木走日記

場末の時事評論

半島と列島と竹島とヨン様と正日様

 遺骨鑑定をめぐる問題について考察してきましたが、北朝鮮という独裁国家を相手にしているわけでありまして、そもそも日本政府としても対応が難しいところはあるのでしょう。いつも感じていることですが、韓国も含めて朝鮮半島の人々の対日観と、日本人の朝鮮半島観というのは、なにやらお互いに特別なものがあって、双方が政治的諸問題を話し合うとき、感情が入ってしまって冷静に議論し合うのを難しくしていますよね。日本人同士でお酒の席で与太話議論していても、まあ、アメリカとかイラクとかはある種無責任に放言できるのですが、こと朝鮮半島の話になると妙に身構えてしまうようなかんじがありますです。

たとえば、今日のニュースからこんなところ。

 竹島問題で意見書可決 鳥取県議会

 島根県の「竹島の日」条例をめぐり、鳥取県議会は23日、問題の早期解決などを求める意見書を全員一致で可決した。小泉純一郎首相らに送付する。

 意見書によると「日韓双方が領有権を主張している竹島(韓国名・独島)は韓国により実効支配され、わが国の主権が行使できない状態が続いている。問題解決への積極的な努力を行うべきだ」とした上で、誠意を持って韓国政府と交渉するよう求めている。

 また、日韓漁業協定で設定された暫定水域における水産資源の管理や、竹島周辺での日本漁船の安全確保も国に求めている。(共同)

産経新聞(03/23 13:43)
http://www.sankei.co.jp/news/050323/sei078.htm

 漁業権の問題も絡んでおり島根県の立場も理解できますが、「竹島の日」条例もこの意見書も、その主旨とは遠くはなれてうがった評論をされてしまい、韓国の対日世論に火に油をそそいでしまうわけです。なんていうかな、肩に力が入りすぎているような・・・

 もちろん、韓国政府の対応もお世辞にも大人のふるまいとは言えません。

 韓国政府は、17日に表明された『対日関係についての「基礎と対応」』で、対日外交を大きく転換いたしました。その中で対日外交の四つの原則と五つの対応を発表しています。

 対日外交四つの原則
(1)人類の普遍的価値と常識に基づく韓日関係の構築を目指す。こうした次元での徹底した真実の究明、真摯(しんし)な謝罪と反省、普遍的な方式に立脚し過去史問題の解決を図っていく
(2)竹島問題の挑発など日本の行動に対しては、過去の植民地侵略を正当化するものとして認識し対処する
(3)韓国は国際社会に韓国の立場の大義を示し、日本の態度変化を促していく
(4)日本の既存の退行的な態度にもかかわらずわれわれは基本的なパートナー関係を傷つけず経済や文化、人的交流を続けていく−としている。

 対日外交五つの対応
(1)竹島問題では領有権を守護
(2)歴史問題での両国の共通認識を目指す
(3)日本統治時代の被害者問題は日本にさらなる努力を促す
(4)日本が国際社会で主導的な立場を獲得するにあたり隣国の信頼が前提と主張していく
(5)両国の各方面の交流は継続する−などとなっている。

 うーん、これって一国の最高意思決定機関が決定するレベルの内容なのでしょうか?
 あと気になるのは同時に表明された談話で、 革新政権らしく「日本の良識ある知性や市民たち」といい「日本の良心勢力との連帯」「両国の市民社会間のネットワーク構築」などへの期待が強調されている点ですね。
 これって、わざわざ、日本政府としての対応を難しくさせているようなもので、ちょっと、こっちも思いっきり力入りすぎ・・・・・


 どうも双方力みすぎなのでありまして、この件で冷静な意見をお持ちな人はいないのかなと思っていたら、おりました。それも超有名なお方が。

ヨン様、独島問題について述べる 2005/03/23

 ヨン様が独島問題について「独島は韓国の領土であり、そのためもっと理性的に対処すべきである」と述べた。

 21日、ペ・ヨンジュンは自身のホームページを通じて「独島が誰のものなのかについて一言ずつ話をしながら、実際に変わることは何か、真の解決のためどのように役に立つかを、冷静に考えてみる必要がある」「国民がこれ以上感情的な対立によって傷つけあい、関係悪化の一途をたどることがないように願っている」と明らかにした。

 彼は17日、映画『外出』(日本語タイトル:4月の雪)の記者会見で独島に関する記者の質問に明確な答えを出さなかったため論難があった。彼は「国家領土に線を引く一言よりは、アジア家族たちの心と心を線で繋げていることに最善を尽くしたい」と話した。21日午後3時現在、ぺ・ヨンジュンの文章に数十名のネティズンが「あなたを支持します」というメッセージを残した。以下はホームページに掲載した彼の文章である。

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 17日、映画『4月の雪』に関する記者会見で独島問題に関する質問を受けてから悩みました。その席でとても重要な問題に対する自分の意見を述べることは色々な面で適切ではなかったのですが、そのような状況的な側面から離れ、いくつかの答弁だけが多くの記事に使われ、インターネットで論争の素材になってしまいました。

 その時は、記者会見で最善を尽くして述べましたが、その後また文章を残すことを決めたのは、何よりも私の家族たち、そして私が今も頑張っていると信じている親にこれ以上心配をかけたくないためです。

 そしてその時に、適切な機会に再び話すと答えた自分の約束を守るためです。今、ここでいつも私を見守ってくださる家族たちにまず話をしようと思います。

 答えは1つですが、それに対する意見も1つ述べようと思います。独島は韓国領土であり、そのためもっと理性的に対処すべきであると思います。独島がどの国の領土であるかに関して一言ずつ話をしながら、実際変わることは何があるのか、真の解決のためどのように役に立つかを冷静に考えてみる必要があると思います。

 国民がこれ以上感情的な対立によって傷つけあい、関係悪化の一途をたどることがないように願っています。何よりも、この重要な国家的な思案については両国の国家政策を決定する方々が賢明な方法で近い内に対処してくださると信じています。国民がこれ以上悲しまないことを、国民の1人として願っています。

 私に与えられた役割があるのであれば、それは国家領土に線を引く一言より、アジアの家族たちの心と心の線をつなげていくことであると思います。そして、そのことに最善を尽くしたいと思います。今までのように、アジアの私の家族たちとともにいいことをやっていこうという心に変わりはありません。そして、私が今まで受けてきた身に余る声援をもっと大きな愛で返すため努力します」

 パク・サンキュ       3月21日

(OhmyNews)

インターネット新聞JANJANの記事よりhttp://www.janjan.jp/world/0503/0503214838/1.php

 おお、なんと視野の広い心大きなお方なのでしょう。「私に与えられた役割があるのであれば、それは国家領土に線を引く一言より、アジアの家族たちの心と心の線をつなげていくこと」とは、さすがであります。

 木走的には、韓流ブームに乗って日本でもCMスポンサーがバンバン付いちゃって荒稼ぎしているし、かといって母国韓国世論にも配慮しなければならないので苦し紛れにきれいにまとめただけだ、などとは思いたくありません。(汗

 このような広い視野でもって双方大人の態度でもって冷静に真摯に話し合うことが、今なにより求められているのです。

 ん? 

 なんか、すごく怒っている国がもう一国ありました。

労働新聞論評 対日敵がい心をかきたてる独島強奪野望

 労働新聞11日付は、「対日敵がい心をかきたてる独島強奪野望」と題する署名入りの論評を掲載した。内容は次のとおり。
 既報のように、先日、南朝鮮駐在日本大使の高野紀元が記者懇談会で、独島(竹島)は「歴史的に、また法律的に日本の領土」であるという強盗さながらの「竹島領有権」主張をした。

 これに先立って島根県では「竹島の日」を制定する「条例案」を上程した。

 独島がわが国の不可分の領土であるというのは歴史的に、国際法的に完全に証明されている。第2次世界大戦後、連合軍総司令部も独島を朝鮮の領土と判定し、わが国に返還する措置を取った。

 独島がわが国の島であるということを証明する史料が多く発掘されるなか、先日、日本でも独島が朝鮮の領土であることを証明する2点の日本古地図が発見されたし、米国国立公文書館記録管理庁では、このような事実を立証する英国政府の地図が発見された。

 問題は、日本の反動層がなぜ独島が明白に朝鮮の領土であるにもかかわらず、「独島領有権」に固執するのかということである。一言でいって、それはわが国に対する再侵略企図に関連する。

 日本の反動層は、独島だけを掌握すればわが国に対する再侵略を容易に実現できるばかりでなく、大きな経済的利益も得ることができると打算している。このため、日本の反動層はこの島を自国の領土だと言い張りながら意図的に問題を引き起こしている。それは、「独島領有権問題」を国際化して独島強奪に有利な雰囲気をつくり出し、朝鮮再侵略の前哨基地を掌握するための一種の侵略行為である。

 わが国を侵略してわが民族に40余年間、ありとあらゆる不幸と苦痛を強要したのに、それに対する謝罪と補償を回避し、またしてもわが国に対する侵略と支配を企む日本の反動層に対するわが民族の怒りと敵がい心は頂点に達している。

 日本の反動層は、理性を持って分別のある行動を取るべきであり、独島強奪の企図と朝鮮再侵略の野望を捨てなければならない。(朝鮮通信)

[朝鮮新報 2005.3.17]
http://210.145.168.243/sinboj/%EF%BD%8A-2005/04/0504j0317-00009.htm

 「独島がわが国の不可分の領土である」って、おいおい、南朝鮮政府(韓国)は完全無視ですか?

 「わが国を侵略してわが民族に40余年間、ありとあらゆる不幸と苦痛を強要したのに、それに対する謝罪と補償を回避し、またしてもわが国に対する侵略と支配を企む日本の反動層」って、だからおたく(北朝鮮)は直接関係ないってば・・・・・

 うーん・・・・。

 半島と列島の理解し合える日はまだまだ先のことかもしれませんね、正日様

 ふう。



(木走まさみず)