木走日記

場末の時事評論

靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える(4)

 以下のエントリーの続きです。

靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050521
靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える(2)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050523
靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える(3)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050525

 他のブログでも当ブログのコメント欄でも熱く議論されているこの問題ですが、この問題の賛否を論じる方法として、対中国外交問題として捉える見方と国内問題として捉える見方で分かれていますね。特に参拝そのものの違憲性に言及されている意見はかなり説得力があると思いました。

 しつこく今回も靖国参拝問題について読者の皆様と一緒に考察してみたいと思います。



予算委員会の各発言を徹底検証してみる。

 不肖・木走としては、この靖国参拝問題では特に顕著なのですが、前々回の当ブログでの首脳会談での発言内容を検証して明らかなように、日本のマスメディアの報道はプチ偏向していたりして信用できません。
 で、肝心の小泉首相自身の公式な言葉をマスメディア報道に頼らずに徹底検証してみたいと思いました。

 平成17年5月20日参議院予算委員会の議事録から、靖国関連の全発言を検証いたしましょう。

参議院公式ホームページ 会議録情報 第162回国会 予算委員会 第16号
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html

 便利な世の中になったものですね。予算委員会の全発言がネット上で検証できるわけで、これもメディアリテラシー的に言わせてもらえば、マスメディアがほぼ独占してきた情報の一次ソースの一般への開放でありまして、すばらしいことだと思います。

 さて、全文はとても長いのですがこの議事録では「靖国」という言葉が12箇所出現します。

 以下抜粋していきますが、引用文章中の強調文字は木走が付記いたしました。



民主党 若林秀樹議員の発言

○若林秀樹君 私は、中国側の肩を持っているつもりは全くありません。どうやってこの友好関係を、やっぱり築いていくことが両国の利益になる、その大局的な見地に立ってやっぱり判断すべきであるということを申し上げているんです。
 そういう意味では、ああいうおわびの言葉言いながら、相手を刺激するようなことを今この段階で、例えば靖国いつ行くかこれから決めるとかって、ああいう発言をすること自体が私は無神経だというふうに思います。相手が嫌がることは、リーダーたるゆえんはやっぱり控え目にする。人を憎まず、罪を憎んで人を憎まずって言いましたよね。それは中国が言っているからってこの間言っていましたよね。孔子の言葉の本質は、罪を憎んでいるんです。ですから、別に東条英機氏個人を憎んでいるわけじゃないんで、罪を憎んでいるからA級戦犯を祭っている靖国神社に対して行くことを駄目だというふうに言っているわけで、全くこの孔子の教えに合っているんですよね。
 これ、違うと言っていますけれども、そういう解釈において、私はやっぱり今のこの状況の中で、小泉さんの一つ一つの言動が、非常に私は、せっかくこうやってアジア・アフリカ会議行って、こういう反省のスピーチをしながら、その後の行動が、帰ってきたらもうすぐに伴っていない、すぐにもう反発しているわけでしょう。そういうことを大局的にやっぱり判断するのが国の外交を推進する私はリーダーだというふうに思います。 その上で質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほどスピーチの中で、ODA予算について共通目標であるGNI比〇・七%にどう近づけるかということが話がありました。目標の達成に努力するという外務大臣の御発言がありましたけれども、今ここで同じ回答をされるのであれば聞きませんけれども、現状〇・二%と非常に低い、ここ数年ずっとODA予算を削減している中で、努力するということはどういうことなのかということを、その重みは外務大臣、首相も分かっていらっしゃるというふうに思います。
 対アフリカ予算を三年で倍増するということを軽々言っていますけれども、アフリカ予算というのは一般無償資金の、技術協力の援助を合わせると二〇〇二年度で六百数十億円あるんですね。これを倍増にするということは一千二百億円を超えるわけです。つまり、六百億円、六百数十億円を増やすのか、ほかのエリアの援助を削るのか、少なくともこの辺の考え方は言っていただきたいと思います。
国務大臣町村信孝君) その辺は今後の予算編成の中でよく財政当局ともそれは議論をしていかなければいけません。ただ、全体として、私自身は、予算を増やしていくと、その中でアフリカの予算も増やしていくという方向が必要であろうかなと、こう思っておりますが、まだその点については、今後、予算編成の過程で十分議論をして煮詰めていきたいと考えております。

 この質問では残念ながら小泉首相靖国関連での答弁はしていません。



民主党 辻泰弘議員の発言と小泉首相の答弁

○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 官房長官の御予定があるやに聞いております。十一時十五分に退室されたいという御要請で、山崎官房副長官からも強い御意向を受けておりまして、思い出しますと、山崎官房副長官が私のところへ来られるときは、後ろ通られるときは、去年は年金国会で強行採決がございましたけれども、余りいいことがないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、お約束をいたしましたので十一時十五分になったら退室していただいたらと、このように思います。
 さて、そういうことで順序を通告と変えておりますけれども、まず最初に、若林委員の御質問にも関連いたしまして、総理の靖国神社参拝について御質問をさせていただきたいと思います。
 総理は、二〇〇一年八月十三日、二〇〇二年四月二十一日、二〇〇三年一月十四日、二〇〇四年一月一日と、四回にわたって参拝をされているわけですけれども、これについて総理は、自らの参拝を、いわゆる公式参拝、私的参拝、いずれだと認識されているのか、そのことについてお示しください。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、靖国神社参拝するのは、今まで申し上げていますとおり、戦没者に対する追悼の誠をささげると同時に、二度と戦争を起こしてはならないという一人の人間として参拝しているものでありまして、これは別に総理大臣の職務として参拝しているものではございません。
○辻泰弘君 官房長官にお伺いいたしますが、この総理の参拝について、過去四回あったわけですが、それについての内閣としての見解をお示しいただきたい。すなわち、公式なのか私的なのかということです。
国務大臣細田博之君) 辻議員にお答え申し上げます。
 小泉総理の靖国参拝靖国神社参拝は、いずれも個人としての立場でなされたものと理解しております。
 これは、平成十六年三月に、当予算委員会におきまして辻議員から御質問を受け、福田前官房長官が、参拝そのものは私的な立場で、個人の真情として、真情の発露として行われたものであると理解しておりますということ。それから、平成十四年五月に、同じく辻議員の本会議における御質問についての同様の答弁と全く同趣旨でございます。
○辻泰弘君 今個人としてとおっしゃいましたけれども、私への福田長官の答弁のときは私人としてということでしたが、それはイコールと考えていいですね。
国務大臣細田博之君) それはおっしゃるとおりでございます。
○辻泰弘君 こういう内閣の見解なわけですけれども、当然のことですけれども、その内閣の見解は総理の当然受け入れるところだと思いますけれども、それについてどうですか。
内閣総理大臣小泉純一郎君) かねがね申し上げまして、申し上げているとおり、総理大臣の職務として参拝しているものではございません。
○辻泰弘君 率直に私の質問に答えてください。
 内閣としては、個人として、私人としての参拝であると、こういうふうに明確に言っているわけです。そのことを御自身でどう思っていらっしゃるかというか、そのことは自分自身としてそうだと認識されるのは当たり前だと思っているんですけれども、それはどうですか。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 総理大臣である小泉純一郎が個人として参拝しているものでございます。
○辻泰弘君 個人として、私人として参拝されていると、そういうことですか、今おっしゃったのは。
内閣総理大臣小泉純一郎) 私はかねがね申し上げているように、個人として参拝しているものでございます。
○辻泰弘君 かねがねとおっしゃいましたが、かねがね公私ははっきりさせないんだと、意地でも言わないとおっしゃっていたのが総理のお立場だったわけで、それは変わったといいますか、常識的になったところはいいと思いますけれども。
 そこで、総理は非常にこのことと郵政のことはかたくなになっていらっしゃって、ちょっと大人げないと私はいつも思っておりますけれども、そこで、今年の一月の二十八日、沖縄地裁での判決があって、その中で、被告国、被告小泉純一郎ということで主張があるわけでございます。
 国としては同じ、今と同じように私人の立場での参拝だと、こういうふうになっているわけですが、小泉さん、総理の主張というのがございまして、そこで言ってらっしゃることが、閣議において公式行事と決定されるなどの特別な事情が職務行為となる場合は必要だけれども、この小泉総理の参拝は被告小泉一人の発意により一人で決定して実施したもので、本件各参拝を職務行為とするための行政行為は一切なされていなかったと、本件各参拝は、あくまでも自然人たる被告小泉が靖国神社に赴いて一人で行ったものであり、憲法上被告小泉に認められた思想良心の自由ないし信教の自由に基づいて行ったものと、こういうふうになっているわけです。自然人たる被告小泉がと、こうなっているわけです。
 余り、総理は自然人かどうかということは考えるところもありますけれども、余り自然な方でもないようにも思いますけれども、しかし、やはり厳密な法解釈上は自然人たることになるわけでございますが、いずれにいたしましても、総理はさっき、今までよりは少し踏み込んでおっしゃっていただいたと思っています。一人の人間としてとおっしゃいました。また、私人という立場というふうにおっしゃったと思います。かつて国会では、総理はそういうこともおっしゃっております。平成十三年でございましたか、私人として参拝したいということをおっしゃっておられたことがございますし、新聞報道等マスコミへのインタビューについては、私的参拝と言ってもいいかもしれないと、こういうふうにおっしゃいました。
 再度確認しますが、私的参拝とこう考えていいですね。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、前から私的とか公的とかいうことについてはこだわってないと、ただ総理大臣の職務として参拝しているものではないと、個人の真情として参拝しているものであると、それがすべてであります。
○辻泰弘君 私は、ここが大事なことで、これまでの政府の見解のように、内閣総理大臣その他国務大臣の地位にある者であっても、私人としての信教の自由が保障されているところは言うまでもない、これらの者が私人の立場で参拝することは自由だと、これはもうそのとおりだと私は思います。
 しかし、私は総理というようなお立場の方であるならば、いろいろ考える中で自らの思いがどうであろうと抑制的であってしかるべきだと思いますが、しかし突き詰めたところ、やはり総理も当然私人としての、個人としてのお立場があるわけでございますから、それは認められるのが当然だと思います。
 しかし、総理の場合は、その私人、公人を明らかにしないままにやってこられて、むしろそのことを公人であるかのような吹聴の仕方といいますか、太鼓を鳴らしてどんどこやっているようなそういうことがあって、結果として違憲判決が出たり、違憲を推認、違憲の疑いを推認させるような判決が出ると、こういうことがあったわけでございます。
 例えば、内閣総理大臣として参拝を推認し得る要素を多分に含んだ態様となっているというのが大阪地裁の判決でございました。その中身としては、自民党総裁選の公約にしたと、あるいは国会等で発言をしたと、首相談話を出したとか、こういったことで被告小泉自身が内閣総理大臣として参拝することを明確に示す行動を取っていたと、こういうようなことを言っているわけですね。こういうことから、閣議決定や公費支出、他の閣僚の同伴といった事実がなくて、政府が私的参拝であるとの立場を取っていたこと等を最大限考慮しても、なお本件参拝は被告小泉が内閣総理大臣の資格で行ったものと認めるのが相当であるというのが、この大阪地裁の判決でございましたし、推認させるような判決になっている。
 また、違憲判決も実は福岡地裁で出ているわけでございます。
 私が言いたいのは、そういったことがやはり国内的にも私はおかしいと思っていますけれども、しかし、それが外国から見たとき、やはり摩擦を必要以上に増幅させたと、やはり神経逆なでして不信を増大させたと、その罪といったらあれですが、その責任は私は極めて大きいと思うんですね。私人として明言された上で行っていらしたならば、私は、それは私自身としても許容せざるを得ないといいますか、いたしますし、諸外国から言われても、そこはやはり個人の自由だということになると思うんですが、総理の場合、そこをあいまいにあえてされて公人であるかのように振る舞ってこられたことが、私は必要以上に問題を大きくしたと、このように思っているわけなんです。 ですから、そういう意味において、私は私人であるということを明確にした上で行かれるということが当然だと思いますし、適切に判断してとおっしゃっていますが、適切というのはどういうことかよく分かりませんけれども、いずれにいたしましても、そのことについて十分認識をして対応していただきたいと。
 与党の中でも、新聞見ますと、公明党の神崎代表が、大局観に立った行動を取るべしと、このようなことも昨日発言されているようですけれども、私は今までの総理のこの問題についての対応というのはやっぱり大局観がなかったと断ぜざるを得ないと思っております。この問題について、やはり私的参拝である、個人としての行動であるということを明確にして、認識をしっかり持っていただいて、その考え方の下に行動していただくということで申し上げたいと思いますが、総理、そのことについて御見解をお示しください。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 被告、被告と言いますけれども、私のことを、なぜ靖国に参拝することが憲法違反で、私が被告人になるのかと、これも不思議でしようがないんです。
 憲法解釈、裁判にもいろいろな判決があるんですよ。一つじゃないんです。全然問題ないという判決もありますし、今言ったような問題があるんじゃないかという判決があるということも承知しております。しかしながら、私は大局的に、見地に立って参拝しているんですから。これは個人の真情を、いかに内閣総理大臣であろうとも他人がこれは憲法違反であると言うのは、私は理解に苦しんでいるんです、いまだに。
○辻泰弘君 法治国家なんですから、裁判が起こってそれを受けて立つのは、それはある意味では別におかしなことではなく、私は判決を読んだだけでございますから、それは別に私は決め付けたわけではございません。
 それで、確認しておきますけれども、最初に戻りますが、じゃ、やはり個人としての私的参拝であると、こういうことでいいですね。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 何回も申し上げておりますように、内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝しておりますが、内閣総理大臣の職務として参拝しているものではございません。
○辻泰弘君 総理は、今日は後半がちょっと盛り返されたかもしれませんが、前半に、一人の個人として、一人の私人としてというニュアンス出たと思いますけれども、そのことを十分踏まえて対応していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 それで、順序が逆になったというゆえんですけれども、一点だけ別のことでお聞きしておきたいと思います、・・・・

 ここですね、各メディアに報道された小泉発言であります。
 特に興味深いのは以下の発言であります。

内閣総理大臣小泉純一郎君) 被告、被告と言いますけれども、私のことを、なぜ靖国に参拝することが憲法違反で、私が被告人になるのかと、これも不思議でしようがないんです。
 憲法解釈、裁判にもいろいろな判決があるんですよ。一つじゃないんです。全然問題ないという判決もありますし、今言ったような問題があるんじゃないかという判決があるということも承知しております。しかしながら、私は大局的に、見地に立って参拝しているんですから。これは個人の真情を、いかに内閣総理大臣であろうとも他人がこれは憲法違反であると言うのは、私は理解に苦しんでいるんです、いまだに。

 小泉首相のいらいら感がよくでているコメントであります。「これは個人の真情を、いかに内閣総理大臣であろうとも他人がこれは憲法違反であると言うのは、私は理解に苦しんでいるんです」という発言からも、参拝に行くのは私の勝手でしょといいたいわけですね。
 
 私の率直な感想を述べさせていただければ、やはり一国のリーダーとしてはリスクマネージメントもしっかり冷静にやっていただきたいのですが、この発言で見る限り弁明がロジカルじゃないのですよね。なんというか、センチメンタルで弱いような感じがするのですが・・・

 

公明党福本潤一議員の発言 「ヒトラーの墓に例えば参拝するドイツ首相」?

 ここからはオマケなのです。(苦笑
 与党公明党議員のすごい質問が最後にありました。

福本潤一 拉致問題も含めてこの核問題、適切な対応を進めていただければと思います。
 と同時に、先ほど質問ございましたけれど、小泉総理の靖国神社の参拝問題もお伺いさせていただこうと思います。
 これ違憲状態、違憲の疑いもありというようなことも一方では出てきてはおりますし、と同時にA級戦犯の問題も具体的にあるということで、私の感覚でいきますと、中国側から見ると、例えばA級戦犯ということになりますと、例えば、ヨーロッパでいうと、ヒトラーの墓に例えば参拝するドイツ首相というような形が起こった場合、ユダヤ人とか、またさらにはドイツ人、どういう感覚を持つかという側面も考えていただければと思いますし、昨日、記者会見された神崎代表、こういうふうに言っておられます。首相の信念を貫きつつ一番現実的で実現性が高いのは追悼施設を作ることだと。八月六日、広島でやりますけれども、そういう追悼施設に対してどういうふうに考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、この靖国神社の参拝がヒットラーの墓に参るのとは全く別問題だと思います。靖国神社には、これはA級戦犯のみならず、多くの戦没者の方が祭られているわけであります。
 そして、私は、戦没者に対する参拝というのは、靖国神社だけではありません。無名戦士の墓地におきましても参拝しておりますし、広島にも長崎にも出席し参拝しておりますし、沖縄の戦没者の慰霊祭にも参拝しておりますし、特定個人のために参拝しているわけではありません。やっぱり、二度と戦争を起こしてはいけないし、戦没者に対する追悼の念を持つということは、これは人間としても必要なことではないかと思っております。そういう観点から参拝しているのであって、これが軍国主義の美化をしているという批判は当たらないと思っております。
福本潤一 終わります。

 小泉靖国参拝ヒットラーの墓参りに喩えていますが、こんな過激な質問を国会でしていいんでしょうか?

 これって、この質問自体がかなり問題発言じゃないんですか?

 マスコミは取り上げないのかなあ、不思議です。

 公明党福本潤一議員の「ヒトラー墓参り」発言について報道を調べましたが、ネット上では、河北新報ぐらいしか取り上げていませんでした。

靖国参拝、公明も批判 参院予算委集中審議

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題が20日の参院予算委員会の集中審議で取り上げられ、野党だけでなく与党の公明党からも批判が上がった。神崎武法代表が19日に「自己の信念だけで行動するのではなく、大局観に立つ行動をしてもらいたい」と自粛を求めたのに続き、首相の靖国参拝公明党が懸念を強めていることを印象付けた。
 この日の審議で同党の福本潤一氏は、A級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への参拝について「ヨーロッパでヒトラーの墓に参るようなものではないか」と指摘。首相は「ヒトラーの墓参りをするのとは全く別の問題だ」と声を荒らげた。
 福本氏は靖国神社参拝が、政教分離を定めた憲法に違反するとの司法判断があることも指摘。首相が「靖国神社だけでなく、(外国の)無名戦士の墓や広島、長崎、沖縄でも慰霊、参拝している」と反論する場面もあった。

2005年05月20日金曜日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/05/2005052001004393.htm

 ネットではないですが、今週号の週刊新潮がこの発言を取り上げているようですね。
 朝日・毎日・産経・読売・日経、それに系列のテレビなどマスメディアはどうしてこの発言を大きく取り上げないのでしょう。

 公明党に遠慮しているのだとしたら、メディアとしての役割放棄ですよね。
 ふう。



 今日は国会議事録から靖国関連発言を検証してみました。
 最後にへんなおまけの検証まで付いてしまいました。(苦笑

 読者のみなさまのこの問題を考察する際の一助となれば幸いです。



●追記 2005.05.29 00:20

 e_r_i_c_t様より情報提供いただきました。
 福本氏は26日、議事録からの発言削除を参院に申請したそうです。

公明党>「ヒトラーの墓参り」発言に注意 冬柴幹事長
 公明党冬柴鉄三幹事長は26日の同党代議士会で、首相の靖国神社参拝をとらえて「ヨーロッパでヒトラーの墓に参るようなものではないか」と発言した同党の福本潤一参院議員に対し「発言が不適切」と注意したことを明らかにした。20日の参院予算委員会で発言したもので、冬柴氏は「ヒトラーの墓参りと靖国神社参拝を対比することは不穏当で適切でない」と語った。
 福本氏は26日、議事録からの発言削除を参院に申請、「戦争被害者の心情を例示したつもりだったが、結果として不適切な表現だった」とおわびのコメントを出した。
毎日新聞) - 5月26日20時12分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050526-00000090-mai-pol

 e_r_i_c_t様情報提供ありがとうございます。
 なお、当ブログでは、事実経緯を明らかにするためにエントリーはこのまま、福本氏の発言を削除せず載せることとします。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050521
靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える(2)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050523
靖国参拝問題〜大局的見地に立って考える(3)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050525