木走日記

場末の時事評論

安全保障関連法案は国権の最高機関で墓穴を掘った自民党の負け〜もはやここまで、自民党は堂々と憲法改正の旗を掲げよ

 衆院憲法審査会で4日前代未聞の珍事が発生した模様です。

 憲法学の専門家3人を招いて参考人質疑を行い、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使を含む新たな安全保障関連法案について、なんと与党が推薦した参考人をはじめ全員が「憲法違反だ」と批判いたしました。

 与党が呼んだ参考人が政府の法案を否定するという異例の事態となり、“人選ミス”で墓穴を掘ったわけであります。

 特に堂々とした発言は自民党公明党などが推薦した早稲田大の長谷部恭男教授であります。

 安保法案について「憲法違反だ。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と明言いたしたのであります、スバラシイ。

 関係者によると、自民党参考人の人選を衆院法制局に一任したというではありませんか。

 「長谷部氏でゴーサインを出した党の責任だ。明らかな人選ミスだ」(自民党幹部)との批判が高まっているわけです。

 一方、民主党中川正春文部科学相は党代議士会で「憲法審査会で久しぶりに痛快な思いをした」と満足げに語ったそうであります。

 ・・・

 せめて与党推薦の学者からは「安全保障関連法案は合憲」との大岡裁きを期待していたら、「憲法違反だ。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」との厳しい発言、学者3人が全員「違憲」という厳しいお沙汰になったのでございます。

 お代官様、そんなご無体な

 堪忍してくださいまし〜

 おうおう!(諸肌脱いで)この背中に咲いた桜吹雪が手前らの悪事をちゃーんとお見通しなんでえ!

 決め台詞が大岡越前じゃなくて遠山の金さん(苦笑)してしまいましたが、こんな感じのお沙汰となってしまいましたね。

日本国憲法 第41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

 国権の最高機関で墓穴を掘った自民党の負けです。

 これで「安全保障関連法案は違憲」というイメージは広く国民に知れ渡ることでしょう。

 当ブログとしてはこれでよしです。

 当ブログは、今回の安全保障関連法案に関しては、自民党は嘘までついて国民の支持を取り付けるべきではない、自民党は堂々と国会論戦してほしい、保守の矜持を持て、と主張してきました。

 しかし「今回の安保法制によって自衛隊のリスクが増えることない」との答弁は、これは二重に無責任な発言だと思います。

 もし実際に今回の法改正で自衛隊員のリスクが高まると予測されるとするならば、正直に国会にて国民にその事実を知らしめるべきです。

 そしてそれでも私たちは日本の平和を守るために自衛隊の活動範囲を広げる必要があるのだと堂々と主張すべきです。

 さらに実際にはリスクが高まるのにその事実を国会論戦で隠ぺいするとなれば、派遣される自衛隊員のモチベーションにも悪影響があると懸念します。

 上記記事の自殺率を真摯に深刻に捉えるならば、今後イラク復興支援特措法とテロ対策特別措置法以上の活躍を自衛隊員に求める法改正を唱えている以上、政府自民党は無責任な「今回の安保法制によって自衛隊のリスクが増えることない」という主張を撤回すべきでしょう。

 嘘までついて国民の支持を取り付けるべきではありません。

 自民党は堂々と国会論戦してほしい、保守の矜持を持て、と言いたい。

 2015-05-31 政府自民党は無責任な「今回の安保法制によって自衛隊のリスクが増えることない」という主張を撤回すべき〜海外派遣の自衛隊員帰還後の自殺率民間の10倍の事実を直視せよ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150531/1433056292

 さて今回の衆院憲法審査会のご沙汰は、自民よ姑息な手段をとるな、おごるなかれとの、”神の啓示”であります。

 国権の最高機関で墓穴を掘った自民党の負けです。

 もはやここまで、自民党は堂々と憲法改正の旗を掲げるべきです。

 いざ、国民投票です。

 ふう。



(木走まさみず)