木走日記

場末の時事評論

「小沢氏の責任は無限だ!」これは鬼気迫る「しんぶん赤旗」社説

 政治資金規正法違反の疑いで告発されていた民主党小沢一郎幹事長について、検察審査会が11人の全会一致で「起訴相当」と議決しました。

 無作為で選ばれた11人の審査員らは議決理由で「起訴して公開の裁判所で事実関係と責任の所在を明らかにするべきだ」とし、「これこそが善良な市民としての感覚」と述べました。

 これを受けて28日付け主要紙社説は一斉にこの件を取り上げています。

【朝日社説】「起訴相当」―小沢氏はまだ居直るのか
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
【読売社説】小沢氏起訴相当 「公判で真相」求めた審査会
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100428-OYT1T00012.htm
【毎日社説】小沢氏「起訴相当」 全員一致の判断は重い
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100428k0000m070116000c.html
【産経社説】小沢氏「起訴相当」 やはり議員辞職すべきだ
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100428/crm1004280340007-n1.htm
【日経社説】小沢氏に進退を迫る「起訴相当」の重み
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE2E4E6E5E6E4E1E2E0EAE2E6E0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D9

 各紙とも小沢氏に対して極めて厳しい論調です、たとえば朝日社説は結語で説明責任を果たさないならば幹事長職を辞すべきと言い切ります。

 議決を受けて小沢氏は幹事長続投の考えを示したが、大局に立った判断をすべきだ。一刻も早く国会で説明する。それができないのであれば、幹事長職を辞し、民主党の運営から手を引く。無駄にできる時間は、もうない。

 普段2本並記する社説を一本に絞って力(りき)みかえる産経社説は「刑事責任の問題に加え、政治的さらに道義的責任は明白」であるとし「議員辞職を決断すべき」と主張しています。

 議決を受けて東京地検は再捜査を行い、3カ月以内に起訴か不起訴の処分を決めなければならないが、小沢氏は「潔白」を主張する根拠を失ったといえよう。刑事責任の問題に加え、政治的さらに道義的責任は明白だ。
 やはり議員辞職を決断すべきときである。

 迫力がもっともあったと私が感じた社説は、実は大新聞ではなく日本共産党機関誌「しんぶん赤旗」の社説でした。

 28日付け「しんぶん赤旗」社説。

赤旗社説】「起訴相当」 小沢氏の責任は限りなく重い
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-04-28/2010042801_05_1.html

 社説タイトルからして小沢氏に無限責任を課している強烈なモノです。

 社説は、「嫌疑不十分」で起訴されなかっただけで“無実”のようにいいはった小沢一郎民主党幹事長の主張は、やはり通用しなかったとしたうえで、政治家としての責任は明白になったとし、小沢氏の「収支報告書のミス」などの弁明は「国民の信頼を裏切る重大犯罪」だと喝破します。

 秘書らが起訴されたあと、小沢氏は「収支報告書のミス」などとことさら軽い誤りのようにいいましたが、もともと政治資金の公開は、政治活動を国民の「不断の監視と批判の下」に置くためです。それを偽るというのは、国民の信頼を裏切る重大犯罪です。政治家としてあってはならないことなのは明らかです。

 結語が特に迫力満点です、「検察審査会が再度「起訴相当」と議決すれば、小沢氏は強制起訴され」る事実を指摘した上で、「小沢氏の政治的道義的責任は、起訴の如何(いかん)にかかわらず、もはや逃れることはでき」ぬと断罪しています。

起訴の如何に関わりなく

 検察審査会が「起訴相当」と議決し検察が再捜査で起訴しなくても、検察審査会が再度「起訴相当」と議決すれば、小沢氏は強制起訴されます。兵庫県明石市の歩道橋事故やJR福知山線脱線事故では、強制起訴されました。

 検察審査会の議決を受け、検察が徹底した再捜査をおこなうとともに、小沢氏や民主党の対応が問われます。小沢氏の政治的道義的責任は、起訴の如何(いかん)にかかわらず、もはや逃れることはできません。

 政治資金の公開は、政治活動を国民の「不断の監視と批判の下」に置くためであり、それを偽るというのは、国民の信頼を裏切る重大犯罪なのであり政治家としてあってはならないことである、と小沢氏を弾劾しつつ、兵庫県明石市の歩道橋事故やJR福知山線脱線事故と同様と多くの犠牲者を出した悪質な事件と同列に扱い、小沢氏も強制起訴の可能性があると指摘、その上、だがしかし起訴の如何(いかん)にかかわらず、小沢氏の政治的道義的責任は、もはや逃ることはできないと突き放しています。

 うーん、すごいです。

 アンチ小沢の不肖・木走も十分お腹いっぱいです。

 「小沢氏の責任は無限だ!」と、これは迫力ある「しんぶん赤旗」社説なのでした。

 小沢氏はこの鬼気迫る「しんぶん赤旗」社説に反論できるのでしょうか。



(木走まさみず)