木走日記

場末の時事評論

職人芸を誉れとする平和的な国もそう悪くはない

 最近読んだ本で『世界の日本人ジョーク集(早坂隆著:中公新書)』はとても面白かったのです。

世界の日本人ジョーク集(早坂隆著:中公新書
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4121502027/250-4620365-9244217?v=glance&n=465392

 この本は、世界の人が日本(人)をどう捉えているか、ユーモアと風刺の効いたときに辛辣な小咄の数々で、世界のジョークに登場する日本(人)像を紹介してくれているのですが、そのなかで特に私が気に入ったジョークをひとつご紹介しましょう。

●各国のベストセラー
それぞれの国で最も読まれている書物とは?

 世界各国で最も読まれている書物は何かという問いかけから始まるこのジョークはこう続きます。

アメリカ・・・新約聖書
イスラエル・・・旧約聖書
イスラム諸国・・・コーラン
中国・・・毛沢東語録
日本・・・マンガ

 ここまででも解説無しで十分面白いのですが、アメリカ、イスラエルイスラム諸国という国の選択からしてかなり意図的なのですが、新約聖書コーランといった各宗教の教典を列記する手法で各国の悩ましい宗教対立を皮肉り、中国の毛沢東語録では数少ない共産国家中国の体制を茶化しているわけですね。

 で、極めつけなのは日本のマンガであります。

 もちろんこれは日本人のノンポリぶりを強烈に諷刺しているわけですが、それだけではなく今日の日本のコミックやジャパニメーションと呼ばれる日本アニメが、世界各国で高く評価されていることの反映でもあるわけです。

 で、このジョークのオチはこうなります。

<結論>世界で読まれているのはファンタジーばかりである。

 うーん、うまい。

 聖書もコーラン毛沢東語録も。所詮マンガと同列の「ファンタジー」じゃん、と喝破しちゃいます。

 このジョークが秀逸なのは、世界的に評価が高い日本のサブカルチャー以上には、世界に主張する宗教やロジックを持たない日本を小馬鹿にしていると同時に、他の国の宗教やイデオロギーに対し「ファンタジー」と結論付けることで、宗教やイデオロギーの理想主義や排他性に対する強烈なアイロニーになっているのです。

 今日は、この素敵なジョークに表出している世界の中の日本像について少し考察してみたいのでした。




●日米と日中、どれが本流でどれが支流かの見極めよ〜産経新聞「正論」記事

 今日(21日)の産経新聞「正論」記事から・・・

平成18(2006)年8月21日[月]
■【正論】慶応大学名誉教授 神谷不二 国際政治の動向判断で肝心なこと

 ■何が本流で何が支流かの見極め
 ≪判断誤った進歩的文化人

 その昔、北アルプス山系で単身道に迷い、夕闇と重なって慌てたことがある。

 あの瀬音を左に聞いて下れば、支流はやがて本流に合流し、いま歩いている支道も本道に合流するに違いないと、つい高をくくったのが間違いの元だった。

 国際政治の動向を見る上でも、もっとも肝心なのは本流と支流の見極めである。本流とは長い歴史の検証に耐えうる事象であり、支流とは、短期的には妥当性を肯定できても、長期的な歴史の検証には耐え得ない事象を指す。

 さて、戦後日本の言論界が長い間、「進歩的文化人」と称される一群の左翼人士によって牛耳られていたことは、周知の通りである。

 彼らが「岩波」と「世界」を根城に、飛ぶ鳥を落とす威勢を示していたころの光景は、まだなにがしか記憶に留めている人も少なくないだろう。

 その岩波が、1960年代後半期に企画した岩波講座『現代』(全16巻)は、進歩派全盛時代の名残を色濃く留めている。その第6巻『冷戦』の「まえがき」を江口朴郎坂本義和の両氏(いずれも東京大学名誉教授)は次のように書いた。

 「私たちは、今でこそ〈冷戦の克服は可能である〉という見通しを持つことができるようになった」

 いかにも、われこそは歴史の本流を探り当てたと言わぬばかりの揚言であったが、それが今日ではいかにむなしく響くことか。

 進歩派は、戦後、米ソ、東西両陣営間に展開された「冷戦」が、「平和共存」の確立によって平穏無事に終結することをひたすら信じていた。彼らが歴史の本流として疑わなかった平和共存は、しかしながら、所詮一過性の支流でしかなかったのである。

 ≪日米中三角論の不可解さ≫

 進歩派は国際関係の認識において、イデオロギーを過大評価し国益を過小評価した。60年代以降、急速に激化した「中ソ対立」についても、彼らはそれを国益的「対立」ではなく、イデオロギー的「論争」にすぎないと強弁し続けた。

 変形左派の宇都宮徳馬氏(元参議院議員)が、「米中和解、中ソ対立」と言ったとき、坂本義和氏は、イデオロギーの役割に無理解な輩は困ったものだと言った。

 私は、進歩派よりも早い時期から何度かソ連を訪れる機会を持ち、その都度、中ソ関係の底に一貫して流れるロシアとキタイ(ロシア語で中国の意味)の、根深い対立の歴史を学んだ。

 ロシア人はキタイを常に恐れ、敵視する。対する毛沢東の人も知るソ連嫌い、スターリン嫌いも、決して偶然ではないのである。

 北朝鮮、イラン、パレスチナなどの問題をめぐって最近見られる中露連携にしても、それはあくまでもアメリカの一極支配を牽制(けんせい)する支流的現象にすぎず、アメリカのリーダーシップに取って代わろうといった本流的性格のものではない。

 では、日中関係をどう見るか。先日訪中した民主党代表の小沢一郎氏は、日米中「正三角形」論をぶって、中国を喜ばせた。そういえば、例の「加藤の乱」のころ、加藤紘一氏(自民党衆議院議員)は日米中「二等辺三角形」を口にしていた。

 ベテラン中のベテラン政治家として自他ともに許す御両所が、日米、日中関係の比較考量となると、まるで素人っぽくなり、三角関係における本流と支流の別が見えなくなってしまうのはなぜだろうか。不可解の極みといわねばならぬ。

 日米と日中、どれが本流でどれが支流かの見極めは、日本の国家戦略上、靖国問題などよりも基本的な問題である。

 ≪日米と日中は同等に非ず≫

 私は小沢、加藤両氏の反靖国姿勢にはまったく反対だが、仮に靖国について両氏の線に乗るとしても、日米、日中両関係の位相と価値を同等と見るような認識には、到底賛同することができない。

 最後に、日中関係そのものについて一点付言して結びたい。21世紀の初頭を迎えて、日中両国はいま、東アジアにおける大国として対等に向き合い、並び立とうとしている。こうした関係は、実のところ両国ともに歴史上経験したことのないものである。

  卑弥呼のいにしえから20世紀に至るまで、日中関係は基本的に上下関係としてのみ推移してきた。それが両国関係の本流との認識が、少なくとも中国側には根強くある。中国との関係を考えるとき、この厳粛な事実から目を背けてはならないであろう。(かみや ふじ)

http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm

 さすが保守派の論壇である産経「正論」であります、「戦後日本の言論界が長い間、「進歩的文化人」と称される一群の左翼人士によって牛耳られていたことは、周知の通り」としたうえで、「進歩派は国際関係の認識において、イデオロギーを過大評価し国益を過小評価した」とし結果として「判断誤った進歩的文化人と断罪します。

 その上で≪日米と日中は同等に非ず≫であり、「小沢、加藤両氏の反靖国姿勢にはまったく反対だが、仮に靖国について両氏の線に乗るとしても、日米、日中両関係の位相と価値を同等と見るような認識には、到底賛同することができない」のは、「日米と日中、どれが本流でどれが支流かの見極めは、日本の国家戦略上、靖国問題などよりも基本的な問題」なのだと論じています。

 結語は今後の日中関係への警鐘で結んでいます。

 卑弥呼のいにしえから20世紀に至るまで、日中関係は基本的に上下関係としてのみ推移してきた。それが両国関係の本流との認識が、少なくとも中国側には根強くある。中国との関係を考えるとき、この厳粛な事実から目を背けてはならないであろう。

 神谷不二慶応大学名誉教授の「国際政治の動向判断で肝心なこと」と題する興味深い記事なのです。
 
 ・・・

 この大学名誉教授の論旨は、民主党代表小沢一郎氏の日米中「正三角形」論や加藤紘一自民党衆議院議員の日米中「二等辺三角形」論は、どれが本流でどれが支流かの国際政治の動向判断を誤っているとしているわけであります。

 ・・・

 日米中三角関係が、「正三角形」であるべきか「二等辺三角形」であるべきか、この先生が言うところの日米基軸で中国とは距離を置いた「鋭角(?)三角形」であるべきなのか、たいへん興味深い議論ですが、そのような机上の学問的考察は、残念ながら私にはあまり関心がありません。



●米国メーカーの410万個のソニー製電池リコールは品質管理上ゆゆしい問題〜朝日新聞コラム「天声人語

 昨日(20日)の朝日新聞コラム「天声人語」から・・・

 今年春、たまたま会った中国人のビジネスマンが、リチウムイオン電池の話をしていた。中国製を欧州に売り込むため、ドイツに販売会社をつくったが、品質面などで日本製の壁が厚く、苦戦しているとぼやいていた。

 携帯電話やノートパソコンに欠かせないリチウムイオン電池は、91年にソニーが世界で初めて実用化したものだ。中国や韓国製の追い上げを受けているが、今でも日本製が世界のシェアの7割を占めている。

 その日本製への信頼を大きく損ねかねない事態が起きている。ノートパソコン内のソニー製の電池がまれに過熱・発火する恐れがあるとして、約410万個の電池をリコール(回収・無料交換)すると、米国のパソコンメーカーが発表した。ソニーによると、製造過程で微小な金属片が混入したことが原因のようだ。

 91年の実用化にあたって、開発者は思いつく限りの安全テストを繰り返したという。電池を高熱のてんぷら油に放り込んだり、コンクリートの塊を上から落としたりした。電子レンジにも入れてみた。様々なテストを乗り越え、安全を確認した上で、携帯電話への内蔵を決めた。

 今回の異物混入は、品質管理上ゆゆしい問題だと指摘する専門家もいる。当初の慎重な企業の取り組みが歳月を経て、ゆるんだきらいはなかったのか。

 機内での発火を恐れる米国の航空当局は、ノートパソコンをどうすべきかなどの検討を始めている。日本の航空会社は現段階では特に何も考えていないというが、これだけ身近な製品なのだから、安全確認は徹底してほしい。

http://www.asahi.com/paper/column20060820.html

 「携帯電話やノートパソコンに欠かせないリチウムイオン電池は、91年にソニーが世界で初めて実用化したものだ。中国や韓国製の追い上げを受けているが、今でも日本製が世界のシェアの7割を占めている。」わけですが、「ノートパソコン内のソニー製の電池がまれに過熱・発火する恐れがあるとして、約410万個の電池をリコール(回収・無料交換)すると、米国のパソコンメーカーが発表」した事実を「当初の慎重な企業の取り組みが歳月を経て、ゆるんだきらいはなかったのか。」ソニー側の品質管理のゆゆしき問題として取り上げています。

 コラムの結語で「日本の航空会社は現段階では特に何も考えていないというが、これだけ身近な製品なのだから、安全確認は徹底してほしい。」とこの問題を安全確認の徹底という事後対策面だけに収斂するようですが、いかがなものでしょうか。

 ・・・

 コラムとはいえ、日本が誇る技術力に関わる深刻な問題なのですから、このリコール措置が他のメーカーに波及する可能性はどうなのか、また、今後の日本製電池と追い上げている中国・韓国製電池とのシェア争いに本件がどう影響するのか、もう少し多面的に捉える視点も必要なのではないでしょうか。

 ・・・

 現代社会の森羅万象を、鋭く温かな視点から描く朝日新聞の代表的コラム」と自賛する「天声人語」にしては、このコラムは何を「鋭く」描こうとしているのか、私には理解しづらいのでした。



●戦後ニッポンを支えてきた大切な日本の財産は「モノつくり」の技術

 一見するとまったく話題の異なるふたつの記事をご紹介いたしました。

 最初の産経「正論」の大学教授の、日米関係と日中関係、どれが本流でどれが支流かの国際政治の動向判断を見誤るなという主張にも、後段の朝日「天声人語」のソニー製電池リコールは品質管理上のゆゆしい問題であるという指摘も、その主張自体に私としては反論はありません。

 しかしながら、IT零細企業を経営している私の立場から言わせていただくと、どうにもこの種の「学者」や「ジャーナリスト」、「政治家」のみなさんの意見には、ある共通する視点の欠落を感じてしまうのです。

 欠落したその視点とは、戦後日本の今日の繁栄が何によってもたらされたのか、という根本的事由をしっかりと捉える視座です。

 私は、日本が世界に誇る「モノつくり」の技術こそ、戦後ニッポンを支えてきた大切な日本の財産だと思っています。

 現在の平和日本にとってもっとも世界に誇るべきこととは何でしょうか。

 61年以上前に世界を相手に日本がしでかした戦争に関わる負のイメージをまき散らすことではないはずです。

 日本が世界に誇れることは、戦後61年、平和主義を貫きただの一度も他国と争うことなく一人の戦争犠牲者を他国にも自国にも出さず、何も資源のない島国から世界第二位の経済大国となり、ODA等を通じてめざましい国際貢献を成しえた事実であります。

 ODA拠出金上位10ヶ国の中で、あるいは安保理常任理事国5大国と比しても、この61年間で一度も戦争や内乱で自国人も他国人を死傷させずに平和主義を貫いた国は、日本以外にあるでしょうか。

 戦後日本はその優れた技術力と国民の勤勉性により、戦争という手段を放棄し経済的貢献に徹してきたからこそ今日の繁栄を築けてきたわけです。

 ・・・

 もちろん軍事に金を使わず経済発展にのみ傾注してきた日本の姿勢は、ときに「拝金主義」「エコノミックアニマル」との国際批判を呼びアメリカからは「安保ただ乗り」と言われ、湾岸戦争時には「金は出すが血は流さない日本」と厳しい批判に晒されてきたのも事実です。

 その反省からいわゆる「普通の国」論が台頭し自衛隊イラク派遣や日米同盟の軍事面での緊密化を少なからずの国民が違和感なく容認するようになったきたのも私は認めるモノです。

 ・・・

 しかしそれでも戦後日本は現在まで平和主義の国として世界からはイメージ化されています。

 そして日本と言えばその高い技術力によって多くの国から尊敬を勝ち得ているのであって、アメリカやロシア・中国などの大国がくり返しておかしてきた軍事力やイデオロギーや宗教などに頼って他国に圧力をかけるような愚かな政策を、我が日本は一度もとらなかったことは、大いに誇りに思ってよいでしょう。

 ・・・

 ソニートヨタ、ホンダの名前は、今日世界中の人達がよく知っているわけで、これらの企業名はハイテク日本の代名詞となっているわけです。

 そして日本の技術力の素晴らしいのは、上記の日本を代表する大企業だけではなく、町工場や多くの零細企業にも世界がまねをできない優秀な「技術者」や「職人達」が綺羅星のごとく存在して、彼らこそが日本の発展を陰で支えてきたその事実です。



●世界に冠たる日本の職人芸にこそ、この国の誉れがある

 世界の半導体で使用されるシリコンの約80%は日本製です。ロボットの約70%も日本製でこれも群を抜いて世界第一位であります。

「モノづくり大国」としての実力は、日本の大企業はもちろん、中小企業にまで染み渡っていて、それらが日本の経済を支える底力になっているのです。

 「天声人語」が触れていたソニーが開発したリチウムイオン電池に関連して少しお話ししましょう。

 世界で初めてソニーが開発したリチウムイオン電池の日本シェアは7割ですが、実は、携帯電話の小型化に必要だったリチウムイオン電池のステンレスケースを細く絞る技術は、世界でも東京の墨田区にある岡野工業株式会社にしかないのです。

岡野工業株式会社
http://www005.upp.so-net.ne.jp/OKANO_to_ONDINE/

 さらに、岡野工業株式会社では、最近「世界一細い注射針」の開発にも成功しています。

 これは、今までのステンレスの管の先を尖らせる方法ではなく、薄いステンレスの板金をプレス機で丸めて筒状にするという画期的な方法を採用した成果でした。

 「痛くない注射針」は、一日に何度も注射しなければならない糖尿病患者をはじめ、世界中の人々に歓迎されているのです。

 また、アメリカの航空機や宇宙機器には、東京の大田区にある北嶋絞製作所という会社でしか作ることのできない部品が使用されています。

北嶋絞製作所
http://www.kenyou.co.jp/kitajima/kitajima_top.htm

 ここで制作されるロケットの頭の部品がなければ、アメリカのロケットは飛ばないのです。

 さらに、アメリカのスペースシャトル人工衛星の溶接を引き受けているのも、電子ビーム溶接という世界で唯一の技術を持つ日本の東成エレクトロビームという中小企業であります。

東成エレクトロビーム
http://www.tosei.co.jp/

 こうした「日本にしかない技術」というのは、日本人の知らないところに数え切れないほど存在しているのです。

 もう一つ、ユニークな例を挙げれば、サッカーのワールドカップや国際Aマッチなどで審判員が使うホイッスルが挙げられます。

 この製造を一手に担っているのが野田鶴声社という日本の中小企業です。

野田鶴声社
http://members.aol.com/nodawhstl/

 同社のホイッスルは音色、耐久性ともに世界的に最上級の評価を受けていて、ヨーロッパを中心に各地で使用されています。

 日本の職人芸が世界の一大スポーツイベントを陰で支えているのです。

 ・・・

 アメリカにとっても中国にとっても世界各国の人々にとって、それ抜きには生活がままならないほど日本の技術や製品が世界中の人々の日常に深く入り込んでいます。

 次の小咄は現在のアメリカが如何に「製品」や「人」や「文化」を通じて日本の職人芸・技術力に「依存」しているかを諷刺したモノです。

●あるアメリカの子供の幸福な休日

 待ちに待った日曜日。今日は学校も休みだ。いつもより遅く起きた僕は、まずソニー製のテレビのスイッチを入れる。毎週楽しみにしている日本のアニメを観るためだ。
 それが終わると、マンガを読む。でも、今日はゆっくり読んでいられない。パパとハロウィンの衣装を買いに行くのだ。
 パパ自慢のトヨタに乗り、ショッピングセンターへと向かう。カーラジオからはイチローがまたヒットを打って新記録を作ったというニュース。いったい何度目の新記録?
 買ってもらったのはポケモンの着ぐるみ。これで人気者間違いなしだ。それにクリスマスに欲しい新しいニンテンドーのソフトもしっかりチェックしておいた。でもプリンセス・テンコーのフィギュアも欲しいんだけれど。
 ランチにおいしいスシを食べてから家に帰った。僕はまたマンガの続きを読む。パパはトヨタを洗い出した。これから、前から観たいと言っていたラスト・サムライを観るためママと一緒に映画館に行くらしい。
 お兄ちゃんは、ホンダのバイクでガールフレンドの家にでも向かったようだ。夕方にあるカラテの練習まではデートでもするのだろう。
 僕は思う。アメリカとはなんて豊かな、いい国だろうって。僕はアメリカに生まれて本当に良かった。僕はアメリカを心から愛している。そしてアメリカの文化を誇りに思っている。

世界の日本人ジョーク集(早坂隆著:中公新書)P.232〜P.233より抜粋
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4121502027/250-4620365-9244217?v=glance&n=465392

 ・・・

 いかがでしょうか。

 善し悪しはともかく経済力に裏打ちされた日本の職人芸・技術力こそ、61年間この国を支えてきた根幹を成す財産なのであります。

 私には冒頭のジョークに登場する、日本におけるベストセラーが、特定のイデオロギー書でも特定の宗教の教典でもなく、これも一種の職人芸である「マンガ」であることが、一概に悪いこととは思えないのです。

 「普通の国」もよいですが、職人芸・技術力に特化した平和的な「特殊な国」もそうかっこ悪くはないと考えるのですが、みなさまはどうお思いでしょうか。



(木走まさみず)