木走日記

場末の時事評論

有田芳生氏の気に入らない行為は法で縛ればよいという考え方は危険だ


 BLOGOSにおいて有田芳生委員の国会質問が書き起されています。

「差別への対応として法規制の是非を議論しなければいけない」有田芳生委員・参議院法務委員会質問書き起こし
http://blogos.com/outline/82266/

 埼玉スタジアムで8日に行われたサッカーJリーグの浦和−鳥栖戦で浦和サポーター席へ入るゲートに日の丸とともに「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕が掲げられ、試合後に撤去された問題で、有田議員は国会にて「差別への対応として法規制の是非を議論しなければいけない」と質問しているものであります。

 エントリーの中で有田議員は「こうした問題は、一部の特殊な例ではなく、日本には差別の土壌があるのではないか」との認識を示した上で、イギリスではフーリガン対策にサッカー犯罪法があると指摘した上でこう発言します。

 今回の浦和レッズの問題についても、日本にそういう法律はないですか、「困ったもんです」というサッカー関係者もいらっしゃるわけで、これはまた新たなテーマとして人種差別撤廃条約に基づいて、4条のA項、B項を留保している日本だけれども、そこでいいのかどうかという新しい法的な対応。つまり、あの法規制の是非について、谷垣大臣も含めて、これからやはり日本は議論していかなければいけない段階だという風に思っております。

 うむ、「日本には差別の土壌がある」との認識のもと、差別への対応として法律を強化する議論をすべきであるとする有田議員なのであります。

 対して12日付けの毎日新聞社説が興味深いです。

社説:差別的横断幕 「割れた窓」放置するな
毎日新聞 2014年03月12日 02時30分
http://mainichi.jp/opinion/news/20140312k0000m070159000c.html

 社説は冒頭ニューヨーク市が治安回復に努めた事例からでしょう、割れた窓ガラスのたとえで差別には毅然と対応すべきと始まります。

 窓ガラス1枚が割られたことを放置してはいけない。黙っていると窓は次々と割られて社会が荒廃するからだ。私たちは人種、肌の色、性別、宗教などを理由にしたあらゆる差別が広がる前に毅然(きぜん)とした態度で立ち向かわなければならない。

 社説はヘイトスピーチの話に触れ「非寛容な社会の動きがスタジアムにも飛び火したとしたら極めて残念」と指摘した上で、次のように結ばれています。

 だが、スタジアムの秩序を求めるあまり、細かな規制や厳重な警備、厳しい罰則で応援の自由を縛るようなことは避けたい。見る側には自制と節度が求められている。

 サッカーをはじめスポーツが社会に発信するメッセージは強力だ。今回の事態を重く受け止め、あらゆる差別と断固闘う決意をスポーツ界からも示したい。

 明確に「スタジアムの秩序を求めるあまり、細かな規制や厳重な警備、厳しい罰則で応援の自由を縛るようなことは避けたい」と、この件でもっての規制強化には反対しています。

 そのうえで「あらゆる差別と断固闘う決意をスポーツ界からも示したい」と結ばれています。

 ・・・

 まとめです。

 有田議員は「日本には差別の土壌がある」との認識のもと、差別への対応として法律を強化する議論をすべきであると国会にて質問しています。

 今回浦和の淵田敬三社長も、Jリーグ事務局の村井満チェアマンも非常に厳しい認識とペナルティを課そうとしている中で、有田議員の主張には、おおきな違和感を感じます。

 差別的行為に対して自主的に厳しく対応しているサッカー協会とそれに積極的に従順する浦和チームの姿勢は、ただしく評価されるべきです。

 差別的行為に対して、法による縛りではなく自主的に毅然とした対応ができています。

 有田議員が主張するこの一件で差別的行為を法律強化で縛る方向の議論をするというのは行き過ぎた考え方だと思います。

 気に入らない行為は法で縛ればよいという考え方は危険です。

 毎日社説も指摘するように「細かな規制や厳重な警備、厳しい罰則で応援の自由を縛るようなことは避けたい」と考えるのが妥当でしょう。

 そもそも暴動により多数の死者まで出していて国際的にも問題視されているある意味札付きのイギリスのフリーガンと日本のJリーグフアンをたった一枚の垂れ幕で同一視することはナンセンスです。

 有田議員の個人的な「日本には差別の土壌がある」との認識は自由ですが、国会にて個人的認識のもとで極論を振り回すのはいかがなものでしょうか。

 当ブログでは、これを機に法規制を目論む有田議員の主張よりも、規制強化には反対する毎日社説の主張を支持します。



(木走まさみず)