木走日記

場末の時事評論

「映画『鬼滅の刃』興行収入世界一人勝ち」(NYT紙記事)

劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は2020年10月16日(金)に公開され、週末も合わせた公開3日間で動員342万493人、興行収入は46億2311万7450円を記録。日本国内でのオープニング成績としても歴代1位となっています。

コロナ禍において、日本アニメ映画『鬼滅の刃』の空前の観客動員・興行収入の記録更新に世界も驚きます。

ニューヨークタイムス紙は、「何がパンデミック?日本映画が過去最高の観客動員数を記録」("What Pandemic? Japanese Film Draws a Record Flood of Moviegoers")というタイトルの記事を20日に掲載します。

What Pandemic? Japanese Film Draws a Record Flood of Moviegoers
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https://www.nytimes.com/2020/10/20/business/demon-slayer-japan-movie.html

記事は、アメリカでは、劇場が開幕しているとすれば、空いている席の海に映画が上映されている、しかし、日本では、アニメーション映画は、国内史上最大の興行収入を記録していると驚きます。

大ヒットした日本の漫画を原作とする映画「鬼滅の刃」は、コロナウイルスの大流行の中で映画ファンを大画面の前に戻すことを切望しているファンと業界の両方から、何ヶ月もの間熱く期待されていたと指摘。

さらに、この映画はすべての期待を上回り、最大のオープニングウィークエンドで国の記録を倍増させ、340万人以上が4,400万ドル近くのチケットを売り出したと続けます。

この映画は、国内でのみデビューしたにもかかわらず、先週末、他のすべての国を合わせたよりも多く、世界で最大のオープニングを記録したと、その偉業を称えています。

劇場映画『鬼滅の刃 無限列車編』の先週末の興行収入が、日本以外の国で封切られた映画の興行収入をすべて足したものを上回り、“世界最大のオープニングになった”のです。

もちろんハリウッドはじめ中国など世界の主要映画の制作が滞りなおかつ各国の映画館が休館もしくは上映しても観客が閑散とした寂しい動員しか記録できていない中のことです。

いわばライバルがいない中での『鬼滅の刃』の世界一人勝ちです、「日本以外の国の興行収入合計を上回っていた世界最大のオープニングになった」わけです。

そうであっても、NYTのこの記事は、パンデミックによって大きな打撃を受けている自国アメリカや欧州各国と比較し、日本では、強制的な封鎖もなく、マスクなしで行くことに対する罰金もないのに、感染者数・死亡者数が抑制されている事実が、この世界的に見て特異ともいえる映画動員数につながっていると指摘しています。

この映画の成功は通常の状況下でも異例と言える水準ですが、現在のコロナ禍においては特別な意味があり、混雑した空間で見知らぬ人達と共に長時間座っていても、安全だと感じられるようになれば、観客がいかに早く映画館に戻ってくるかを示しているわけです。

NYT記事は欧米視点で、欧米では再び感染が急増している一方で、日本が今回のパンデミックを乗り切り、経済を立て直そうをしている事を示すバロメーターと解説しています。

日本人は、国民が率先して、マスクを着用し、頻繁に手を洗い、当局が「3密」と呼ぶ物に警戒の重点を置き、人々が積極的にそれらを守っている、その結果が、映画館の安全を取り戻し、多くの観客を映画館に再び呼び込むことに成功、映画『鬼滅の刃興行収入世界一人勝ちに繋がっているのだとのNYTの見立てであります。

この海外メディアの反応、読者のみなさんはいかがお感じでしょうか。

なかなか興味深いNYT記事でありました。



(木走まさみず)