「みんなちがって、みんないい」(キリッ)〜蓮舫氏のその図太い感性をおおいにたたえよう
今回は小ネタです。
さて民進党の蓮舫新代表ですが、今回の代表選を通じていくつか彼女お得意のキャッチーなワードを放っておりましたね。
曰く、
「私はバリバリの保守ですよ。みんな間違っているけど。野田佳彦前首相並みの保守ですよ」
「『ワクワクする政治』と『さわやかな戦い』『女性の挑戦』を頑張りたい」
また、民進党を与党政策へのただの無責任な反対政党ではなくし、責任ある対案を掲げて失った党への信頼を取り戻していく方針も、全面に押し出しました。
「民進党をしっかりと選択してもらえる政党にしていく」
「私たちには政策も対案もある」
うむ、失った党への信頼を取り戻していくための『対案路線』であります。
『バリバリの保守』として、『ワクワクする政治』と『さわやかな戦い』『女性の挑戦』を実践・実現を目指す、そのために反対だけの無責任野党ではなく、政権に対して責任ある対案を掲げて、失った民進党への信頼を取り戻していく、というわけでありますね。
『対案路線』、けっこうなことです。
けっこうなことではあるのですが、普天間基地問題ではさっそく「今の政権の沖縄への手法はあまりにも県民の声に寄り添っていないやり方だ」と、対案なき反対がための反対を主張して、政権のやり方を対案を示さずただ批判するだけを露呈、何も今までと変わらないことを批判されておりました。
(関連エントリー)
2016-09-17 蓮舫氏よ、『対案路線』はどこにいったのだ!?〜普天間基地問題でさっそく馬脚あらわす
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20160917
その反省に立ったのでしょう(いや反省などするわけないでしょ?)か、28日、党首としての初めての晴れの参院本会議で行われた代表質問の締めくくりとして、民進党の蓮舫代表は安倍晋三首相に対して「究極の対案」(蓮舫氏曰く)をぶつけたのであります。
安倍晋三政権が掲げる「1億総活躍社会」の対案として「多様性を認める社会」を挙げ、「究極の対案だ」と強調したのであります。
蓮舫氏は、詩人の金子みすず氏の「みんなちがって、みんないい」を引用し、「金子みすずさんの詩(うた)のような多様性を認める社会を目指す」とアピールしたのであります。
記者団から、詩を引用した狙いを問われ「1億総活躍の思いも評価するが、みんなで一緒に活躍しようという社会ではなくて、一人ひとりが自分の力、自分のやりたい方向を認めてくれる国をつくりたい。ここは(現政権と)対照的だ」と胸を張ります、エッヘンとばかり。
(関連記事)
民進・蓮舫代表「多様性認める社会が究極の対案」 安倍政権の「1億総活躍社会」と対比
http://www.sankei.com/politics/news/160928/plt1609280026-n1.html
うーむ、安倍さんの唱える「1億総活躍社会」については、そのネーミングセンスが戦中のスローガンである「1億玉砕」や「1億火の玉」などを連想させたりして少しばかり雅(みやび)でないよなあ、とは当ブログも感じないことはなかったのです。
が、それはさておき、安倍さんの目指す「1億総活躍」な「社会」は、「多様性を認めない」息苦しい「社会」に違いないという論理の飛躍というか「跳躍」はお見事であります、よくわかりませんが、すごいですね、根拠ない非論理的なイメージのみの民進党ならではの政権批判だと判断しますが、蓮舫氏によれば「究極の対案」となるわけです。
まあ、この「究極の対案」、安倍政権が醸し出す「全体主義的」フンイキに対して、蓮舫氏なりにタイムリーに対案をお示しになったということでしょうか。
舞台は9月26日に開会した衆議院、安倍晋三首相の所信表明演説であります。
安倍首相は「現場では夜を徹して、そして今この瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっています」と述べます。そして「彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけ、これに呼応するように、自民党議員らが起立して大きな拍手が沸き起こったのであります。
安倍首相は壇上で大きくうなずき、自らも拍手したのであります。
パチパチパチパチ。
このスタンディングオベーションに対しては、中国共産党に500人もの議員を引き連れて詣でた小沢一郎氏に「ここは中国か、北朝鮮か」と「お前が言うな」批判をいただいたりしたわけですが、まあそれはともかく、一部野党から「全体主義か」と批判されている最中ではあったわけです。
話を戻しますが、衆議院でのこの前代未聞のスタンディングオベーションのパフォーマンスを開陳した安倍首相に対して、蓮舫氏なりにタイムリーに対案をお示しになったのかもしれませんね。
「一人ひとりが自分の力、自分のやりたい方向を認めてくれる国をつくりたい」、「多様性を認める社会をつくりたい」、みんな一斉のスタンディングオベーションなんて気持ち悪いと。
けっこうなことでございます。
・・・
ほんの些細なことかも知れませんが彼女のこういう図太い感性が苦手なのです。
「多様性を認める社会をつくりたい」
詩人の金子みすず氏の「みんなちがって、みんないい」を引用するまでもなく、SMAPの『世界に一つだけの花』だってよろしいと思うのですが、今日、「多様性を認める社会をつくりたい」との『正論』に、反対する者などは当ブログも含めてまず、そうそうはいないことでしょう。
この国会における蓮舫氏の結びの一見『正論』主張は、はたして安倍さんの目指す「1億総活躍」な「社会」への「究極の対案」になっているのか、根本的なところではなはだ非論理的な印象操作による「対案」な感じがします。
が、それは置きまして、国籍問題がネット上などで熱く批判を受けている蓮舫氏自身が、国会にて「みんなちがって、みんないい」じゃないか、とのたまい、「エッヘン」と胸を張る、
この感性が、当ブログとしてどうにも苦手なのであります。
その説明が二転三転し結果として過去をごまかし、なおかつ疑惑の全てが究明されてもいないのにその公人としての説明責任を放棄しているご自身が、国民が政治家としてのその資質に疑問を抱いているまさにこのタイミングで、国会にて堂々と「みんなちがって、みんないい」(キリッ)と主張する。
この図太い感性です。
当ブログは苦手なのですが、これはある意味で政治家として極めてタフなメンタルの持ち主であることを証明しているとも言えましょう。
あっぱれです。
そうだ。
読者の皆さん。
この野党第一党の代表・蓮舫氏を、その図太い感性をおおいにたたえましょう。
彼女に対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか!
パチパチパチパチ。
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日本の政治の夜明けは遠いかも・・・
ふう。
(木走まさみず)