木走日記

場末の時事評論

「安倍おろし」への熱情がむき出しの不快指数100%の朝日コラムを愛でる

 今回は小ネタです。

 さあ、朝日新聞が久しぶりのスマッシュヒット級の香ばしい政治コラムをカマしてくれています。

 7月31日付け朝刊掲載でございます、ネットではこちら。

(政治断簡)「こんな人たち」に丁寧始めました
政治部次長・高橋純
2017年7月31日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S13064262.html

 未読の読者は是非上記リンク先で、直接お読みください、一読の価値ありでございます。

 今回は、朝日新聞政治部次長の要職にある高橋純子氏による、この「珠玉」の政治コラムを堪能いたしましょう。

 さてコラムは冒頭、「お気に入りの定食屋さん」の客が減り、筆者が「これは早晩潰れるな」と予想していたら、「その通りになった」というお話から始まります。

 週に1度はランチに通う、お気に入りの定食屋さんがあった。味がよく値段も手ごろな人気店。満席のため並んで待つこともしばしばだった。

 ところが、仕事の都合で3カ月ほどご無沙汰したのち訪ねたら、客は私ともうひとりだけ。どこか荒(すさ)んだ空気が漂う店内で焼き魚定食を食す。ん? 変わらずおいしい。でもこれは早晩潰れるなと店を出た。その通りになった。

 で、高橋純子氏としては「味や値段は変わらなくても、かつての行列が途絶え閑散とした店に通う気はしない」とのかなりアクの強い判断基準を示しながら、ここで嬉々として「そうです、私はこの思い出話に、安倍内閣の支持率続落を重ね合わせているわけでございます」と豪快に論理を展開していきます。

 政治コラムにあるまじきこの辺の強引さや違和感で軽く目眩を覚えながら、コラムは力強く「そうです」と続いていくのです。

 なにが「そうです」なのやら、意味は分かりませんが・・・

 本当の原因は知らない。ただ、たとえ味や値段は変わらなくても、かつての行列が途絶え閑散とした店に通う気はしない。人気が衰えた店はどうにも陰気で、ますます客足を遠のかせる――そうです。私はこの思い出話に、安倍内閣の支持率続落を重ね合わせているわけでございます。

 うれしそうに安倍政権にとって「支持率の低下は致命傷」だと主張していきます、だって国会で「『内閣支持率は53%。民進党の支持率もご承知の通り』と薄笑いを浮かべ、拒んだ」のだからと、指摘します。

 支持率に一喜一憂するのは端的に言って愚かしい。しかし、現政権にとって支持率の低下は致命傷だ。なぜか。安倍晋三首相が自らの政治の正当性を、支持率の高さによって根拠づけてきたからだ。

 4月。民進議員が森友問題に関し、世論調査では「納得できない」が約8割として首相に説明を促すよう求めると、「内閣支持率は53%。民進党の支持率もご承知の通り」と薄笑いを浮かべ、拒んだ。

 ここからがこのコラムの真骨頂であります。

 うわべだけの安倍人気は熱烈な安倍ファンがフィルタになっていたと指摘、そんな安倍人気がいっきに暴落してしまう、「なんてったってアイドルな構図が崩れた」のは「『安倍やめろ!』の横断幕が広げられ、『帰れ』コールが響いた都議選最終日」なのだそうです。

 有名無名、首相の熱烈なファンは確かにフィルターとして機能し、「強引」「傲慢(ごうまん)」は「実行力」に変換されて拡散、ファンの外側に分厚い「消極的支持層」を育んできた。ところがその、なんてったってアイドルな構図が崩れた。いつ? 「安倍やめろ!」の横断幕が広げられ、「帰れ」コールが響いた都議選最終日だ。

 安倍さんは、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と、「消極的支持層までをも指さしてしまった」、「フィルターを自ら無効化しちゃった」のだそうです。

 首相がコールを無視し、人垣の内側にとどまっていれば、往時に比べ衰えたとはいえフィルターが稼働し「一部に抗議の声」で終わったかもしれない。しかし首相はよりによって「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と、ファン越しに首相を見ていた消極的支持層までをも指さしてしまった。人垣の外の世界と直につながり、フィルターを自ら無効化しちゃったのだ。俺様何様真っ逆サマー。暑い。

 なんで、「こんな人たち」が「ファン越しに首相を見ていた消極的支持層」を指すのか、論理的にはまったく意味不明です、だがしかし、朝日新聞政治部次長・高橋純子ワールドはそんなことは気にしないで広がっていきます。

 ここの締めの表現、

「俺様何様真っ逆サマー。暑い。」

 どうです? 

 高橋純子氏の安倍政権支持率急落に対する喜びよう、
 そして「安倍おろし」への彼女のアツき熱情(パッショ)がむき出しております、確かにたちの悪い熱帯夜のような不快指数100%の文章でございます。
 さてコラムの結びです。

 安倍首相が国民に丁寧に説明をすると言い出したことをバカにして、「『丁寧はじめました』としたくらいで客足は戻るのか。そんな例、過去にあった?」のかと、問いを発します。

 問いの答えでコラムは結ばれています。

 はてさて内閣改造である。人気が下がったのも、店の空気が荒んだのも、「お前のせいだ」と言われている店長主導でスタッフを入れ替え「冷やし中華はじめました」ならぬ「丁寧はじめました」としたくらいで客足は戻るのか。そんな例、過去にあった?

 記憶にございません。

 「記憶にございません。」

 決まった・・・

 ・・・

 いかがでしたしょうか、この政治ジャーナリストにあるまじき政治家に対するリスペクトゼロの非論理的な駄文は。

 安倍批判は別にいいんです、政治部次長らしく安倍政権のその政策や言動をロジカルに批判展開するのならば、ここまで不快な文章にはなりますまい。

 だが、ここ(この文章)には残念ながら知性・理性がまったくみられないのです。

 読後感が最悪な胸くそ悪い小説のような、朝日新聞政治部次長・高橋純子氏による政治コラムでありました。

 全体的にお下品な表現に包まれつつですが、安倍政権の支持率が急落したことへの隠しようのない喜びが満ち満ちておるのでありますが、いかんせん論理展開がめちゃくちゃ強引で初めに「安倍大嫌い」の結論ありきの論説なものですから、まともに評論するのもバカらしいほどの文章になっております。

 感情のみでつづられる政治コラム・・・

 読者のみなさん。

 これが天下の朝日新聞の政治部の「次長職」という要職の方の文章なのであります。
 このような人が指導的に朝日新聞政治部の若手記者を教育しているわけです。 
 メディアとしての信頼が「真っ逆サマー」なのは、朝日新聞のほうだったりして。
 ・・・

 ・・・

 ふう。

 暑い。



(木走まさみず)