木走日記

場末の時事評論

「タウンミーティング(TM)」は即刻廃止せよ!!〜税金垂れ流しの御上の御上による御上のためのイベント

 開かれた「国民との直接対話」をうたい文句に小泉政権が始めた「タウンミーティング(TM)」が今大きく揺れています。

 内閣府大臣官房タウンミーティングの公式サイトより。

平素よりタウンミーティング・ホームページをご利用頂き誠にありがとうございます。
 この度、新内閣が発足することに合わせてホームページをリニューアルすべく準備を進めております。新ホームページ掲載準備が整うまで、今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。今後の開催日程等につきましては、リニューアル後に順次公表していく予定です。
 なお、下記の掲載内容は「タウンミーティング 小泉内閣の国民対話」ですのでご注意下さいますようお願いいたします。
(後略)

問い合わせ先:
内閣府大臣官房 タウンミーティング担当室
tel. 03-5253-2111(代表)

http://www8.cao.go.jp/town/

 「新ホームページ掲載準備が整うまで、今しばらくお待ちください」、「今後の開催日程等につきましては、リニューアル後に順次公表していく予定です」とは、阿倍内閣は今後もまだTMを続けていく所存なのでありましょうか。

 ここへきて主催者側があらかじめ発言者に発言内容を依頼していた「やらせ発言」問題の発覚をきっかけに多くの問題が噴出している「タウンミーティング」なのであります。

 その実態は「国民との対話」どころか税金垂れ流しの御上の御上による御上のためのイベントになってしまっているのです。

 今日は「タウンミーティング」について、その問題点を徹底検証してみたいと思います。



●次々に暴かれる「タウンミーティング」の胡散臭い経理状態〜1開催当たり1130万円の高すぎる費用の実態

 まずはタウンミーティングの高すぎる運用費用について見ていきましょう。

 タウンミーティングは、小泉純一郎前首相が就任直後、国民と直接対話し、政策に反映させる目的で実施を表明。二〇〇一年六月から、首相や閣僚が全国各地を回り、一般参加の国民に自由な意見を述べてもらう前提で開催してきました。

 東京新聞によればタウンミーティングの開催経費は百七十四回の総額で計十九億六千七百万円、一開催あたり一千万円以上かかった計算になるといいます。

揺らぐ信頼
教育改革 タウンミーティング

 政府のタウンミーティング調査委員会は十七日、やらせ質問問題に端を発した総点検の調査項目を決めるとともに、内閣府の作業チームに二十四日までに結果を報告するよう指示した。

 調査委員長の林芳正内閣府副大臣は記者会見で、質問者への謝礼金支払いが二〇〇一年度から行われていた可能性があることを明らかにした。

 (中略)

 さらに、タウンミーティングの開催経費は、〇一−〇五年度で計十九億六千七百万円。一開催あたり一千万円以上かかった計算で、問題の集会では税金で「やらせ」をしていたことになる。

 会場を代表しての冒頭発言を依頼した六十五人には各五千円の謝礼を支払っていたことが分かっている。「やらせ」発言を依頼した人に謝礼は支払われていないことになっているが、調査委は十七日、謝礼全体に関して実態調査することを即決した。

 一方、首相が官房長官時代の今年五月に出席した札幌市での再チャレンジ支援の集会でも、内閣府による発言者確保が判明。発言内容までは依頼していなかったものの、手を挙げる人がいなければ発言するよう頼んでいた。

 内閣府は、こうした方法を「やらせ」ではなく、「工夫」と表現しているが、百七十四回のタウンミーティングで議論されたテーマは郵政民営化、年金制度改革、雇用問題など幅広く、全容解明や責任の明確化、抜本的な改善が急務だ。

 首相は「きっちりと調査をしなければならないと指示している」と強調している。首相が掲げる政治主導の真価は、「やらせ」問題への対応でも問われることになる。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20061118/mng_____kakushin000.shtml

 「やらせ」発言を依頼した人に謝礼は支払われていないことになっているそうですが、この一開催当たり平均1130万円という開催費用そのものが、政府側のずさんで稚拙なその経理処理とともにここへきて大きくクローズアップされてきました。

 昨日の日経記事から・・・

タウンミーティング運営費を過払いか

 政府主催のタウンミーティング(TM)の運営経費に関し、2003―05年度(77回分)の業者への支払額が契約額に比べて約4億6700万円多く、過剰請求の可能性があることが分かった。民主党柳沢光美氏が4日の参院決算委員会で指摘した。

 内閣府の山本信一郎官房長は同委で「契約時点ではモデル的な人員数などをもとに契約し、実際は実費精算の会場経費などをプラスしていた」と事実関係を認めた。 (07:02)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20061205AT3S0401C04122006.html

 上と関連した1日の日経記事から。

タウンミーティング、事務局幹部に日給10万円

 政府主催のタウンミーティングについて、内閣府が運営を委託した広告代理店が52回分の「事務局人件費」として総額7433万円を請求していたことが1日、分かった。社民党福島瑞穂党首が記者会見で資料を基に明らかにし「内閣府は請求通り払った」と指摘した。対象となったのは2001年6―11月に開催した分。使途は広告代理店幹部の日給などで内訳は「局次長」が1日10万円、「部長」が1日7万円など。 (02:31)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20061201AT3S0102J01122006.html

 昨日の西日本新聞がこの当たりの事情をよくまとめた記事を掲載しています。

05年度タウンミーティング 契約の3倍支払う 広告代理店への運営費

 過剰な人員配置や無駄遣いが指摘されている政府のタウンミーティング(TM)で、内閣府が2005年度に大手広告代理店へ支払った運営費用が2億9554万円に達し、入札で決めた契約額の3倍を超えていたことが4日、判明した。同日の参院決算委員会で民主党柳沢光美氏、社民党又市征治幹事長が内閣府の資料を基に明らかにした。

 資料によると、入札で契約した05年度のTM運営費用は、計23回の総額で9660万円、1回当たり420万円だった。

 03年度の支払総額は約2億9700万円で契約額の1.9倍、04年度は約2億4200万円で同2.1倍だった。

 塩崎恭久官房長官は「信じられないことも、たくさん入っている」と、不適切な支出の有無を徹底的に調べる方針を重ねて表明。安倍晋三首相も「無駄遣いが絶対に起こらない仕組みをつくる」と強調した。

 内閣府側は(1)契約額は実費精算の会場経費や交通費を含まない(2)契約時の想定より人員が増えた‐などと説明した。

 又市氏は、03‐05年の7回の教育改革TMについて「実費部分を除いても、毎回200万‐400万円が多く支払われている」と指摘。会場スタッフの過剰配置などを念頭に「(広告代理店の)言いなり。追加支払いにもなし崩しで応じている」と批判した。

=2006/12/05付 西日本新聞朝刊=

2006年12月05日01時34分
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20061205/20061205_003.shtml

 契約の3倍支払うとは民間ではあり得ないずさんな処理であり、03‐05年の7回の教育改革TMについて「実費部分を除いても、毎回200万‐400万円が多く支払われている」との指摘もここまでの酷い数字が表に出てくると否定しがたいものなのであります。

 「事務局幹部に日給10万円」など、しかもそれを積算した請求に対し「追加支払いにもなし崩しで応じて」いては、一開催当たり1000万を越えてしまうのも無理からぬことでしょう。

 このほかにも出演者への異様な高額謝礼も批判されています。

「出演者謝礼」に91万円、横浜のタウンミーティング
(2006年12月2日1時52分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061201i117.htm

タウンミーティング 札幌、虻田で高額な出演料 社民が指摘
北海道新聞 2006/12/02 07:49
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061202&j=0023&k=200612019919

 ・・・



●「徒歩5分」の距離を出演者を乗せた4台のハイヤー代の料金が57万円

 ずさんな乱脈経理の極めつけはこちらの記事でしょう。

徒歩5分の送迎に東京から静岡へハイヤー 内閣府
2006年11月30日18時52分

 05年6月に静岡県で開かれた政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)をめぐり、閣僚らの送迎用ハイヤーを現地で借りられず、東京で工面していたことが30日、参院教育基本法特別委で明らかになった。TMの運営業者は内閣府と相談し、実際には4台しか使わなかった車を21台使用した形で経理を処理し、足りない費用のつじつまを合わせた。

 藤本祐司氏(民主)の質問に対し、内閣府が認めた。安倍首相も「経費の中身の詳細等については透明性を確保したものにしなければいけない。無駄遣いとならないように、運営しなければならない」と述べた。

 藤本氏が示した資料や内閣府の説明によると、TMの「仕様書」では送迎用ハイヤー4台と、閣僚が乗った車の伴走車として2台を借りるため、16万円の支出が予定されていた。静岡では実際には送迎用3台と伴走1台が必要だった。しかし、4台とも東京で調達したため、東京―静岡間の往復で350キロ走行。運転手の拘束時間も延び、費用が足りなくなった。

 一方、内閣府と業者の契約ではハイヤー1台3万円、伴走車2万円と単価が決まっていた。余計に費用が発生した場合は両者が協議して支出することも可能だったが、これをせずに、ハイヤーを15台、伴走車を6台借り、57万円を支出したとして処理。内閣府も承認した。内閣府の山本信一郎官房長は会計処理について「適切でなかった」と認めた。

 藤本氏は「会場は静岡駅から徒歩5分」と指摘、「あまりにも無駄遣いが多い」と批判した。
http://www.asahi.com/national/update/1130/TKY200611300294.html

 「徒歩5分」の距離を出演者を乗せた4台のハイヤー代の料金が57万円です。

 これらの無駄な費用が全て税金でまかなわれていることを考えると噴飯ものであり、まったくこんなに税金を垂れ流していて何が「国民との対話」なのでしょう。



参議院教育基本法特別委員会で明らかになった「公務員大量動員」の実態

 11月27日参議院教育基本法特別委員会で文科省内閣府より提出された資料でこれまでの新聞報道などが裏付けられる形で教育改革タウンミーティングで「公務員大量動員」の実態が明らかになりました。

 社民党近藤正道議員が追及した議事を参議院議事録から抜粋しましょう。

参議院

第165回国会
教育基本法に関する特別委員会

第3号 平成18年11月27日
(前略)

近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。お疲れのところ大変恐縮でございますが、もう少しお付き合いをいただきたいと思います。
 教育改革のタウンミーティングで、いわゆる公務員の動員が行われてたんではないかと、こういう議論が何度かありました。青森八戸のケースだとか、あるいは先日は愛媛松山のケースなどがございましたけれども、内閣府において、内閣府都道府県あるいは都道府県の教育委員会等を通じていわゆる動員を掛けた、こういう調査もいろいろ進められているというふうに思っておりますが、今現在どういう結論になっていたのか。八か所あったわけでございますが、どことどこの会場でどういうふうな形でこれが行われていたのか、明らかにしていただきたいと思います。

○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 八か所の教育改革タウンミーティングにつきまして調査をいたしました。現時点での状況でございます。八回中六回のタウンミーティングにおきまして、参加者募集の途中段階におきまして応募者が少ない場合を懸念し、地方自治体に参加希望者の取りまとめを依頼をいたしました。その状況は、岐阜県山形県愛媛県和歌山県大分県それから青森県、この六県で取りまとめをお願いをし、取りまとめていただいたところでございます。なお、島根県静岡県におきましては、そのような行為は確認がされなかったと。現状では以上のような状況でございます。

近藤正道君 教育委員会、教育改革タウンミーティング八か所のうち六か所でいわゆる動員が行われていたということでございまして、県名も明らかになりましたが、それぞれ何人ぐらいの人たちを動員をしたのか、数字を明らかにしていただきたいと思います。

○政府参考人(山本信一郎君) 岐阜県百三十三名、山形県、これはちょっと待ってください──失礼しました。山形県百八十名、愛媛県百三十五名、和歌山県六十五名、大分県は確認ができておりません。それから、青森県八戸市が二百七十九名、それから、静岡県につきましては、先ほども申し上げましたとおり、国の方から依頼はしておりませんけれども、県等の方で自発的にまとめられたものが七十四名と、以上のような状況でございます。

近藤正道君 改めて大変な動員が行われていたなという思いひとしおでございます。
 内閣府あるいは文科省から、県あるいは県教委、こういうところに要請があって、それに従って地方公務員あるいは教育関係者がいわゆる動員をされたわけでございますが、今ほどの数字を参加者総数の中の総数で割り返してみますと、岐阜県につきましては二八%が動員組、山形県では四六・二%が動員組、そして愛媛県松山市では三一%が動員組、和歌山市では一八%が動員組、そして八戸、青森県八戸では実に六九%が動員組、あとの三つについてはそれぞれ数字がまだ明らかでありませんので、この割合がはっきり出ませんけれども、いずれにいたしましても、私は二〇%前後の動員があったんではないかというふうに思っています。 大変な数字でございますが、官房長官、改めてこの数字といいましょうか割合、正に国民の声を聞くという、そういう触れ込みで行われていたタウンミーティングでこういう高割合のいわゆる動員が行われていたということについて、今どういうふうにお考えでしょうか。

(後略)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0206/main.html

 政府が明らかにした公務員動員数を表にまとめてみます

開催県 開催日 当日参加者 公務員動員数
岐阜 03年12月 473人 県教委名簿133人。
山形 04年4月3日 389人 県・市名簿180人
松山 04年5月15日 431人 県教委名簿135人
和歌山 04年10月30日 354人 市教委名簿65人
大分 04年11月27日 301人 (名簿確認出来ず)
島根 05年3月5日 422人 (名簿確認出来ず)
静岡 05年6月11日 340人 県まとめ名簿74人
八戸 06年9月2日 401人 県教育長名簿279人

 近藤正道議員が厳しく批判しているとおり、参加者401人に対し動員された公務員数が279人、「青森県八戸では実に六九%が動員組」という「国民との対話」とかけ離れた呆れた実態が赤裸々にされています。

 それだけではありません。

 大分県の場合、近藤正道議員によれば、「参加者がせいぜい三、四百人なのに、当日のスタッフの数が百人前後」もいて、しかもその中には36人もの東京からの出張組が交通費・日当・宿泊費付きで含まれているというのです。

近藤正道君 そこは是非徹底的に調べていただきたい。今現在で都道府県からの手当の支払がないというのがはっきりおっしゃらないのが何とも私としては不可思議な話であるということを申し上げておきたいというふうに思っています。
 実は、私は今日、「教育改革タウンミーティングの参加者・当日スタッフ及び経費」というものの一覧表を参考資料として配付させていただきました。その中で大分のケースにつきましては、これは衆議院の教育特に出された資料等をいろいろ見まして運営業務経費、内訳をいろいろ調べまして、いわゆる当日スタッフがどの程度、どのぐらいの費用をもらってどのぐらい参加しているのかということを調べまして、各会場ごとにこれをみんな割り当ててみました。そうしましたら、大変高い割合で当日スタッフがこの会場周辺にいるということが分かりました。これ自身大変なお金の無駄遣いだなと。このことについてはいろいろこの間議論がございましたのでお金の点はいいんですが、私が申し上げたいのは、参加者がせいぜい三、四百人なのに、当日のスタッフの数が百人前後。これは本当にひどい数字ではないかというふうに思っております。
 そして、申し上げたいのは、この当日スタッフのうちの私はかなりの数の人たちがきっと会場の中にいたんではないか、あるいは会場のあちこちにいたんではないか、こういうふうに思えてならないんです。そういたしますと、先ほどのその言わば動員組がひどいところではそれこそ七割近くいる。二割とか三割いる。そこに当日スタッフの人たちが入るということになりますと、会場の内外は正に動員された人、あるいはこれと同調される人たちが半分ぐらいみんないたんではないか。私は、八戸の会場に行った人たちから話を聞くんですけれども、会場は非常にやっぱり教育改革の基本法を推進する人たちの雰囲気がやっぱり圧倒的に多数を占めていたという、こういう話を聞くんですが、こういう具体的な数字を見ますと、会場は正に、言わば動員組あるいはこれに準じた当日のスタッフで正に埋められていたんではないか。こんなものが本当に国民の声を聞く、そういうタウンミーティングなのかと、この実態は何だと、こういう思いがしてならないわけでございますが、この数字を見られて、官房長官、改めて感想を伺いたいというふうに思います。

 この当たりの数字の詳細は保坂展人氏がネットで細かく書かれています。

 2年前の今日行われた教育改革TM大分では、大量動員のために下見・前日・当日で述べ36人が235万2530円が交通費・日当・宿泊費として支出されている。当日人件費に179万円が支出されているから400万円を超える御一行様が「やらせ興業」を支えていたことになる。

教育改革TM、驚きの「やらせ興業」大量動員と経費 より抜粋
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/38e9f6bba3e92fb03c741fee0ab4889e

 まったく呆れてしまう数字なのであります。



●「タウンミーティング(TM)」は即刻廃止せよ!!〜税金垂れ流しの御上の御上による御上のためのイベント

「徒歩5分」の距離を出演者を乗せた4台のハイヤー代の料金が57万円計上され、「事務局幹部に日給10万円」など、しかもそれを積算した請求に対し追加支払いにもなし崩しで応じ、会場では発言者に「やらせ」を依頼するだけでなく、大量の公務員を動員し政府政策に大拍手をさせ、しかも東京からは高い宿泊費と手当つきで主催者御一行様が数十名単位で出張を繰り返す。

 「タウンミーティング(TM)」は「国民との直接対話」とはとんだ茶番であります。

 これではまさに税金垂れ流しの御上の御上による御上のためのイベントであります。

 政府は「タウンミーティング(TM)」に関する過去の全ての経理資料、入札資料、人事資料を公開し、国民に説明していただきたいです。

 それができないならば「タウンミーティング(TM)」は即刻廃止すべきです。



(木走まさみず)