衛隊”をロンドンに出動、パリにも同行へ

ロンドンで6日、抗議デモが行われる中、市内を走る聖火ランナー(手前中央、ロイター)。屈強な警備員が周囲を固めた 【ロンドン=本間圭一】ロンドンで6日始まった北京五輪聖火リレーは同日夕(日本時間7日未明)、約80人が約50キロをつないで終了した。

 中国のチベット政策に反発する人権活動家らの妨害行為が続出したが、中国側は全国から集めた精鋭の警備員を投入し、聖火防衛に躍起となった。

 当地の中国メディアなどによると、北京五輪組織委員会聖火ランナーを守るため、中国全土から国外担当の警備員約30人を選抜。警備員は、1日に40〜50キロ走れるほど高い身体能力を持ち、24時間体制で聖火を守ることが任務という。

 青と白の帽子とトレーニングウエア姿の中国人警備員たちはロンドンでは約10人が投入され、ランナーを妨害しようとした活動家らを排除。英国人タレントのコニー・ハクさんが、沿道から飛び出した男にトーチを奪われそうになった際も、いち早く撃退した。聖火リレーの舞台は7日、パリに移るが警備員も同行する見通しだ。

 また、沿道では中国人が五輪支持のデモを展開。聖火が通った大英博物館前で、在英チベット団体のデモ隊約1000人が「中国は恥を知れ」などと怒声を上げると、中国人デモ隊約300人は負けじと、「北京五輪」と繰り返した。中部マンチェスターから駆けつけた会社員、郭爾瀚氏(30)は「英国人は反中国の偏向報道に影響されている。沿道で声を張り上げ聖火を守りたい」と語った。

 英国内の中国人は30万人前後とされる。関係者によると、西欧諸国の聖火リレーでは妨害が予想されたため、学生組織などの呼びかけで中国人がロンドンに結集。傅瑩駐英中国大使が、聖火リレーでロンドンの中華街を走った際にも、周囲に陣取り、抗議デモをほとんど寄せ付けなかった。

(2008年4月7日11時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/news/topic/world/news/20080407-OYT1T00271.htm

 うーむ、青と白の帽子とトレーニングウエア姿の“聖火防衛隊”は、「北京五輪組織委員会聖火ランナーを守るため、中国全土から国外担当の警備員約30人を選抜。警備員は、1日に40〜50キロ走れるほど高い身体能力を持ち、24時間体制で聖火を守ることが任務」なのか、スバラシイ。

 “聖火防衛隊”は、全国から集めた精鋭の警備員達だったのであります。

 もう少し調べてみたらどうやら彼らはただの体力だけ屈強な精鋭ではないようですね。
 AP通信記事から。

Top Chinese Cops Protect Olympic Flame
By ANITA CHANG – 19 hours ago

(前略)

Members were picked from special police units of the People's Armed Police, China's internal security force. The requirements for the job: to be "tall, handsome, mighty, in exceptional physical condition similar to that of professional athletes," the state-run China News Service said.

Special police units are the top tier of the paramilitary corps, chosen for skills in martial arts, marksmanship and hand-to-hand combat, according to sinodefence.com, a British-based Web site specializing in Chinese military affairs.

The training for the Olympic flame detail included daily mountain runs of at least six miles and lessons in protocol. They also learned basic commands such as "go," "step back," "speed up" and "slow down" in English, French, German, Spanish and Japanese, the China News Service said.

(後略)

http://ap.google.com/article/ALeqM5jHpaflNEZpBBT4fArcZK_OGCxV8QD8VU4DJ80

 このAP通信記事によれば、中国国営通信によれば、“聖火防衛隊”のメンバーは、中国公安の特殊警察隊から選抜されたのであります。

 そして、“聖火防衛隊”の仕事に必要とされるのは、"tall, handsome, mighty, in exceptional physical condition similar to that of professional athletes,"つまり 「背が高く、ハンサムで、力強く、特にプロ・アスリートと同等の身体能力を有していること」なのであります。

 「背が高く、ハンサム」も必須条件なのであります(苦笑)

 そして、彼らは「進め」「戻れ」「スピードを上げろ」「スピード落とせ」などの基本的な命令用語を英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、日本語でマスターしているのであります。

 ・・・

 うーん。

 そうかうむうむ、つまり“聖火防衛隊”とは、プロ・アスリートと同等の身体能力を有し、かつ、語学堪能(?)で、かつ背が高く、ハンサムな超スーパーアスリート集団だったのでありますネ。

 スバラシイ。

 ・・・



●がんばれ!“聖火防衛隊”!! 負けるな!“聖火防衛隊”!!

 中国政府は一連の「聖火リレーを妨害したチベット独立勢力の下劣な行為」にお怒りのようです。

 今日(10日)付けの中国情報局ニュースから。

北京五輪聖火リレーを妨害する『チベット独立分子』の行為
2008/04/10(木) 04:32:00更新

  北京五輪聖火リレーが4月7日にパリ行われた際、『チベット独立分子』が妨害し、地元警察は措置を講じて制止した。フランスの人々による情熱のこもった歓迎の下、パリでの聖火リレーは無事に達成された。チベット独立勢力の下劣な行為は、フランスの民衆や走者たちから猛烈な非難を受けている。

  パリでの聖火リレーは、現地時間4月7日の12時30分に始まった。2人目の走者がトーチを渡されてトンネルに入ろうとした時、数人の『チベット独立分子』が妨害し、聖火リレーは遅れることを余儀なくされた。また『チベット独立分子』は、13人目の走者からトーチを奪おうとしたがパリ警察に止められ、パリ警察は少なくとも聖火リレーの妨害者5人を逮捕した。

  北京五輪組織委員会聖火リレーセンターの報道官は「聖火の安全と尊厳を守るため、現場の状況を考慮した上でリレーの方法を一時的に変えたが、計画通りパリでの聖火リレーを無事にやり遂げた」と明らかにした。

  フランスオリンピック委員会のセランドゥ会長は、『チベット独立分子』の行為を非難し「五輪聖火は全世界に平和のシグナルを発するものであり、聖火リレーを妨げるのはリレーを行っている選手たちに対する基本的な自由の尊重に欠ける」と語った。

  フランスの中国・ヨーロッパ名流会所のドスタム会長は「パリでの聖火リレーを妨げる行為は受け入れられない。『近代五輪の父』と呼ばれるクーベルダン男爵の故郷でのこのような情景は恥ずべきことで、この行為は非難される事である」と語った。

  四歳の娘を連れて聖火リレーを見にやって来たフランスの女性は「聖火リレーは本来ならばお祝いの儀式なのに、妨害者はその雰囲気を壊してしまった。彼らの行為は自ら辱めを受けるだけです」と話した。

  パリのエッフェル塔の前で、聖火リレーを終えた障害者の走者は「聖火リレーを妨げ、スポーツと政治を混同する行為に対して憤りを感じる。このような行為は明らかに意図があり、このような恥知らずの抗議と破壊は五輪精神の冒涜だ」と語った。

  聖火リレーを行った留学生代表の柳青氏は「聖火リレーチベット族の同胞を含む中国の56民族の希望であり、平和と友情の証だ。少数の『チベット独立分子』がこのような神聖な儀式を利用して祖国を分裂させようという恥知らずな目的を狙うことは、全ての中国人にとって我慢できないことであり、中国や世界の人々から軽蔑されるだろう」と語った。写真はパリで行われた聖火リレーの第一走者。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0410&f=national_0410_004.shtml

うむ、記事の結語、聖火リレーを行った留学生代表の柳青氏の熱き声が胸に響きます。

聖火リレーチベット族の同胞を含む中国の56民族の希望であり、平和と友情の証だ。少数の『チベット独立分子』がこのような神聖な儀式を利用して祖国を分裂させようという恥知らずな目的を狙うことは、全ての中国人にとって我慢できないことであり、中国や世界の人々から軽蔑されるだろう」

 うーむ、「神聖な儀式を利用して祖国を分裂させようという恥知らずな目的」を、断固阻止するために、背が高く、ハンサムな超スーパーアスリート集団我らが“聖火防衛隊”がおるのであります。

 ・・・

 今回の5大陸を巡る聖火リレーは過去最長の13万7000キロを、21カ国で過去最多の約2万2000人の走者が駆け抜けるのであります。

 祥雲(めでたい雲)と呼ばれる中国風のデザインをあしらったトーチが使われているのであります。

 グーグルマップでは"TorchRelay"というサービスを用意したようです、現在の聖火リレーの場所とこれからの聖火リレーのコース予定が一目瞭然で視覚的に見えるステキなサービスであります。

"TorchRelay"
http://maps.google.com/help/maps/torchrelay/

 このマップによれば、今回の聖火リレーの全コースは以下のとおり。

Olympia, Greece 3/24/2008
Beijing, China 3/31/2008
Almaty, Kazakhstan 4/2/2008
Istanbul, Turkey 4/3/2008
Saint Petersburg, Russia 4/5/2008
London, United Kingdom 4/6/2008
Paris, France 4/7/2008
San Francisco, United States 4/9/2008
Buenos Aires, Argentina 4/11/2008
Dar es Salaam, Tanzania 4/13/2008
Muscat, Oman 4/14/2008
Islamabad, Pakistan 4/16/2008
New Delhi, India 4/17/2008
Bangkok, Thailand 4/19/2008
Kuala Lumpur, Malaysia 4/21/2008
Jarkarta, Indonesia 4/22/2008
Canberra, Australia 4/24/2008
Nagano, Japan 4/26/2008
Seoul, South Korea 4/27/2008
Pyongyang, North Korea 4/28/2008
Ho Chi Minh City, Vietnam 4/29/2008

 うーむ、我らが“聖火防衛隊”は、最後のベトナムホーチミン市まで、これら21のステージをみごと無事クリアして、聖なる祥雲トーチに灯る聖火を北京に届けなければなりません。

 この後の日程を見ると、オーストラリアのキャンベラ当たりが手強そうですな。

 あと日本の長野も、スタート地点が仏教寺院(善光寺)であるあたり、『チベット独立分子』をへんに煽動しなければいいがと、少し心配であります。

 “聖火防衛隊”におきて破りの投石ならぬ投「ぎょーざ」があるかも知れません(苦笑)。

 ・・・

 うーん。

 ・・・

 ・・・

 “聖火防衛隊”よ。

 チベット独立勢力の下劣な行為を断固阻止して、神聖なる祥雲トーチに灯る聖火を北京に届けるのだ!

 がんばれ!“聖火防衛隊”!!

 負けるな!“聖火防衛隊”!!
(↑お前はいつから正義の味方なのか(苦笑))

 ・・・(汗

 ジャンジャン。



(木走まさみず)