木走日記

場末の時事評論

憂鬱な火曜日〜日本の人口問題について考える

 昨日、アジアの『龍』・中国とアジアの『象』・インドについて、あれこれ考えて一日本人として暗くなってしまったわけですが、まあ中国もインドも、近い将来15億人以上の人口になっちゃうそうでありましてアジアの『たぬき』・日本としては、その数字自体ある意味うらやましいわけであります。こっちは、おかげさま(?)で超少子化・超高齢化を向かえて、来年あたりから、人口も減り出すと予想されているんですから。

 そんなこと考えていたら、昨日の産経新聞にため息がでるような暗い速報が載っていました。

●『出生が4年連続最少を更新 04年生まれ112万人 』(03/28 産経新聞)
http://www.sankei.co.jp/news/050328/sha106.htm

読者のみなさん、覚悟して読んで下さい。そして木走と一緒に憂鬱になりましょう。

 2004年に日本で生まれた赤ちゃんは、政府が取りまとめた速報値ベースの統計で日本在住の外国人も含め112万1000人だったことが28日、分かった。03年に比べ1万4000人少なく、4年連続で戦後最少記録を更新した。出生数は政府の見通しより3万人超少なく、高齢化の進展も予想を上回っている。

 少子高齢化の進行が政府の予測値より速くなったことで、昨年、施行されたばかりの新年金制度や医療、介護といった社会保障制度に大きな影響を及ぼしそうだ。

 1人の女性が一生に産む平均子ども数である合計特殊出生率は、03年に1・29と戦後最低になったが、04年はさらに低下した可能性がある。

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が02年1月に公表した「日本の将来推計人口」の中位推計では、04年の出生数を115万4000人と見込んでいたが、実際には3万3000人下回ったことになる。

 一方、総務省が先月発表した04年10月1日現在の総人口は1億2768万7000人で、中位推計を5万人強上回った。

 出生数が中位推計を下回ったのに人口が同推計より多かったのは、死亡者数が103万4000人(前年比1万3000人増)と、同推計より少なかったことが影響した。

 これって、予想以上に赤ちゃんが減っていて、予想以上に高齢者が長生きしてるってことですよね。だいたい厚生労働省の予想は甘いという指摘が各本面から出ていたのですが、またしても、裏付けられたわけです。

 出生数、死亡数とも政府予想より少ない状況が続いていることから、年代別人口は政府予想に比べ14歳以下で少なく65歳以上では多くなっている。予想とのギャップは年を追うごとに広がっている。

 04年の出生数から死亡者を差し引いた自然増も8万7000人で戦後最少だったが、中位推計の6万2000人よりは多かった。

 将来推計人口は、政府が年金の保険料率や給付額を算定する際に用いられる重要なデータ。高位、中位、低位の推計があるが一般には中位推計が活用される。

 ■中位推計 国立社会保障・人口問題研究所は、年齢別の平均死亡率や出生率などに基づいて日本の将来人口についての3種の推計値を5年ごとに算出するが、その中で真ん中の数値。高位、低位推計もあるが、年金、医療、介護といった社会保障制度の策定など、一般に政府や地方自治体が政策決定の際の基礎資料に用いるのは中位推計。生命保険会社など民間企業なども利用している。

 「政府が年金の保険料率や給付額を算定する際に用いられる重要なデータ」が、全然実数と合っていなくてよろしいのでしょうか?
 生命保険会社など民間企業なども利用しているそうですが、ただでさえ財政破綻ぎみの国家予算・自治体予算・各社会保障制度にとって絶望的な速報値のようです。

 政府がまとめた速報値ベースの統計で、日本の人口は、赤ちゃんは減っても長生きするお年寄りが増えて維持されている現状が鮮明になった。

 総人口は、政府が将来人口を推計した2002年以降、04年まで3年連続で政府見通しを上回って増加した。しかし、その要因は出生数が政府予想より増えたわけではなく逆に予想より少なかったが、死亡者数も予想より少なかったためだ。

 03、04年の2年間で生まれた赤ちゃんは225万6000人で、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計より6万8000人少ない。一方、2年間の死亡数は205万4000人で中位推計を10万5000人下回った。

 この結果、年代別の人口構成比は65歳以上が全人口の19・5%となり、政府見通しより0・1ポイント増。逆に15歳から64歳の生産年齢人口は政府見通しより0・1ポイント減の66・6%に低下した。

 政府の予想を超えて国民が長生きすることは喜ぶべきことだが、年金受給者は増え、現状のままだと医療、介護などを受ける人は増加の一途だ。一方で、税や保険料の支え手となる現役世代は減り、財政はますます圧迫される。負担増や給付水準低下を避けるためにも、高齢者の職場開発など支え手を増やしたり、生活習慣病対策など健康を維持する取り組みは待ったなしだ。

(共同)

(注)強調箇所は木走付記

 ふう・・・

 なんなんでしょう。この記事の結語は。

 こんな状態で、「政府の予想を超えて国民が長生きすることは喜ぶべきこと」なんて、素直に喜べるはずないでしょう。「高齢者の職場開発など支え手を増やしたり」するのはまだよいとしても、「生活習慣病対策など健康を維持する取り組みは待ったなし」って、論点外しっぱなしでしょう。根本的な少子化対策もろくにせずに、財政破綻に拍車を掛けるためにこれ以上長生きしろっていうのでしょうか?

 すみません。少し興奮しました。不肖・木走は、お年寄りをいたわる気持ちはいささかも変わっておりません。(汗
 私の怒りは、この無責任な記事の結論にあります。さらにいえば、このような状態に陥っていても少子化対策に無策である我が国の政府・行政に向けられたものであります。

 私は、『真理の探究者』を目指しておりますから、感情にながされずに、あくまでも実証主義を貫き冷静に議論を進めていきましょう。

 「合計特殊出生率」が1.29であることの意味を少し調べてみました。総合研究開発機構・総括主任研究員の神田玲子氏、「少子化と人口減少社会への対応」という論文をさるサイトに寄稿されています。

●「少子化と人口減少社会への対応」
http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no189/kikou.htm

 その中から、出生率1.29という数字の深刻さを説明されているところを抜粋してみます。

 2003年の合計特殊出生率は1.29と、過去最低を記録した。仮に、現在の出生率の水準が続けば、500年後には日本の人口はわずかに13万人とほぼ縄文時代並みの人口水準になる
 諸外国と比較しても、現在の日本の水準は際立って低い水準である。日本の1.29という水準は、人口の減少に危機感をもち、積極的な家族政策を推進しているフランスでも、経験したことがないものである。

(注)強調箇所は木走付記

 縄文時代かあ、いいですよねえ・・・ って、全然良くないのであります。

 神田玲子氏は、人口減少問題に対処するために、「少子化抑制戦略」と「人口減少適応戦略」の二つの基本戦略を提案されています。詳しくは上記論文をお読みいただくとして、とにかくもう少し日本人女性が子供を産まないことには、国家が破綻してしまうペースなのだそうです。

 氏は論文の結論として以下のように提言しています。

出生率が現在の水準(1.29)から仮に2015年に1.6の水準に上昇するだけで、調整コストがかなり軽減される。15歳〜64歳の人口に対する65歳以上の高齢者の割合でみると、2100年時点では、出生率が1.6に上昇すれば、1.9人となるのに対して、現在の水準のままでは、2.6人にまで上昇する。したがって、出生率を2の水準まで行かなくとも、フランスやスウェーデンなみの1の後半に引き上げることは、社会保障などの調整スピードを大きく遅らせる上で効果的である。

 根の深い問題であります。木走のおつむでは答えを見いだせませんが、暴論気味トンデモ対策なら浮かんできます。

 アジアの『龍』と『象』から、大量に移民を受け入れるのです!!

 どうせ日本民族は、北方民族、南方民族、大陸からの移民等の混血であるわけですし、いいじゃないですか?
 そうすれば、彼の国の人口抑制策にも貢献できるし、我が日本も少子化対策必要なくなり、『新日本民族』としてインタナショナルに蘇れます・・・



 暴論であります。語っていて落ち込んでしまいました。

 やっぱり、ここは潔く純血を守り縄文時代へと戻りましょうか?


(木走まさみず)