木走日記

場末の時事評論

都知事「首都の封鎖=ロックダウン」の可能性言及〜無症状感染者がオーバーシュートを引き起こす可能性

東京都の公式サイト「都内の最新感染動向」の公開データによれば、23日の都内感染者数は過去最高の16人となりました。

都内の最新感染動向
最終更新 2020/03/23 22:40
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https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

23日の小池都知事の会見は「首都の封鎖=ロックダウン」という言葉も飛び出す緊迫したものになりました。

新型コロナ、小池都知事「首都の封鎖あり得る」

 東京都の小池知事は、新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が認められた場合は、首都の封鎖=ロックダウンもあり得るとして、都民に対し、大型イベントの自粛などを改めて求めました。

 「この3週間オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ道であるということです」(小池百合子 東京都知事

 小池都知事は、23日から3週間、イベントなど人が密集する空間への外出を控えるよう都民に呼びかけました。都内で大規模な感染拡大が認められた際には、東京都を封鎖する「ロックダウン」も検討するとしています。

 また、小池知事は、海外から帰国後に感染が確認されるケースが多くなっていることから、羽田空港の検疫の状況を自ら確認することを発表。さらに、東京には大学も多く、症状の軽い人たちが感染を広げないように、若者にメッセージを出すことを明らかにしました。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3936286.html

うむ、都知事のこの緊迫した会見は、先週大阪兵庫で往来の自粛騒ぎが起きた関西圏もですが、首都圏においても厚労省から非公開の予測資料が自治体側に示された結果だと思われます。

読売新聞が厚労省からの非公開予測資料の内容をスクープしています、「厚生労働省クラスター対策班が、東京都内での今後2週間の感染者が500人規模に達する恐れがあると試算していること」を報じています。

【独自】都内500人感染試算...今後2週間、厚労省 都は緊急対策へ〔読売新聞〕
2020年03月23日 13:05

 感染拡大が続く新型コロナウイルスを巡り、厚生労働省クラスター対策班が、東京都内での今後2週間の感染者が500人規模に達する恐れがあると試算していることがわかった。東京都の小池百合子知事は感染抑止対策の強化を急ぐ必要があると判断。専用病床を将来的に4000床態勢まで増やすことなどを柱とする緊急対策を23日にも公表する。

 関係者によると、専門家でつくる対策班では新たな対策が講じられなかった場合、都内で4月8日までに判明する感染者は約500人に上り、うち重篤に陥る患者も約40人に上ると分析しているという。

(後略)
(2020年3月23日 読売新聞)
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0323524740/

この狭い国土です、首都圏でもし感染者爆発(オーバーシュート)が起こってしまえば他地域に波及していくのも時間の問題だと思われます。

都知事も会見で話していましたが、東京特有のリスクとして、3月4月は全国から東京に若い人たち流入してきます。

東京に大学や学校が集中しているからですが、この元気で無垢な若者たちがリスク因子になってしまうというのです。

元気な彼らが症状はでないが、いやでないから余計活動的に移動して、無症状の感染者として都市部にウイルスを拡散させる可能性があるというのです。

私事で恐縮ですが、4月から都内キャンバスで講義をする予定の私なのです。
18、9才の、全国から集結した元気な新入生数十人に囲まれて、50代持病持ちの私が教室内(窓があかないのでほぼ密室)で授業をする、都知事の緊迫会見のあとでは、想像するだにあまり気持ちは宜しくはない(苦笑)シチュエーションなわけです。

さて、首都圏に関する危惧は当ブログでも20日付けエントリーで指摘させていただきました。

首都圏・東京でメガクラスター(巨大集団感染)が発生する可能性は無視できない
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/03/20/151003

エントリーより抜粋。

米国の9倍を筆頭に欧米ではいわゆる感染者爆発(オーバーシュート)が起こっていると推測されます。

欧米で起こっていることは、クラスター(集団感染)がさらなるクラスター(集団感染)を複数発生させ、巨大なるメガクラスター(巨大集団感染)を発生させている状態だと推測されます。

さて、この9日間の感染者数増加率1.609倍の日本についてです。

疫学的に日本は、すばらしく感染者数を抑制していると評価できると思います。

そのうえでですが、もし日本でメガクラスター(巨大集団感染)が発生するとすれば、人口密度・日別人口流動を考えれば、間違いなく首都圏・東京が心配されます。

東京で感染者爆発(オーバーシュート)が起こってしまえば、欧米ですでに起こっているように日本全体に感染者が広まってしまう可能性が大です。

あえてこのタイミングで、読者のみなさまに最悪の可能性を提示しておきます。

油断大敵という意味を込めてです。

海外では、ニューヨークやパリ・ロンドンなどで相次いで都市封鎖=ロックダウン政策が強行されています。

「この3週間オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ道であるということです」(小池百合子 東京都知事

「首都の封鎖=ロックダウン」が日本で起こらないことを願っています。

それにしても読者のみなさん。

オーバーシュートだのロックダウンだの、こんな言葉誰も知りませんでした、よもや日常にこのような物騒な言葉が飛び交うことになろうとは、都知事が首都封鎖の可能性を口にする、こんな日が来るとは、だれも思ってもいませんでした。

世界中で日々急展開しながら発生し続ける想像を超えた現実に、ちょっと脳みそがついていけない感じです。


(木走まさみず)