木走日記

場末の時事評論

「喪屍肉在中国」(ゾンビ肉は中国にあり)〜10万トン以上のゾンビ肉没収も今日も中国は平常運転

 今回は小ネタです。

 中国語でゾンビは「喪屍」という言葉が使われるそうですが・・・

 「食は広州に在り=食在広州」ということわざがありますが、中国は広州から延与光貞記者による、とんでもない「ゾンビ肉」のニュースが飛び込みました。

 さしずめ「喪屍肉在中国」(ゾンビ肉は中国にあり)といったところでしょうか。

 うむ、国営新華社通信などが伝えたところでは、中国の税関当局が冷凍肉の密輸グループを摘発したところ、1970年代、80年代の肉が流通していたことが分かったそうであります。

(参考記事)

「ゾンビ肉」、中国で流通 一部は70年代生産の記録
広州=延与光貞
2015年6月30日05時01分
http://www.asahi.com/articles/ASH6R5JJ9H6RUHBI01W.html

 うーん、驚くのはその量の多さであります。

 税関当局は全国で20以上の密輸グループを摘発したそうで、鶏の手羽先や足、牛肉など10万トン以上、計30億元(約593億円)相当の肉を没収したとのことです。

 で、一部の包装に、70年代、80年代に生産されたとの記録があったというわけです。

 でなんで40年前の肉が流通したかと言えば、密輸肉の原産国は米国やブラジルなどで、長期保存の経緯は明らかでないが、中国メディアは「戦時用に備蓄されていた肉ではないか」などと推測しているそうです。

 で、最悪なのが、湖南省の摘発例では、いったん香港に集められた後、ベトナム経由で密輸。途中、冷凍車を使わずに溶けて腐り、再び冷凍された肉もあったのだそうです。

 で、このゾンビ肉、牛肉の市場価格は通常、1キロ80元(約1600円)程度だが、密輸肉はその半値程度だった、と。北京、天津、重慶の各市や、河南、四川、湖南、広東など各省のスーパーやレストランに流通していたとみられるそうです。

 で、肉は検疫を受けていないため、鳥インフルエンザ口蹄疫(こうていえき)などに感染していても、そのまま流通していた可能性があるといいます。

 ・・・

 うーん、ここ重要なんですが、この記事で「10万トン以上」としているのは、あくまで税関当局が今回没収したゾンビ肉の量なのでありまして、今までにすでに流通してしまった肉の量や、税関当局が見過ごしてしまっているであろうゾンビ肉の総量は、全く不明な点であります。
 ゾンビ肉がどんだけ流通してしまったのかようわからんわけです。
 で、40年前のしかも一部「冷凍車を使わずに溶けて腐り、再び冷凍された肉」も含まれるゾンビ肉が、広く「北京、天津、重慶の各市や、河南、四川、湖南、広東など各省のスーパーやレストランに流通していたとみられる」わけです。
 ウップ、であります。

 それを食したと想像するだけで気持ち悪くなりますね。

 中国よたいがいにしろよ、といいますか、食の安全とかの次元ではくくれない異次元のニュースではあります。

 これ普通の国なら大ニュースになり食肉市場がパニックになるのは間違いなく、市民の苦情が殺到、政府の管理責任が厳しく問われ、原因解明と再発防止の対策が講じられるであろう大問題に発展するわけですが、中国の場合、公営通信社がさらっと報道してそれで何もないがごとくおしまいなところが、ある意味、ゾンビ肉が流通した事実以上に、恐ろしいところなのであります。
 今日も中国は平常運転なのであります。
 ふう。



(木走まさみず)



<追記>(2015.06.30 15:15)

 新たな情報が入りましたので追記です。

(参考記事)

「ゾンビ肉」 中国で出回る「消費期限40年前」の冷凍肉・・・食生活の「スリラー」=中国メディア
2015-06-30 11:33
http://news.searchina.net/id/1579597?page=1

 上記サーチナ記事によれば、「ゾンビ肉」の中には「大量の有害菌や有毒物質が残る」状態で「腐敗」したものもあるという話であります。

長期に渡る保存中に温度が摂氏0度以上になった場合には有害菌が増え腐敗する。再冷凍されても、肉の中には大量の有害菌や有毒物質が残ることになる。

 さらに、「ゾンビ肉」は「表面が酸化して黒く変色しているので、消費者に直接売ること」はできず、「煮込んだり油で揚げるなどの処理をすることで、正常な肉と区別がつきにくいようにしていた」そうであります。

肉のかたまりは表面が酸化して黒く変色しているので、消費者に直接売ることはせず、飲食店向けに流通していた。煮込んだり油で揚げるなどの処理をすることで、正常な肉と区別がつきにくいようにしていた。

 なんといいますか、すごいな、と。

 特にここ、「消費者に直接売ることはせず、飲食店向けに流通していた」ところ。

 なんのてらいも屈託もないこの「流通手段」はいかがでしょう。

 もちろんこの一件だけで中国からの輸入食材全般の安全性について語るわけにはいきませんが、当ブログの大好物であります『黒酢の酢豚』は、中国出張の折には食すのを当面控えようと固く決意いたしました次第です。

 「煮込んだり油で揚げた」「表面が酸化して黒く変色している」「ゾンビ肉」かも知れませんからね。

 しかしなあ。

 キーボードたたいているだけでも、ウップ(苦笑)なのではあります。

 ちょっと、ひでえなあ、と。