木走日記

場末の時事評論

非科学的に敗北を認めないトランプ氏の態度は見苦しい

さて大混戦というよりも大混乱の様相を呈しているアメリカ大統領選でありますが、現在(日本時間5日午後6時)に至っても決着をみていませんが、どうやらジョー・バイデン候補が、来年1月にホワイトハウスを引き継ぐ可能性が高まり始めました。

何が起こっていたのか、後追いですが少し統計数値を押さえておきましょう。

エジソン・リサーチが実施した出口調査は、民主党の得票率増だけでなく、有権者内の分断線も反映しています。

バイデンは女性票では大勝して、男女間での得票率の差は13%に上り、マイノリティでも大差で勝利しています(黒人の87%、アジア系とラテン系では3分の2の支持を得ています)。

また、30歳未満の若者はほぼ3分の2がバイデンに投票し、大学卒業者も確実に過半数がバイデンに票を投じています。人口動態の今後の変化を考えると、民主党の前途は明るいといえます。

一方、トランプは、前回の選挙と同じく、白人票では勝利し(57%)、差は小さくなるが65歳以上の層でも民主党候補を上回りました。

これらの出口調査結果では、トランプはアメリカの労働者階級の票を獲得したという見方は当てはまりません。

大学の学位を持たない人は両候補者間で半々に分かれ、バイデンは労働組合世帯の票の57%を獲得しています。トランプは富裕層で実際によい結果を出し、所得10万ドル以上の層の過半数の支持を得ただけです。

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トランプ大統領は4日、ツイッターに「多数の票が秘密裏に廃棄されたと広く報じられている」と書き込み、不正が行われたとの見方を示します。

集計の結果、民主党のバイデン前副大統領の選挙人獲得数が過半数に達した場合に、「不正があった」として敗北受け入れを拒む布石とみられています。

トランプ氏は「大統領選自体の信頼性が傷ついている」とも投稿、トランプ氏はかねて、新型コロナウイルスの感染拡大で郵便投票が大幅に伸びたことで「不正が増える」と根拠を示さず主張。投稿に先立つ4日の演説でも「最高裁へ行くことになるだろう」と述べ、結果次第で法廷闘争に持ち込む構えを示しています。

(関連記事)
トランプ氏「不正」主張 敗北拒否へ布石か 米大統領
https://news.yahoo.co.jp/articles/a44c5584ef12abf7a9e966abfd2030b628a5d1c5

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今回大混乱の大統領選ですが、その投票率は、期日前が過去最多となり過去最高を112年ぶりに更新する勢いです。

予想では投票総数が1億5000万人、投票率が1908年以来の約65%に達する可能性が高いとされています。

(関連記事)
米大統領選、112年ぶり高投票率も 期日前が過去最多
トランプ政権 米大統領選 北米
2020/10/30 21:51
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65703170Q0A031C2EA2000/

これだけの規模の選挙戦で65%(1億5000万人)ものの高投票率を実現したアメリカです、いろいろ言われていますが、さすが『民主主義国の盟主』であるとこの一点は賞賛に値しましょう。

史記・准陰候』に「敗軍の将は以て勇を言うべからず。亡国の大夫は以て存を図るべからず(戦に負けた将軍は武勇について語る資格がない。滅んだ国の家老は国の存立を考えるべきではない)」とあります。

東洋には、戦(いくさ)で失敗した者が弁解がましく発言したりすべきではないという戒めがあります。

しかしトランプ氏です。

不正があった事実や根拠が示されているならまだしもです、事実の開示もなく、根拠なく「選挙不正」を訴え、「トランプ敗北」を最後まで認めないとすれば、ある意味、それは民主主義の否定でしょう。

これまで安倍政権を通じて日本との外交関係も良好でありましたので、当ブログは消極的ですがトランプ大統領を支持をしていましたので、敗北を認めないこの非科学的態度には正直がっかりです。

もちろん、いまだまだ結論は出ていません、本エントリーはトランプ氏敗北を仮定した話です。

非科学的に敗北を認めないトランプ氏の見苦しい態度はいただけません。



(木走まさみず)