木走日記

場末の時事評論

しかし読売の政治記事はつまらん〜大新聞にクオリティー語る資格なし

●しかし読売新聞の政治記事はつまらんぞ!

 衆院本会議で郵政民営化関連法案が大差で可決されました。

 昨日の読売新聞から・・・

郵政法案、賛成多数で衆院通過

衆院本会議で郵政民営化関連法案が可決され、一礼する小泉首相(11日午後2時10分) 政府が今国会に再提出した郵政民営化関連法案は11日午後の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。賛成338、反対138だった。

 これに先立ち、同法案は昼の衆院郵政民営化特別委員会で、与党の賛成多数で可決された。民主党が対案として提出した郵政改革法案は、与党と共産、社民両党などの反対で、否決された。

 同法案は2007年10月に日本郵政公社を解散し、国が出資する持ち株会社日本郵政会社の下に、郵便事業会社、郵便局会社、郵便貯金銀行郵便保険会社の4事業会社を設立するとしている。持ち株会社は17年9月末までに、郵貯銀行と保険会社の株式を完全処分することになっている。

(2005年10月11日14時39分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051011it04.htm

 賛成338、反対138、その差200票ですか・・・
 たしか7月5日の採決ではわずか5票の僅差でありましたよね。
 いやはやわずか3ヶ月でこの情勢一転・急展開は、いったい誰が予想できたでしょう。
 ふう。

 ・・・

 しかし、この読売記事は全然おもしろくないなあ、各議員の投票行動を深く掘り下げてもいないし、つまらんです。

 ほんとに日本の大新聞ってのはカワユクないのですが、以前も指摘しましたが、こういう時は、系列のスポーツ紙のほうがはるかに良質な記事が書かれるのですよね。

報知記事にクオリティで負けている読売記事の不思議
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050603/1117772471

●アッパレ! ほとんど言いたい放題の報知記事!!

 で、さっそくスポーツ報知の社会面を見てみれば、おお案の定興味深い記事が掲載されていますですよ。

聖子議員「義務を果たした」迷走マドンナ白旗「賛成」

郵政法案衆院200票差可決
 3か月前の国会で廃案となり、政府が再提出した郵政民営化関連法案が11日の衆院本会議で、与党などの賛成多数により可決され、衆院を通過した。賛成338、反対138の200票差という圧倒的大差。かつての造反組12人のうち11人も賛成に転じた。賛成票を投じ、“造反組のマドンナ”から“迷走マドンナ”と化してしまった野田聖子元郵政相(45)は「極めて冷静に義務を果たしました」と淡々。法案は直ちに参院に送付され、14日の参院本会議で成立する見通しだ。


前回はたった5票差 「造反組」は、すでに死語。この日の本会議場からは“熱さ”が消えうせていた。

 何もかもが7月5日、わずか5票差で薄氷可決された前回の衆院採決とは違っていた。前回の小林興起氏(落選)のように、小泉純一郎首相に向かって、青票(反対票)を掲げてみせる「新・造反組」は一人も無し。326人の与党議員は黙って投票台に歩き、白票を投じ続けた。

 「郵政民営化法案ほか5案は、委員会の報告通り可決致しました」。河野洋平衆院議長の可決宣言の後、与党席から巻き起こった大きな拍手。小泉首相は両手を挙げ、満面の笑みで応えてみせた。閣僚席の竹中平蔵郵政民営化担当相は立ち上がり、ペコペコと何度も頭を下げた。小泉首相は本会議後、「良かった。選挙の(有権者の)意思を皆さんが判断してくれたのだと思います」と感想を述べた。

 「超」が付くスピード可決だった。200時間近くを本法案の審議に費やした前国会がうそのように、本国会では、たった2日間(答弁など実質的な審議が行われたのは1日)のみの審議で可決。法案の内容はほぼ変わらないのにもかかわらず、わずか5票の賛否の差は、200票にまで拡大した。小泉首相が「郵政民営化の是非を決める国民投票」と銘打った衆院選における自民党の圧倒的大勝という「民意」を受けた結果となった。

 この日のハイライトは、今月9日、緊急会見し、一転、法案への「賛成」を宣言した野田氏の投票だった。議長に頭をゆっくり下げた“元造反組のマドンナ”は白い札を投じた。閉会後、待ち構えた約50人の報道陣から逃げるようにして議事堂を出た。しつこく食い下がる記者に「極めて冷静に義務は果たしました」と話しただけで、あとは「あれ? 私の車はどこに行っちゃったんだろ?」などと、最後まで質問に答えようとはしなかった。

 同じく造反組保利耕輔議員、堀内光雄議員らも軒並み賛成票に“寝返り”。平沼赳夫経産相が反対の意思を貫き、野呂田芳成元農相が欠席したのを除いて、造反組13人中11人が「完落ち」した。寝返った形の山口俊一議員は「賛成やむなし。たいへん残念。断腸の思いだ。法案の中身がおかしいとの考えは一緒だ。どっちにしても同じ処分だろ」と、あくまで政治家の信念としての投票ではないことを強調した。前回は「棄権」だった古賀誠議員、小渕優子議員らも、何事もなかったかのように賛成票を投じ、3か月間に及んだ小泉劇場は、ひとつの終幕を迎えた。(北野 新太)
 

◆ゆかり議員 変わり身に疑問

 一転、賛成票を投じた野田氏に対し、同じ岐阜1区で選挙戦を戦った自民党新人の佐藤ゆかり議員(44)は「野田さんの(法案に)『反対』という立場を支持した有権者の民意はどうなってしまうのでしょうか」と、一政治家として野田氏が出した結論に疑問を投げかけた。

 先の選挙戦で「郵政民営化は改革の本丸」と訴えた佐藤氏に対し、野田氏は「政治家・野田聖子の信念を曲げるわけには行かなかったのです」と、法案反対の立場を貫いてきた。だけに、佐藤氏も野田氏の変わり身に納得がいかない様子だった。

 いずれにしても、岐阜市内に住居を構える予定の佐藤氏と野田氏が4年以内に行われる次期衆院選で岐阜1区で相まみえることは必至。選挙区支部を失った野田氏と、政治家としてのキャリアを積みつつある佐藤氏の戦いが今後も注目を集めることになりそうだ。

スポーツ報知 10月12日
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/news/index.htm

 しかしやるなあ、ほとんど言いたい放題の報知記事であります。

 記事タイトルの『迷走マドンナ白旗「賛成」』もキツイですが、『賛成票を投じ、“造反組のマドンナ”から“迷走マドンナ”と化してしまった野田聖子元郵政相(45)』とは、なんとも過激な描写ですよね。(苦笑

 感心するのは、しっかり同じ選挙区で戦った佐藤ゆかり議員のコメントも拾っていまして、「野田さんの(法案に)『反対』という立場を支持した有権者の民意はどうなってしまうのでしょうか」という、キツーイ辛辣発言も掲載しているのですよ。

 もうひとつこの記事の北野新太記者に感心するのは、野田氏の陰に隠れてこっそりひよっている胡散臭い連中にもちゃんと触れているのですよね。

前回は「棄権」だった古賀誠議員、小渕優子議員らも、何事もなかったかのように賛成票を投じ、3か月間に及んだ小泉劇場は、ひとつの終幕を迎えた。

 古賀誠先生が「何事もなかったかのように賛成票を投じ」てたのには私も苦笑せざるを得ませんでした。



●サンスポも迷走造反者サラシモノリスト掲載だ!!

 まあ、読売の政治面ダメ記事と報知の良記事のこの関係は、別に読売グループだけのことではないのでありまして、産経なんかもサンスポのほうがはるかにおもしろいのであります。

郵政法案が200票差で衆院通過…計11人が賛成に“転向”

小泉純一郎首相(63)が成立に執念をみせる郵政民営化関連法案は11日、衆院本会議で圧倒的な賛成多数により可決され、衆院を通過した。“造反組のマドンナ”野田聖子元郵政相(45)も賛成票を投じるなど、7月の通常国会で同法案に反対して自民党の公認を得られず、無所属で衆院選に出馬し当選した13人のうち、実に計11人が賛成に“転向”した。

まさに全面降伏−。野田氏は今月9日の記者会見で表明した通り、この日の採決で郵政法案に賛成票を投じた。野田氏は終始固い表情で、本会議終了後は「これまで話したことがすべて」と言葉少なだった。

野田氏だけではない。造反組の無所属13人のうち、派閥会長を辞してまで反対した堀内光雄通産相(75)ら11人が賛成に回った。反対したのは平沼赳夫経産相(66)のみで、野呂田芳成元農相(75)は欠席した。自民党を離党して新党に参加した亀井静香氏(68)、綿貫民輔氏(78)ら4氏は反対。

9月の衆院選で小泉自民が歴史的圧勝を収めた結果、この日の採決では賛成338、反対138の200票差に。造反組続出によりわずか5票差で衆院を通過した7月の本会議とは、大きく様変わりした。

法案は参院に送られたが、反対派だった自民参院議員も多くが賛成転向を表明しており、14日に可決し成立する見通し。

自民党執行部は厳罰の方針を変えず
自民党は11日、郵政民営化法案が衆院通過し、週内に成立する見通しとなったことを受け、先の通常国会で法案に反対し衆院選で党公認候補と戦った議員らの処分について、来週から党紀委員会(森山真弓委員長)の審査を開始する方針を決めた。武部勤幹事長は「国民が注視していることをしっかり受け止めて、自民党は生まれ変わったという結果を出していかなければならない」と述べ、除名など厳しい処分を下す構えを重ねて強調した。

造反組の投票行動
【無所属組】
氏名 選挙区 投票
今村 雅弘 佐賀2区 賛成
江藤 拓 宮崎2区 賛成
武田 良太 福岡11区 賛成
野田 聖子 岐阜1区 賛成
野呂田芳成 秋田2区 欠席
平沼 赳夫 岡山3区 反対
古川 禎久 宮崎3区 賛成
古屋 圭司 岐阜5区 賛成
保坂 武 山梨3区 賛成
保利 耕輔 佐賀3区 賛成
堀内 光雄 山梨2区 賛成
森山 裕 鹿児島5区 賛成
山口 俊一 徳島2区 賛成
【離党組】
亀井 静香 広島6区 反対
亀井 久興 比例復活 反対
滝   実 比例復活 反対
綿貫 民輔 富山3区 反対
※選挙区の「比例復活」は小選挙区で敗北したが、
重複立候補の比例で当選

サンケイスポーツ 10月12日
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200510/sha2005101203.html

 こちらも念の入った記事でして、記事文末には「造反組の投票行動」という表まで付けて、迷走造反者たちをサラシモノにしてしまっているわけです。(苦笑

 こうして表で見ると、亀井静香先生が信念を貫いていてりっぱな方に見えてしまいますが、その意味ではやはり平沼赳夫先生がまさに政治家として「筋を通した」点でごりっぱでありますよね。

 前途は多難でしょうががんばれ平沼赳夫先生!!



●日本の大新聞にクオリティーなど語る資格なし〜愚かな記事フィルタリング技法を嗤う

 どうでしょう、読売と報知、産経とサンスポ、この愚かな記事フィルタリング技法を目の当たりにすると、本当に日本の大新聞にクオリティーなど語る資格はないと強くいいたいです。

 大新聞はなんで政治関連では系列のスポーツ紙でしかおもしろい記事を載せれないのでしょう?
 それはおそらく各新聞本体はクオリティ・ペーパーを目指しているらしいので、「良質の報道」の意味をはき違えているのじゃないかと、私は疑っています。
 つまり、差し障りのある表現、コメントは毒抜きして事実のみの無味乾燥の記事だけを掲載することを「お上品」と勘違いしているのです。

 つくづく大新聞って業界横並びで古い体質なのですね。ネットでも記事がリアルタイムに検索できるこの時代に、なんとも前時代的古風な記事の掲載分けをしていると思いませんか。

 読売など発行部数世界一なのにクオリティ・ペーパーなぞ、目指せられる筈あるわけないのになあ。

 そうは思いませんか、ナベツネさん。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
ポピュリズムの意味をはき違えるな〜豹変する「君子」達を嗤う
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050915/1126751564