木走日記

場末の時事評論

安倍氏が小泉首相を鑑にするならこれだけは守って欲しいこと

●「小泉首相を鑑に」 安倍氏が講演で「宰相論」〜全然おもしろくない(苦笑

 産経新聞記事から・・・

小泉首相を鑑に」 安倍氏が講演で「宰相論」

 安倍晋三官房長官は26日、自民党青年局が党本部で開いた集会で講演し、「90年代に経済がうまくいかなかったのは10年間で7人も首相が代わったことが大きい。小泉純一郎首相が1年で辞めたら『失われた90年代』と同じだっただろう」と述べた。5年余の長期政権となった小泉政権の功績と自身の思い描く「宰相論」を説き、参加者からは「長期政権樹立への意欲と決意が伝わってきた」との声も聞かれた。
 安倍氏は講演で、小泉政権の成果について、公共事業費などの財政出動を抑えつつ、不良債権処理や財政再建に取り組んだ点を力説。改革を断行できた秘(ひ)訣(けつ)として(1)首相の強い信念(2)明確な国内外へのアピール(3)長期政権維持―の3つを挙げた。

 その上で「小泉さんはどしゃ降りの雨の中を突っ走る大きな決断をした。そのときに政策を変えていたら、また後戻りしていた」と語り、首相の政治姿勢や政権運営を今後の"手本"とすべきだとの考えを強調。「来年は参院選がある。厳しい選挙になるので応援してもらいたい」と締めくくった。

(07/26 22:04)
http://www.sankei.co.jp/news/060726/sei089.htm

 「小泉さんはどしゃ降りの雨の中を突っ走る大きな決断をした」ですか。

 ・・・(ムス

 勢い良く走りすぎて、周りにドロハネもたくさん飛ばしちゃったんじゃないですかネ(苦笑)

 ・・・(汗

 小泉政権に批判的に対峙してきた不肖・木走としては、ポスト小泉レース独走状態の安倍晋三官房長官が「小泉首相を鑑に」と宣(のたま)われても苦笑いするしかないのでした。

 白けるなあ・・・

 プチリベラルの私としてはこのポスト小泉総裁選にはトキメキを全く感じないのであります。

 全然おもしろくない(苦笑
 (↑おまえに関係ないだろ)

 ・・・(汗

 なんで安倍さんがこんなに人気あるのかよくわからないですが、願わくば首相になられたらば、外交政策など特に柔軟思考の賢いブレーンをとりそろえてほしいですねえ、安倍さんには優秀なブレーンがほとんどいないとか聞こえてくるし。

 あと不得手な経済政策もご本人もしっかり勉強して優秀なブレーンのサポートのもとに責任ある舵取りしてほしいですね。

 ・・・

 そう言えば読者のみなさん、もし安倍晋三官房長官が次の総理になったら、日本政治史上初の快挙って事実、ご存知ですか?

 不肖・木走は昨年11月に戦後政権動向を徹底分析していたのであります。

■[政治]戦後政権動向を徹底分析〜阿倍長官に次期総理の目は無し!
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20051101/1130842378

 でちょっとそのエントリーから抜粋

(前略)

 で各内閣での直前での次期総理大臣の役職等を付加したのが次の表です。

■表2:戦後歴代総理前職一覧表

No 首相名 前内閣 前内閣での役職
01 東久邇宮稔彦王 終戦時内閣>
02 幣原喜重郎 東久邇宮稔彦王内閣 −−野
03 吉田 茂 幣原喜重郎内閣 外務大臣
04 片山 哲 吉田 茂内閣 −−野
05 芦田 均 片山 哲内閣 外務大臣
06 吉田 茂 芦田 均内閣 −−野
07 鳩山一郎 吉田 茂内閣 −−−
08 石橋湛山 鳩山一郎内閣 通商産業大臣
09 岸 信介 石橋湛山内閣 外務大臣
10 池田勇人 岸 信介内閣 通商産業大臣
11 佐藤榮作 池田勇人内閣 −−−
12 田中角榮 佐藤榮作内閣 通商産業大臣
13 三木武夫 田中角榮内閣 −−−
14 福田赳夫 三木武夫内閣 副総理
15 大平正芳 福田赳夫内閣 幹事長
16 鈴木善幸 大平正芳内閣 総務会長
17 中曽根康弘 鈴木善幸内閣 行政管理庁長官
18 竹下 登 中曽根康弘内閣 幹事長
19 宇野宗佑 竹下 登内閣 外務大臣
20 海部俊樹 宇野宗佑内閣 −−−
21 宮澤喜一 海部俊樹内閣 −−−
22 細川護煕 宮澤喜一内閣 −−野
23 羽田 孜 細川護煕内閣 外務大臣
24 村山富市 羽田 孜内閣 −−野
25 橋本龍太郎 村山富市内閣 通商産業大臣
26 小渕恵三 橋本龍太郎内閣 外務大臣
27 森 喜朗 小渕恵三内閣 幹事長
28 小泉純一郎 森 喜朗内閣 −−−

注意:前内閣での役職で−−−は与党内閣外、−−野は野党を意味します。

 いかがでしょうか。

 これは興味深い結果になりました。この表を元に、終戦時の東久邇宮稔彦王首相を除く27人の前職(前内閣での役職)を整理したのが以下の表です。

■表3:戦後歴代総理前職別分布表

前職 人数 首相名
閣外(与党) 6人 鳩山・佐藤・三木・海部・宮澤・小泉
外務大臣 6人 吉田・芦田・岸・宇野・羽田・小渕
閣外(野党) 5人 幣原・片山・吉田・細川・村山
通産大臣 4人 石橋・池田・田中・橋本
幹事長 3人 大平・竹下・森
総務会長 1人 鈴木
副総理 1人 福田
行政管理庁長官 1人 中曽根
27人

 以上過去データを分析集計してみましたが、これはおもしろいですね。

(後略)

 ね、戦後の総理大臣で前職が官房長官の人は一人もいないんですよ。

 しかし「阿倍長官に次期総理の目は無し」って言い切ってコメント欄でいっぱい怒られちゃった(苦笑)懐かしいエントリーなんですが、我ながらほんとに無駄なオバカなことばかり調べてますねえ、なんか哀しくなりますネ、このバカ脳体質が(涙

 ・・・

 なんかグチっぽくなりましたが、今日の本題は私のグチではもちろんなくて、上記産経記事の安倍さんの次の発言に注目したいのであります。

「90年代に経済がうまくいかなかったのは10年間で7人も首相が代わったことが大きい。小泉純一郎首相が1年で辞めたら『失われた90年代』と同じだっただろう」

 これね、全くもって正論ですよね。

 ・・・



●平均2.18年でころころ変わる日本国総理大臣〜お前はハムスターか?(爆)

 だいたいですね、日本の総理大臣の在任期間は短かすぎると思います。

 もう一度昨年のエントリーから引用。

■表1:戦後歴代内閣一覧表

No 内閣名 在任期間
01 東久邇宮稔彦王内閣 (昭和20年8月17日〜昭和20年10月9日)
02 幣原喜重郎内閣 (昭和20年10月9日〜昭和21年5月22日)
03 吉田 茂内閣 (昭和21年5月22日〜昭和22年5月24日)
04 片山 哲内閣 (昭和22年5月24日〜昭和23年3月10日)
05 芦田 均内閣 (昭和23年3月10日〜昭和23年10月15日)
06 吉田 茂内閣 (昭和23年10月15日〜昭和29年12月10日)
07 鳩山一郎内閣 (昭和29年12月10日〜昭和31年12月23日)
08 石橋湛山内閣 (昭和31年12月23日〜昭和32年2月25日)
09 岸 信介内閣 (昭和32年2月25日〜昭和35年7月19日)
10 池田勇人内閣 (昭和35年7月19日〜昭和39年11月9日)
11 佐藤榮作内閣 (昭和39年11月9日〜昭和47年7月7日)
12 田中角榮内閣 (昭和47年7月7日〜昭和49年12月9日)
13 三木武夫内閣 (昭和49年12月9日〜昭和51年12月24日)
14 福田赳夫内閣 (昭和51年12月24日〜昭和53年12月7日)
15 大平正芳内閣 (昭和53年12月7日〜昭和55年7月17日)
16 鈴木善幸内閣 (昭和55年7月17日〜昭和57年11月27日)
17 中曽根康弘内閣 (昭和57年11月27日〜昭和62年11月6日)
18 竹下 登内閣 (昭和62年11月6日〜平成元年6月3日)
19 宇野宗佑内閣 (平成元年6月3日〜平成元年8月10日)
20 海部俊樹内閣 (平成元年8月10日〜平成3年11月5日)
21 宮澤喜一内閣 (平成3年11月5日〜平成5年8月9日)
22 細川護煕内閣 (平成5年8月9日〜6年4月28日)
23 羽田 孜内閣 (平成6年4月28日〜6年6月30日)
24 村山富市内閣 (平成6年6月30日〜8年1月11日)
25 橋本龍太郎内閣 (平成8年1月11日〜平成10年7月30日)
26 小渕恵三内閣 (平成10年7月30日〜平成12年4月5日)
27 森 喜朗内閣 (平成12年4月5日〜平成13年4月26日)
28 小泉純一郎内閣 (平成13年4月26日〜)

注意:吉田茂氏は返り咲きがあるので第一次と第二次で2回カウントされています。

 表1のとおり、終戦直後の東久邇宮稔彦王内閣から小泉純一郎内閣まで、日本では戦後述べ28人の内閣総理大臣が歴任してきたわけであります。

 (後略)

 どうでしょう、戦後61年の間に28人ですよ、平均2.18年ですよ!!

 総理大臣でこれですから各大臣などの在任期間などは、みなさんご承知のように改造内閣バンバンやっているから間違いなく2年を切ってますよね。

 日本国総理大臣の在任期間が平均2年の短命なのですよ。

 ・・・

 お前はハムスターか?(爆)

 ・・・(汗

 失礼しました。

 これじゃね、国際外交舞台では通用しないはずです。

 総理で2年、大臣だったら1年ちょい、ころころころころ変わりまくってきた日本の各大臣なのであります。

 これですね、原因は間違いなく自民党派閥政治の弊害であり、政治家の先生方の猟官運動というか大臣待ち行列をときの内閣の求心力を高めるために悪用してきた悪習ですよね。

 ・・・

 今回のロシアサミットでも小泉さんは慣れたもんでしたが、これは長期政権ゆえに国際的認知度も高まりご本人もまた自信を持って望まれたからですよね。

 外交だけでなく、各国務大臣にしたって1年ちょっとでころころ変わってたんじゃ、仕事も覚えられないだろうし中期的視点の政策などまったく手も着けられないだろうし、ハムちゃんなみの短命で大臣ころころかえられちゃ、大臣椅子待ちの先生たち以外、日本国にとって、我々国民にとって、百害あって一利無しですよね。

 ・・・

 ふう。

 北朝鮮非難決議案で国連を舞台に初めて存在感を示した日本外交ですが、小泉長期政権による小泉ブッシュ仲良し関係を抜きに今回の成功はなかったことは自明です。

 はたして安倍政権にこの外交力は継承できるのでしょうか?

 日本が真に世界の中で経済力に見合った外交力を身につけるためには、総理をはじめ外務大臣とかがころころ変わってはお話になりません。

 安倍さんには大きな期待は何もないですが、どうせ「小泉首相を鑑に」するならば、一内閣一大臣制を厳守してほしいです。

 ころころころころ改造人事しないこと!



(木走まさみず)