木走日記

場末の時事評論

「オーマイニュース」VS「JANJAN」(2)〜よもや鳥越編集長が大嘘つきだったのか?

kibashiri2007-01-14


 今日は久しぶりのダブルエントリーでございます。

 後段はメルヘンなエントリーですよ。お楽しみあれ。

 まずは前段、以下のエントリーの追記です。

■[メディア]「オーマイニュース」VS「JANJAN」〜大嘘つきはどっちだ?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070112/1168569774

 ここまでの経緯を簡単にまとめておきましょう。



●【第1R】1月11日、「鳥越編集長、辞任へ 後任決まらず〜迷走続くオーマイニュース」がJANJANスクープ記事として掲載

 まずは11日にオーマイニュースの鳥越編集長が13日辞任するというスクープインタビュー記事がJANJANに掲載されます。

(前略)

 鳥越氏に聞いたところ、“事実上の解任”という噂については「違う」ときっぱり否定した。編集長辞任の理由は「おもに体調による。ガンの手術のあとで、あまり無理しない方がよいと医者から言われており、私の方から(辞任の)申し入れをした。辞めるのは13日だが、実は本日(11日)から検査入院している」と語った。

(後略)

(増田美智子)
鳥越編集長、辞任へ 後任決まらず〜迷走続くオーマイニュース 2007/01/11
http://www.janjan.jp/media/0701/0701110911/1.php

 なんとオーマイニュース編集長鳥越俊太郎氏に直接インタビューして、編集長辞任の理由は「おもに体調による。ガンの手術のあとで、あまり無理しない方がよいと医者から言われており、私の方から(辞任の)申し入れをした。辞めるのは13日だが、実は本日(11日)から検査入院している」との発言を聞き出した増田美智子記者のお手柄スクープ記事であります。



●【第2R】1月11日、すみやかな削除および同サイトへの謝罪文の掲載を要望〜即日オーマイニュース編集部は「まったくの事実無根」と厳しく反論

 即日オーマイニュース編集部は反論及び抗議文を掲載いたします。

一部のインターネットメディア記事について

オーマイニュース・インターナショナル株式会社
OhmyNews編集部 2007-01-11 20:51

 2007年1月11日午後、一部のインターネットメディアにおいて、当社サイト「オーマイニュース」編集長である鳥越俊太郎が辞任するとの記事が掲載されましたが、これらはまったくの事実無根です。

 当該インターネットメディアには、1月11日当日中に記事のすみやかな削除および同サイトへの謝罪文の掲載を要望しております。

オーマイニュース・インターナショナル株式会社
オーマイニュース編集部
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004521

 「一部のインターネットメディアにおいて」って、はっきりJANJANて言えばいいのに(苦笑)と思いますが、それはさておき、「鳥越俊太郎が辞任するとの記事が掲載されましたが、これらはまったくの事実無根」とJANJANスクープ記事はインチキであるとお怒りです。

 その上で「当該インターネットメディアには、1月11日当日中に記事のすみやかな削除および同サイトへの謝罪文の掲載」せよと要求しています。



●【第3R】1月11日〜12日取り下げるどころか2日間トップページに当該記事をさらし続けたJANJAN編集部

 さてオーマイニュース編集部からの厳しい「1月11日当日中に記事のすみやかな削除および同サイトへの謝罪文の掲載」の要求を突きつけられた我らがJANJAN編集部はどう対応するのか。

 JANJAN編集部はスクープ記事「鳥越編集長、辞任へ 後任決まらず〜迷走続くオーマイニュース」を削除しないだけでなく、「謝罪文の掲載」もまったくせず、オーマイニュースの抗議を事実上完全無視、12日になっても問題のスクープ記事「鳥越編集長、辞任へ 後任決まらず〜迷走続くオーマイニュース」をトップページにさらし続けるという異例の対応で対抗します。



●【第4R】1月12日、鳥越俊太郎氏本人がオーマイニュースにメッセージ公開〜私は現在、オーマイニュース編集長の職を退く意向を持っていませんし、解任されるという話も聞いていません。

 12日、オーマイニュースが本件に対する鳥越俊太郎氏のコメントを追加公開いたしました。

(前略)

 さまざまな情報が飛び交っているようで、特にオーマイニュースの市民記者の皆さんにはご心配をお掛けしてしまい、大変申し訳ないと思っています。

 1月11日に一部メディアで、私が1月13日に編集長を辞任する、またはオーマイニュース代表の呉連鎬が私を解任するなどの報道が行われていますが、これらは事実ではありません。

 私は現在、オーマイニュース編集長の職を退く意向を持っていませんし、解任されるという話も聞いていません。

(後略)

鳥越俊太郎
2007年1月12日
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004521

 JANJAN記事を「これらは事実ではありません。」と完全否定した上で、辞任する考えの無いことを強く訴えます。

 コメントの結語はJANJANを名指しこそしていませんが痛烈に批判します。

 率直に言って、今回の報道がなされたことを非常に残念に思っています。誰もが市民記者として情報を発信することができる、私たちオーマイニュースは、社会をより良くするために存在する「市民のためのメディア」として成長していくことを目指しています。

 今回の報道を踏まえ、改めてオーマイニュースにおいて「信頼」と「責任」ある情報発信をしていかなければいけないと感じさせられました

 なるほど、このような出鱈目記事を出すメディアなど、まったくあてにできないから、「改めてオーマイニュースにおいて「信頼」と「責任」ある情報発信をしていかなければいけない」と感じた鳥越編集長なのであります。

 ・・・

 JANJAN記事が報じた辞任予定日の昨日(13日)にオーマイニュース及び鳥越編集長周辺で辞任につながる動きはありませんでした。

 この時点で、鳥越編集長自らがネットで記事を完全否定したこと、事実として13日に鳥越編集長は辞任しなかったこと、などから事態はJANJANの対応に絞られました。

 誤報と認め謝罪するか、続報記事を掲載して徹底抗戦をするのか・・・

 どうやらJANJANは後者の主戦論でいくようです。



●【第5R】1月14日、JANJANが再反論記事掲載〜「鳥越俊太郎さん、しっかりしてください」〜私の記事が正確であることを証明するために、私と鳥越氏との電話でのやりとりを公表しましょう

 本日(14日)、スクープ記事を起こした増田美智子記者が、「私の記事が正確であることを証明するために、私と鳥越氏との電話でのやりとりを公表」してきたのであります。

鳥越俊太郎さん、しっかりしてください 2007/01/14

 『JanJan』に1月11日掲載された私の記事「鳥越編集長、辞任へ 後任決まらず〜迷走続くオーマイニュース」に対して、オーマイニュース編集部はサイト上に「【追記】一部のインターネットメディア記事について」と題する見解を発表しました。そこにある鳥越俊太郎氏の「コメント」を読んで、私は心の底から驚きました。

 『JanJan』の記事で、私は鳥越氏に電話で取材した内容を次のように書きました。
【鳥越氏に聞いたところ、“事実上の解任”という噂については「違う」ときっぱり否定した。編集長辞任の理由は「おもに体調による。ガンの手術のあとで、あまり無理しない方がよいと医者から言われており、私の方から(辞任の)申し入れをした。辞めるのは13日だが、実は本日(11日)から検査入院している」と語った】

 ところが、鳥越氏はオーマイニュース「追記」のコメントで、次のように述べています。
【ここで書かれている私のコメントの中で正しい個所は、「体調が万全の状態になく、現在(11日より)検査入院している」という部分です】

 まるで私が鳥越氏のコメントをねつ造したかのような言い方です。私の記事が正確であることを証明するために、私と鳥越氏との電話でのやりとりを公表しましょう。この電話取材は1月11日午前中に行われました。

───13日にお辞めになるってうかがったんですけれども、何か責任をとってのことなんですか。
鳥越氏:まあ、体調ですね。

───事実上解任というような話を聞いたんですが。
鳥越氏:違う違う。

───違いますか。
鳥越氏:そんなんじゃない。僕の方から、ガンの手術のあとですから、やっぱり、あんまり無理しないほうがいいと医者に言われて。媒体の立ち上げは終わったので、もう役割は終わったから。

───なるほど。
鳥越氏:解任とかそんな話じゃない。僕の方から申し入れをして、了承してもらって、次の人を僕は推薦をして。

───そうなんですか。
鳥越氏:そういう手続きですから、無茶苦茶なこと書かないでくださいよ。

───後任の人事も、もう決まってらっしゃる?
鳥越氏:最終的には僕の関知しないとこなんで。僕は推薦だけをして、あとは、呉(連鎬)代表が決めることじゃないですかね。

───なるほど。鳥越さん、最近、新しいコラム、はじめられましたよね。
鳥越氏:うん。

───そちらの方は?
鳥越氏:それは、やるでしょうね。

───今後も続けていかれる?
鳥越氏:(自分が)市民記者であることは間違いないんで。

───わかりました。ちなみに、後任の推薦された編集長のお名前って……。
鳥越氏:それは言えません。(結果が)どう出るかわからないから。その本人のこともあるから。それは言えません。

───はい、わかりました。
鳥越氏:ちゃんとした人を推薦をして、そのインタビュー、面接も僕が立ち会ってしてますから。

───お辞めになるのは13日の土曜日ってことで間違いないですか。
鳥越氏:実は、もう今日から検査入院で病院に入っちゃってんです。そういうこともあって、(辞任は)今週っていうことです。

───ありがとうございました。
鳥越氏:はいはい。

 以上が電話取材のやりとりです。私は鳥越氏の話を中心にその他の関係者からの取材内容を含めて記事を書きました。正確な記事だと確信しております。

 ただ1点、「その鳥越氏が1月13日で編集長を辞任することがわかった」と書きましたが、実際には1月13日には辞任しませんでした。これは、電話取材のやりとりでおわかりの通り、「お辞めになるのは13日の土曜日ってことで間違いないですか」という私の質問に対して、鳥越氏自身が「今週っていうことです」と答えたことがおもな根拠になっています。

 鳥越氏は「追記」のコメントを次のように締めくくっています。
【今回の報道を踏まえ、改めてオーマイニュースにおいて「信頼」と「責任」ある情報発信をしていかなければいけないと感じさせられました】

 鳥越さん、あなたは言葉はりっぱですが、やっていることはまったく逆ですよ。「『信頼』と『責任』ある情報発信」の基本はウソをつかないことです。メディアに携わる人たちは政治家や官僚のウソを見破ろうと努力しています。その当事者がウソをついては本も子もありません。鳥越さん、気を確かに、しっかりしてください。

(増田美智子)
http://www.janjan.jp/media/0701/0701140012/1.php

 一言一句活字化していることからおそらく録音テープから起した会話なのでしょうが、テープの存在を示唆する箇所は記事には確認できません。

 それはともかく、「鳥越俊太郎氏の「コメント」を読んで、私は心の底から驚きました。」とする増田美智子記者は、「私の記事が正確であることを証明するために、私と鳥越氏との電話でのやりとりを公表しましょう。」と決意し、次の鳥越氏の発言を明らかにしました。

───13日にお辞めになるってうかがったんですけれども、何か責任をとってのことなんですか。
鳥越氏:まあ、体調ですね。

───事実上解任というような話を聞いたんですが。
鳥越氏:違う違う。

───違いますか。
鳥越氏:そんなんじゃない。僕の方から、ガンの手術のあとですから、やっぱり、あんまり無理しないほうがいいと医者に言われて。媒体の立ち上げは終わったので、もう役割は終わったから。

───お辞めになるのは13日の土曜日ってことで間違いないですか。
鳥越氏:実は、もう今日から検査入院で病院に入っちゃってんです。そういうこともあって、(辞任は)今週っていうことです。

 うーん、微妙ですが今週お辞めになる意思を鳥越氏は持っていたとも解釈できる会話なのであります。

 それにしてもなんか言ったいわないの泥仕合と化してきたようで、この記事の結語も強烈なのであります。

 鳥越氏は「追記」のコメントを次のように締めくくっています。
【今回の報道を踏まえ、改めてオーマイニュースにおいて「信頼」と「責任」ある情報発信をしていかなければいけないと感じさせられました】

 鳥越さん、あなたは言葉はりっぱですが、やっていることはまったく逆ですよ。「『信頼』と『責任』ある情報発信」の基本はウソをつかないことです。メディアに携わる人たちは政治家や官僚のウソを見破ろうと努力しています。その当事者がウソをついては本も子もありません。鳥越さん、気を確かに、しっかりしてください。

 「あなたは言葉はりっぱですが、やっていることはまったく逆ですよ。「『信頼』と『責任』ある情報発信」の基本はウソをつかないことです。」だって(苦笑

 ま、「『信頼』と『責任』ある情報発信の基本はウソをつかないこと」とはそのとおりなのでありますが、小学生の喧嘩のようなレベルにだいぶ下がってきたような・・・

 なんか、どんどん泥沼化してきて、メディアとしての「大儀」なき「ウソをつかないで」といった低レベルの、また取材源・取材手法の秘匿といた「仁義」もへったくれもなくなってきた(苦笑)泥仕合の様相を呈してきたようであります。

 ・・・

 いずれにせよ、JANJANが全面的に反撃に出たのでした。

 さあどう出るオーマイニュースと鳥越編集長。

 うーん、これからどうなるのか。

 さて大嘘つきはどっちのメディアなのか?

 あるいはよもや鳥越編集長が大嘘つきだったのか?(爆)

 ネットメディア同士のこのバトル、はたして勝つのはどちらか?

 え? 

 だからそんなことどっちでもいいって?(汗

 コメント欄やリンク先からも「どっちもどっち」というご意見をたくさんいただいておりますが(苦笑。

 ・・・

 まあ、そんな冷たいこと言わないで ここは事態の推移をまったりと見守ってきましょう。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
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