木走日記

場末の時事評論

ホリエモンを通じて視聴率について考えてみる

kibashiri2005-04-04


 なんか、報道番組でホリエモンを取り上げると視聴率的に高い数字がとれるのでしょうか?昨日の日曜の報道系番組でもほとんど取り上げていましたですね。

 テレビ業界における視聴率なるものは、なんとも部外者からみると、不思議な数字なのでありまして、業界の方が何をそれほど血眼になって数字の高さを競うのかいまひとつ理解しがたいわけですが。

 あらためて視聴率の意味などを考えてみたいのです。テレビがついていれば見ていなくても、視聴したことになるわけで、サンプル数がきわめて少ないのであります。そんな調査にどれほどの有効性があるのか、この疑問は調査の開始時からいわれつづけてきたことなのですが、とにかくテレビ局にとっては、ほかに客観的な評価基準はないわけです。

 特に民放の収入はコマーシャルによるし、その値段は、曜日や時間帯毎のこまかな視聴率によって算定されるから、1、2パーセントの違いでも、収入差は莫大なものになってしまうわけです。番組制作スタッフが視聴率を上げることに血眼になるのは当然のことではあるようです。

巨人戦の視聴率が過去最低 開幕戦、厳しいスタート

 日本テレビ系で1日に放送されたプロ野球セ・リーグ開幕戦「巨人対広島」の関東地区の平均視聴率が、午後6時台12・0%(関西地区8・2%)、午後7時以降13・5%(同9・3%)だったことが4日、ビデオリサーチの調べで分かった。

 同社によると、記録を取り始めた1963年以降、ナイターの開幕戦では過去最低の視聴率となった。巨人戦のナイター年間平均視聴率は昨年、12・2%と過去最低を記録しており、今年も厳しいスタートとなった。

 日本テレビは「開幕シリーズの第3戦はシーソーゲームで、後半には高視聴率も記録した。交流戦もあるので、今後に期待したい」としている。

(共同)

(04/04 14:39) 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/050404/bun052.htm

 開幕戦視聴率としては過去最低だそうですが、渡辺恒雄前巨人オーナーもさぞやお怒りのことでしょう。半月ほど前には、強気な発言で沸かせたナベツネさんでしたが。

渡辺前オーナー「視聴率ごくせん並みに」

 巨人渡辺恒雄前オーナー(78)が14日、都内のホテルで行われた、巨人を応援する財界人らによる「燦燦(さんさん)会」で約10分間スピーチし、「堀内監督が耳にピアスをつけて、清原君がひげを生やした方が適当ではないか」とコメントして場内を沸かせた。開幕1軍候補の自由枠ルーキー三木均投手(22=八戸大)にも触れ「一場君(楽天)の代わりにと言ったら申し訳ないが、入った三木投手は異様な頑張りを見せております。何も困らない」とエールを送った。

 また昨季ワースト視聴率の巨人戦について日本テレビの人気番組「ごくせん」を例に「昨年は開幕3連敗などもあって平均視聴率12%だったが、今年は(平均視聴率26%の)『ごくせん』並みに稼ごう」と日本テレビ氏家会長などを前にして大号令を出していた。

[2005/3/15/09:06]日刊スポーツ
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-050315-0003.html

 あ〜あ、残念でありましょう。さぞや無念でありましょうが、「今年は期待したい」が早くも「今後に期待したい」になってしまったわけであります。

 かたや、視聴率で泣きが入った局もあれば、なんかこちらははしゃぎすぎ・・・

 年度視聴率でフジが三冠、12年度ぶり

 フジテレビは4日、2004年度視聴率(関東地区)の全日、ゴールデン、プライムのいずれの時間帯でも民放、NHKの中でトップとなり「三冠王」を12年度ぶりに達成したと発表した。

 同局は1月に発表された04年の年間視聴率でも11年ぶりに三冠王を達成。数字はいずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ。

 フジテレビによると、三冠となった視聴率は、全日(午前6時−翌日午前0時)9.3%、ゴールデン(午後7時−10時)13.7%、プライム(午後7時−11時)14.0%。

 またテレビ朝日は、全日が7.8%で開局以来初めてNHKを抜き、フジテレビと日本テレビに次ぐ3位へ浮上した。(共同)

(04/04 18:08) 産経新聞

ホリエモン騒動のただ中にあるフジテレビでありますが、視聴率的には好調のようでなによりでございました。

 しかし、木走は考えます。現在の地上波中心の狭義の「視聴率」なるものが実はもう”ものさし”としての寿命、耐用年数が尽きつつあるのではないのかと。

 そういえば、一年ぐらい前に、日本テレビのプロデューサーによる視聴率にからむ買収工作事件っていうのがありました。

 あのときの日枝民放連会長のとんちんかんな弁明を思い出しました。

(注)・・・強調文字は木走付記

■民放連会長<定例記者会見>概要
http://www.nab.or.jp/htm/press/precon/20040520.html
2004.5.20
【日 時】 平成16年5月20日(火)午後3時45分〜4時30分
【場 所】 赤坂プリンスホテル 五色2階・紫雲

(前略)

記者:信頼回復への世間の評価はどう考えるか。
日枝会長:清水座長以下、委員各位が真摯に検討いただいたものであり、世間の理解は得られると思う。視聴率そのものの問題、視聴質の問題を指摘し、サンプル数、調査会社問題にも判断された答申を受けたことを真摯に受け止め、信頼回復に向け取り組んでいきたい。

記者:視聴率は、地上テレビ放送を主体にした指標の要素が強い。パソコン視聴、BS・CSの視聴率も調査していくことが可能となるのか。視聴率は、地上波を中心に考えるのが分かり易いと思うが。
日枝会長:デジタルテレビ放送の視聴率調査については、すでに、主協、業協、民放連の3団体で構成する「視聴率検討ステアリング・コミッティ」で研究を開始している。調査研究会でも、メディアが多岐にわたる点が議論になったと聞いている。今回の提言が時宜を得ているというのも恐縮だが、これからは携帯端末で観る人、録画で観る人、ほかのメディアで観る人も含めて、視聴率そのものを広範囲に捉えていく必要がある。

(中略)

記者:視聴率至上主義が、いろいろな弊害を呼んでいるとの有識者委員の強い見方がある。視聴率不正問題発生の前と後とでは、どう変わったか。
日枝会長:今回の問題は、一人のプロデューサーの残念な行為から起こった。これにより視聴率の信頼性が疑われ、次いで視聴率競争の弊害と捉えられ、社会問題になったのだと思う。今回の不幸な問題を契機に視聴率は信頼できる数字でなければならない、ということをテレビ関係者は重く受け止めたと思う。
 こうした事と、視聴率競争の弊害の指摘は一致するものではない。視聴率を取ることが悪いことだとは思わない。自分達が作った番組を一人でも多くの人に観て貰いたいと考えるのは制作者として当然であり、作家が自分の本を多くの人に読んで貰いたいと考えるのと同じだと思う。視聴率に対する向き合い方が大切なのであり、数字に一喜一憂すること無く、また数字には誤差が伴うことを再認識すべきということである

記者:視聴率調査を地上テレビ以外に広げると、相対的に地上波のシェアが低下することにならないか。地上波にどんな展望を持っているのか。
日枝会長:現に放送をパソコンで観る人もいて、近くデジタルテレビを携帯端末から観られるようになるが、地上波を無視して視聴率は語れないと思う。地上波テレビで放送したコンテンツを、パソコン経由やモバイルでも受信したり、さらには録画して観たりもする。このような多様な視聴形態のなかで、どのように数字を捉えるかということだが、将来とも地上波デジタルが中心であることは、間違いないと思う。
 先ほども申しあげたが、主協や業協との、デジタル放送への対応の検討に拍車が掛かると思う。

記者:今後、視聴質についてどのように検討するのか。
日枝会長:報告を受けたばかりで、具体案はまだ無い。
(後略)

■民放連会長<定例記者会見>概要
http://www.nab.or.jp/htm/press/precon/20040520.html

 「視聴率そのものを広範囲に捉えていく必要」性を認めながら「数字に一喜一憂すること無く、また数字には誤差が伴うことを再認識すべき」と正論をおっしゃているようですが、一年前からこの方は自分の局を棚に上げてダブルスタンダードこんなこと発言されていたのです。
 「現に放送をパソコンで観る人もいて、近くデジタルテレビを携帯端末から観られるようになるが、地上波を無視して視聴率は語れない」ことはその通りなのですが、視聴の質をどう高めていくかに関しては、「報告を受けたばかりで、具体案はまだ無い」とされていますが、あれから、10ヶ月、いまだに、具体案はないのであります。

 一年前からこんなことだから、既得権益を守ることに汲々となるのでしょうねえ。

●番組の内容による競争のない「ぬるま湯」テレビ業界

 東京のテレビ局はどこも巨大な新社屋を造ってきわめて景気がいいのであります。周辺を新名所にして、電波だけでなく、実際に人をたくさん集めようともしています。

 しかし、その中身、つまり番組が高視聴率なものほどくだらないから、その落差に唖然とせざるをえないのであります。

 木走に言わせれば、すべて免許事業制度という「ぬるま湯」に既存局があぐらをかいているせいなのであります。

 根本的原因は、免許事業制度により、「視聴率」以外の番組の「内容」による競争がなくなったことであります。テレビ地上波の場合、首都圏では7チャンネルしかないわけで、これはたとえば雑誌業界でいうと、雑誌の発行が免許制で、現在数百種類ある週刊誌が、永遠に7種類の週刊誌しかないような奇形の世界であります。そんな業界にまともな記事を載せろと言うほうが無理なのでありましょう。


 視聴率といえば、NHK大河テレビ『義経』の先週の視聴率は19.6%だったそうですが、なかなか健闘しているそうですね。

 まあ、見た目としてはホリエモンは「平家」をうち負かすタッキー「義経」ってタイプではないですけどね・・・
 どっちかっていうと、松平健扮するサンバ「弁慶」って感じかしら・・・(苦笑

 まあ、テレビ局のみなさんも平家一門みたいなもので、「おごる平家はひさしからずや」でございますよ。 「勢者必衰」といいますか長く続くとは思えませんですけれど。

 みなさん、そうは思われません?



(木走まさみず)