木走日記

場末の時事評論

韓国にスキンシップするホリエモン

kibashiri2005-04-03


 なんとなく劣勢に追い込められているような堀江氏ではありますが、こんな記事から。

逃げられない

 「情報の双方向性という特徴を持ちかつ世界に向けての情報発信が可能なインターネットというメディアとラジオ、テレビ、新聞、雑誌という4大メディアとが補完しあうことで国民生活に大きく寄与できる」とライブドアは言う。その具体的内容も、それがもたらす企業価値向上の可能性も恐らくその道のプロには分かることなのだろう。

 だが、フジサンケイグループのトップ陣はライブドア提案の業務提携のもたらす得失について専門的見地から検討しているようには見えない。むしろどうにかして逃げたい一心のように見える。そして、ライブドアの先輩格のソフトバンクグループに、ニッポン放送が所有するフジテレビ株を貸す策が出た。表向きの理由はどうあっても、相手がライブドアでさえなければよいのだとでも言うように。

 そういえばライブドアプロ野球に参入しようとした時もそうだった。近鉄球団買収への名乗りとその後の新規球団設立というプロ野球界への彼の挑戦で、実現寸前だった2リーグ制から1リーグ制への移行は頓挫した。既存球団オーナーたちは定見の無さをさらけ出し、本質論を横に置いてライブドアの競合相手である楽天に助けを求めたのである。

 いずれの場合も、若さと金の力を武器にして行動力はあるが、経営手法の強引さに加え実業経験も浅く、人材もいないという評価がライブドアを排除する理由なのだろう。今の日本にあってはライブドアはもっと上手に事を進める術を身に着けなければならないのかも知れない。

 今回、ニッポン放送株の過半数を持つ相手との業務提携を嫌い他社を巻き込んだフジサンケイグループが解決のためにより大きなリスクを抱えたことは間違いない。

 今や旧来の経営者も、変化を求めチャンスを求める彼らとともに考え、答えを出して行かざるを得ない時代になったことを認識しなければならない。(啄木鳥)
http://www.asahi.com/business/column/TKY200503300231.html

2005年03月30日 朝日新聞 経済気象台

 そうですよね、昨年のプロ野球騒動では『楽天』が、今回のニッポン放送株騒動では『ソフトバンク』が、守旧派にとって『白馬の騎士』として、颯爽としてあらわれたのでした。

 でもなあ、『楽天』にしても『ソフトバンク』にしてもITポータルサイト業者としての括りでは、『ライブドア』と大差ないわけでして、違いといえばライブドアに比べて先行している分会社が大きいのと、経営トップがちゃんとスーツ着てネクタイ締めて会見できるところぐらいなのですよね。

 しかし、このちゃんと『ネクタイを締める』ことは、『僕は既存秩序を守ります。ルールやマナーを守るいい子で〜す。』と、既得権益を守るのに汲々としているおじさん達のかろうじて黒いまなこには、実にシンボリックに映ることなのかも知れませんね。

 木走としては、穿った言い方をすれば、よりましだろうと選んだ『楽天』にしても『ソフトバンク』にしてもIT業という『育ち』は隠せないわけで、大きな意味では記事タイトルどおり、守旧派の方々は時代の趨勢からは『逃げられない』のだと思うわけです。

 当のホリエモンはどんな動きを見せているかと言えば、どこぞのゴーマンおじさんに『ぺらぺらぺらぺらしゃべりすぎ』と言われて、少し考えたのでしょうか、ここ数日マスコミには一旦沈黙しているようです。

 そんな中、韓国紙・中央日報の単独インタビューに応えていました。

「日本企業の成長が止まったのオーナーがいないため」ライブドア堀江社長


 日本屈指のフジサンケイグループとフジテレビの経営権をめぐり争奪戦を繰り広げているライブドア堀江貴文社長(32)は、「日本の大企業の成長が止まっているのは韓国の三星サムスン)のような強力な指導者(オーナー)がいないためだ」と主張した。

28日午後、東京六本木ヒルズ38階のライブドア本社で、外国メディアとは初めて中央日報との単独インタビューに応じた堀江社長は、「韓国のように20、30代の企業リーダーが出てきて、活発に新陳代謝が行われなければならない」とし、このように明らかにした。

堀江社長は「韓国の情報技術(IT)レベルは日本よりも一枚上であり、造船、鉄鋼、繊維などもすでに韓国に追い越された状態。 今のように慢性的で高齢化した企業構造では日本の成長は期待できない」と語った。

また「三菱自動車を生かすため、三菱関連会社らが対策なしに年間純利益総額に相当する資金を注ぎ込んでいるというのはとうてい理解できないこと」と付け加えた。

これは結局、三菱には強力なオーナーが不在で、自らを守ろうという社長らだけがいるためだ、というのが堀江社長の主張だ。 堀江社長は「われわれが資本の力を動員して、無理やりにでも変えていきます」と語った。

ライブドアは最近、フジテレビの親会社であるニッポン放送株を半分以上取得した。堀江社長は「自分が目指す未来産業はITとメディアと金融の結合」とし、「これをいま実現できるのは恐らく韓国と日本しかないだろう」と話した。

堀江社長は「(日本企業よりも)若くて優秀で攻撃的な韓国企業は、韓国よりも規模が大きい日本市場でお金を稼ぐ機会を持っている。ブランドをまず広く知らせる戦略で市場を狙うべきだ」と助言した。

堀江社長は、フジテレビジョン株がソフトバンク・インベストメントSBI)に5年間貸し株されたことについて、「誰かに貸し株をするのではという予測はしていたが、それがSBIであることは知らなかった」とし、「たぶん一番貸し株をしてはいけない相手にしたのかなという気がする」と語った。

しかし堀江社長は株式も5年後には戻ってくると自信を表した。「すでにニッポン放送株の過半数を確保しただけに、6月末の株主総会を通じて経営権を携えるようになってから、SBIと新しい提案などを含め、幅広く協議する考え」と述べた。

新しい歴史教科書をつくる会」の歴史歪曲教科書を出版している扶桑社など、フジサンケイグループの右傾化に対しては憂慮を表した。 堀江社長は「新しい教科書を作ったからといって世の中は変わらないというのが自分の率直な本心。話すことは多いが、いまはフジテレビと業務提携交渉をしているだけに話を控えたい」と語った。

東京=金玄基(キム・ヒョンギ)特派員 < luckyman@joongang.co.kr >

http://japanese.joins.com/html/2005/0330/20050330152454300.html
2005.03.30 15:24

 「韓国の情報技術(IT)レベルは日本よりも一枚上であり、造船、鉄鋼、繊維などもすでに韓国に追い越された状態。 今のように慢性的で高齢化した企業構造では日本の成長は期待できない」、「新しい教科書を作ったからといって世の中は変わらないというのが自分の率直な本心。話すことは多いが、いまはフジテレビと業務提携交渉をしているだけに話を控えたい」と、ちゃんと丸くなったホリエモンは、韓国へのスキンシップを忘れないわけであります。

 木走として、この時期に韓国マスコミのインタビューだけに応えている堀江氏のその動機に注目してみたいのです。

 木走として考えられる理由は次の3点です。
 第一に、日本のマスコミには「ぺらぺらぺらぺらしゃべらない」ほうが今は得策であること。
 第二に、確かに韓国は日本よりインターネット先進国であり、インターネット業界を中心に同世代の経営者も多いし、堀江氏の主張を受け入れやすい土壌が国としてあること。
 第三になのですが、これは根拠はない予想ですが、何らかの形の韓国IT企業との業務提携を模索していること。

 実は、第三の予想はIT同業者からのある未確認情報からです。

 さあ、ホリエモン劇場、次の幕の開演はいつでしょう。



(木走まさみず)