木走日記

場末の時事評論

沖縄補選:元民主党員が現民主党員に勝ったってだけの話

kibashiri2007-04-23




 別に元民主党員が保守系無所属として現民主党候補と戦っても何も問題ないわけですが、今回参院沖縄補選で当選した「保守系」無所属島尻安伊子さんの場合は何ともドッチラけなわけではあります。

 私が勝手に自分のブログの師匠とお慕いしている愛さんもビックリしているわけですが。

愛・蔵太の少し調べて書く日記
■[時事]何がびっくりしたかって、「青山学院高等部入試問題」を問題にした島尻安伊子さんが「与党」で当選した、ということでした
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070424/simaziri

 うーん、少し調べれば調べるほど島尻安伊子さんの政治信条と言いますかその主張ってはたして「保守系」なんだろうか、大いなる疑問が沸いてくるのであります。

 そもそも島尻さんの夫の昇さんは、元民主党沖縄県連代表の要職を務め、沖縄県での国政選挙に過去2回民主党候補として出馬(ともに落選)していたバリバリの民主党員でございました。
 で、2005年の前回の郵政選挙で、過去連続して落選した候補には公認をしないという民主党内規に触れたのでしょう、民主党公認は認められず本人の申請は党本部で却下され、なくなく無所属で立候補(結果は落選)、それ以来、昇さんと民主党県連の距離は微妙になってしまったのであります。

 そのような経緯の中、1992年以来夫の政治活動を支え続け内助の功というよりも「同志的連帯」で夫とともに政治活動を続けてきたのが、島尻安伊子さんなのであり、夫婦そろってバリバリの民主党員だったわけで、この前まで民主党会派に属していたのが島尻安伊子さんなのであります。

 昇さんの政治信条を2005年当時の沖縄タイムスのアンケート記事から抜粋して紹介いたしましょう。

<2005年8月24日 朝刊2面>

2区候補者アンケート

基地・政権評価で二分

 沖縄タイムス社は衆院選の県内四選挙区で、それぞれの立候補予定者から、政策や小泉政権の評価などを問うアンケートを実施した。2区から立候補予定の照屋寛徳氏(社民)、安次富修氏(自民)、西平守伸氏(共産)、島尻昇氏(無所属)は二十二項目の質問に対し、それぞれの考え方を説明。基地問題小泉政権への評価で意見が割れた。

(中略)

小泉政権の評価/構造改革の功罪問う

 島尻昇氏(無所属)は「連立政権の評価を国民に問う」とし、改革の結果が見えないとした。

 郵政民営化に対しても島尻氏は「拙速、強引な手法」と政府の手続きを批判した。


憲法・安全保障/安保堅持、破棄で対立

 憲法九条改正の是非では、島尻氏は「反対」の立場を取りながら、優先順位を理由に挙げた。

 日米安全保障条約の賛否と、今後の日本の安全保障の在り方も聞いた。

 島尻氏は将来的に日米安保を友好条約に変えるべきだとの考えを強調した。


基地問題普天間は「国外」「県外」


 米軍再編協議に伴う在沖米軍基地の問題では、普天間飛行場の移設先で照屋、西平、島尻の三氏が国外移設が最善策と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/spe/shuin20050824_1.html

 この島尻昇氏の各主張ですが、「憲法九条改正反対」とか、「将来的に日米安保を友好条約に変えるべき」とか「普天間飛行場の移設先は国外移設が最善」とか、バリバリのリベラル派的主張を展開しております。

 彼は民主党を離れて無所属になってからもそのリベラル的政治主張はほとんど変化がなかったことがこの沖縄タイムスの記事で理解できます。

 これはある意味当然で、2戦連続の敗者は公認せずという民主党内規によりやむなく無所属となった昇さんでありますから、政治信条の変化によって離党したわけではないのであります。

 ・・・

 そんな昇さんの政治活動を10数年間支え、同志的連帯の中で、自らも民主党員になり、この前まで市議会民主党会派に所属して政治活動をバリバリしていたのが島尻安伊子さんなのであります。

 もちろん夫婦の間で政治信条が異なってもまったく問題ないわけですが、島尻安伊子さんの場合、以上の経緯からその政治信条は極めて夫に近い(すくなくともこの前までは近かった)ことは自明なわけです。

 そのようなうがった目で島尻安伊子さんの当選の談話を聞いていると、「憲法改正問題」や「基地問題」で具体的な話をできなかったのは、リベラル派市議時代の発言と、「保守系参院議員としてのこれからの発言を、どう調整していくのか、まだご自身でも戦略がたっていないのかも知れません。

 ・・・

 うがった見方をすればですが、今回の沖縄補選は、したたかな自民党が、元沖縄県連代表の夫が公認問題で民主党と距離を置いたところにつけ込んで、女性票目当てに、まんまとバリバリ民主党員だった島尻安伊子さんを引っこ抜いたことが、功を奏したのかも知れません。

 今回の沖縄補選は投票率は47.81%で、70年の国政参加選挙以来、全県選挙で最低となったそうでありますが、私の見るところ県民が白けたのも無理からぬところがありそうです。

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 なんか自民も民主もぐちゃぐちゃなんですよね。
 
 ようは、今回の沖縄補選、元民主党員が現民主党員に勝ったってだけの話であります。



(木走まさみず)