木走日記

場末の時事評論

会社内「仲良しグループ」が扱いづらい集団と化する理由

●中堅化粧品関係販売会社の女性社長の興味深い話〜女性集団はマネジメントしづらい

 先日、ある中堅化粧品関係販売会社の女性社長と会食いたしましたときのことです。

 従業員80名ほどのその会社は女子社員が7割以上を占めているのでありまして、社内はそれは華やいでいるのであります。

 私の会社がその会社のITシステム開発と保守を担当しているのですが、新商品の開発を機に一部システムの手直しをしたいというご要望がありお会いしていたのでありますが、雑談の中でその社長は興味深い発言をしたのであります。

 私が「しかし、御社は若い女子社員が多くて華やいでいてうらやましいですな」と言いますと、社長は困惑顔で私にこのように宣ったのであります。

 「いやいや女性の多い組織は難しいですよ、女性集団はマネジメントしづらいのです」
 他ならぬ同姓の社長からの意外な発言に興味がそそられたのであります。

 「一般にですが女性社員は、男性社員に比べて社会性意識が希薄なのです。彼女たちは目標を示してあげれば、一生懸命に努力してくれますが、基本的に自己中心的であり、自分のことしか考えていない傾向が強いのです、組織のためにという発想がありません」

 「周囲のために、組織のためにという発想がないので、そういう動きを求めると嫌がる傾向が強いのです」

 「ある新商品開発プロジェクトを任せた女性の場合の具体例なのですが、彼女の企画はとてもすばらしいものでしたが、彼女のプランでは原価が高くなりすぎてマーケティング調査の結果、競合他社の同一商品と価格面で勝てないという結論を得ました。そこで私は彼女に会社のために同じコンセプトの商品としてより原価を低く抑え今より20%落とすように命令しました。市場を勝ち抜くためには仕方が無いという判断からです」

 「しかし、彼女は自分の商品に自信を持っているために猛反発、だめです、この商品のクオリティをこれ以上落とすことはできません、の一点張りなのです。彼女はマーケティング調査の結果とか、営業部門からの進言とかには耳を貸さないのです。営業部門からは低価格路線を売りにしてる弊社のブランドイメージからはこのような高価格商品は売れる見込みはないという冷静な意見が出ていたのです」

 「そこで私がトップ命令として、直接彼女に原価を低く抑え今より20%落とすように指示したのですが、結果彼女はすっかりふてくされてしまいました。調子のいい・悪い、機嫌のいい・悪いが仕事にはっきり出るのも女性社員の特徴です」

 「彼女は有能なスタッフなので、私は困り果ててしまい、営業部門と相談した結果、とりあえずロット数を抑えることを条件に彼女の原案のとおりの商品を販売してみることを決定いたしました」

 「結果は案の定と言いますか在庫の山になりました(苦笑 生産数を抑えたので想定の範囲内の損失で済みましたが、その商品は今ではお得意様への無償販促セットに入れられて在庫をさばいている有様です」

 「この結果に彼女は表では私に『申し訳ありませんでした』と謝罪し、今後は会社の指示に従いますと従順な態度を示しましたが、陰で『こんな会社やってらんないよ』とボヤいていたそうです」

 「やがて彼女は「群れ」を作るようになったのです。すぐ仲良しグループを作ることも女性社員の特徴のひとつです。このような仲良しグループはいくつかのリスクを生みます。一つは、組織全体の利益ではなく仲良しグループの視野の狭い価値観が優先されてしまいグループ内の反経営意識が増幅されることです。マイナス発想がすぐグループに蔓延し、意欲の高い人も巻き込まれていきます」

 「彼女の作ったグループも彼女のようにこれまで仕事上で失敗して会社から責められたことのある会社に不満を持つマイナス思想の集団となっていったのです」

 「このような非生産的な動きを中小企業経営者として看過することはできません」

 「やむなく私は彼女と話し合い、彼女にやめていただくことにいたしました」

 ・・・

 この社長の話は大変興味深いものでしたが、私は次のような当たり前の質問をいたしました。

 「たいへん興味深い具体例ですが、どうなんでしょう性別に関わらず自己中心的な社会性のない社員はいるものですよね、たまたま女性だったのでしょうが男性社員にも似たような問題の社員はいるのではないですか?」

 そうすると社長は苦笑いしながら私にこう返したのでした。

 「木走さん、私は25年この会社で男女双方の従業員を束ねてきました経験から、いつわらざる率直な感想を話しているのですよ。男性社員に問題がないとは言っていません、傾向として女性社員のほうが扱いづらい、特に集団となると問題が多い、と一人の女性経営者としての経験談を話しているだけです」

 ・・・

 うーむ、同姓ならではの厳しい目もあると思いましたが、とても考えさせられたのであります。



●会社内「仲良しグループ」が扱いづらい集団と化する理由〜非生産的な「内向きの発想」に陥りやすい

 不肖・木走はIT関連零細業を経営させていただいております。

 そういえば、私の経営するIT関連零細会社でも、ときどき上記のような反会社的「仲良しグループ」が形成されることがありますです。

 社長である私や上司の指示に反抗的な集団がときに生成されるのであります。

 やっかいなことであります。

 こんな小さな会社内で仲良しグループ作ってどうすんだよと私などは思ってしまうのですが、たしかに傾向としてそのような「群れる」人たちってのは、扱いづらい集団と化することが多いのであります。

 まあ私の会社ではほとんど男性が多いのでありまして性別はあまり関係ないと考えますが、このような「仲良しグループ」がなぜ扱いづらくなってしまうのかは容易に想像がつきます。

 そのような「仲良しグループ」は、周囲の動きよりも自分の都合、組織(会社)や社会(お客様)全体の利益というよりも、仲良しグループのことを優先した視野の狭い考えに陥る傾向が強いのです。

 非生産的な「内向きの発想」でありますね。

 「社保庁」のような巨大組織や親方日の丸ならこれもよいでしょう(よくないか(苦笑))が、民間会社、中でも吹けば飛ぶような零細企業でこんな「内向きの発想」わがままグループを抱えては、下手すると命取りになってしまいます。

 私の場合、先の女性社長のように首にするという過激な策はとりません。

 というかこの人手不足の業界ではそんなもったいないことできないのです(苦笑

 私の場合は一人一人と徹底的に話し合うことを基本にしています。

 彼らにも会社や上司に不満を抱く正当な理由が往々にしてあるからです。

 その言い分を聞いたうえで、言い分に正当性があれば組織として正すべきは正すことを躊躇しません。

 その上で、内向きの発想を外向きに変える重要性を教え、それが本人達のためであることを諭します。

 個としての限られたエネルギーは、全て自身の技術者としてのスキル向上に向けるべきであり、本人のスキル向上こそが利益を生み出していく点では、社員と会社が健全に共有している目的であることを理解してもらいます。

 たいていの場合、納得してくれればグループは自然消滅いたしますし、ときに首謀的存在の社員が残念ながら辞めたりもしたこともありますが、まあおおむねうまく解決できていると思います。

 ・・・

 会社内「仲良しグループ」が扱いづらい集団と化する理由は、そのような「仲良しグループ」が非生産的な「内向きの発想」に陥りやすいことにあるのだと思います。

 もしあなたが自己分析してそのような「あつかいづらい」社員であると思い当たったならば、「内向きの発想を外向きに変える」ことが重要なのだと思います。

 またもしあなたがそのような「あつかいづらい」社員をマネージメントしなければいけない立場であるとするならば、、一人ひとりと向き合って対話することがとても重要であります。

 お互いの考えていることを理解し合ったうえで、内向きの発想を外向きに変える重要性を教えてあげることが重要なのだと思います。



(木走まさみず)



<参考サイト>
■企業成長と労働意欲
http://www.mof.go.jp/f-review/r67/r_67_004_034.pdf
■「女性は扱いにくい」って、どうして?
http://allabout.co.jp/career/womencareer/closeup/CU20051129A/index2.htm
■希薄化する人間関係における成果主義とマネジメント
http://www.jri.co.jp/consul/column/data/266-suzuki.html