木走日記

場末の時事評論

4日以上発熱の場合正しく必要な診察と検査が受けられるべき〜肺炎は死因第三位で月一万人以上死亡している現実

医師の中村ゆきつぐ氏が検査のために病院に行くのはわざわざ感染しに行く愚の骨頂であるとのエントリーをしています。

新型コロナウイルスPCR検査の意味 もう今の時期には無駄な仕事を増やすだけ 検査のために病院に行くのはわざわざ感染しに行く愚の骨頂
https://blogos.com/article/438799/

これは医師の立場での冷静な意見です、賛同します。

私は医療関係者ではありませんが、素人の感染者(仮定)の立場で、少し補足させていただきたいです。

私事で恐縮ですが読者の参考になればと、私自身の数年前の「肺炎」経験をお話します。

肺炎は素人判断で放置していると怖いという話です。

当時、小さな会社の経営と学校の外来講師とダブルワークをしていました私は一週間のうち、3日は学校、2日は会社、といった形態で働いておりました。

あるとき、37.5°ぐらいの微熱が出ましたが、市販の風邪薬を飲みつつ働き続けました。

無理した理由はタイトなスケジュールで休むわけにもいかず、特に学校の講義は、ご存知の読者も多いでしょうが、現在は休講した分は必ず補講を入れなければなりません、受講している学生にも迷惑をかけるし、スケジュール調整も面倒だったので休みづらかったのです。

その時点の学校のスケジュールではあと10日ほどで定期試験になり、正規の授業は終了します、試験期間になれば、試験監督(これは辞退できます)と担当科目の採点だけになります。さらに試験が終われば、学校は1ヶ月半の長い休みに入ります。

しかし、一週間しても市販の風邪薬では一向に治らず、私は市販の解熱剤を飲み続けました。ここで私は自分の体力に関して過信がありました、それまでに大病した経験は皆無でした。やがて解熱剤も効かなくなりました、38°前後の発熱が続きました。

学校のスケジュールが休みに入り、私は息苦しくてフラフラの状態で病院に行きました、発熱してから実に一ヶ月近くがたっていました。素人ながらこれはただの風邪ではないことは確信していました。

病院で診断を受けますと、私の説明(一ヶ月発熱が続いていること)や状態を見て医師は、なぜ早く病院に来なかったのかとたしなめつつ、すぐに私を車椅子に乗せました、おそらく歩行もフラフラであったのしょう。

検査の結果、私は肺炎と診断されました。長い間放置していたこともあり症状は重くで、即入院となりました。

肺炎にはさまざまな種類がありますが、肺炎球菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎、レジオネラ肺炎、誤嚥性肺炎、そしてウイルス肺炎などです。

検査の結果、私は日本の肺炎の約40%はこの細菌が原因ですが、肺炎球菌性肺炎と判明しました。レントゲン写真では左の肺のほぼ全て、右の肺も一部が炎症していました。

医者からは「あと少し遅れていれば両方の肺に炎症が広がり、呼吸困難となり人工呼吸器が必要だっただろう」と脅かされ、もし私が何がしかの既往症を抱えていたならば重篤な状態を招いていた可能性は低くないと言われました。

肺炎球菌性肺炎は治療には抗生剤を使います。

私の場合、4日間ほど病院のベッドで抗生剤を点滴で打ち続けました。

お陰様で完治でき、結局10日間の入院となりました。

さて前回のエントリーでも触れましたが、厚労省は日本人の死因についてPDFファイルで公表しています。

平成 30 年(2018)
人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/gaikyou30.pdf

これによれば、2018年において、総数136万2482人の中で肺炎は9万4654人と死因第五位、統計上分別されていますが、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は3万8462人で第七位であります。

誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで発症する疾患です。 誤嚥性肺炎を起こすのは、高齢の人や、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病などの神経疾患を抱えている人が多いです。

誤嚥性肺炎も含めて肺炎と大きく括れば、日本人の死因の第三位となります。

■主な死因の構成割合(平成 30 年)
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厚労省資料より『木走日記』作成

平成30年には誤嚥性肺炎も含めて13万3116人が肺炎で死亡しています、一日当たり364,7人の計算になります。

この日本では、一ヶ月で1万人強が肺炎で死亡していると推測できます。

今回の新型コロナウイルスでは、27日午前現在9人の死亡が確認されています。

今回中国では発生から2ヶ月で新型コロナによる死者は2715人になっています。

中国、新型コロナの死者2715人 感染者406人増
新型コロナ 中国・台湾
2020/2/26 11:09
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56059840W0A220C2EAF000/

この先日本の対策が後手に回って中国武漢のような医療崩壊を招いてしまったとして、仮に新型ウイルスで年間1000人の死者を出してしまったと想定しましょう。

繰り返しますが、平成30年には誤嚥性肺炎も含めて年間13万3116人が肺炎で死亡しています、この日本では、一ヶ月で1万人強が肺炎で死亡している現実があります。

つまり統計的には、新型ウイルスで年間1000人の死者を出してもこの国の肺炎の死者数は1%も増えないことになります。

何が申したいかと言えば、新型ウイルスは「正しく恐れよ」ということだと思います。

風邪のような軽度な症状な人や無症状の人がPCR検査を受ける必要性より、4日以上発熱が続くようなケースの人が正しく病院に受診・検査が受けれるような体制を急ぎ確立すべきです。(報道によればこのような人も検査できないケースがあるとか)

肺炎は新型コロナウイルス由来の肺炎だけではありません、その中には肺炎球菌性肺炎のように抗生剤などの治療手段が確立している肺炎も多くあります。

4日以上症状があっても自宅で待機療養というのでは、本来治癒できる患者さんが重症化してしまう可能性があります。

本来検査されるべきは、新型コロナウイルス由来もそうではない患者さんもその症状により同等に扱われるべきなのです。

4日以上の発熱症状がある場合、全員が正しく必要な診察を受け必要な検査を受けられること、そして診察検査の結果に基づき正しい医療行為を受けられること、これが本来治癒できる多くの「肺炎」患者さんを救える方法なのだと思います。

肺炎は死因第三位で月一万人以上死亡している現実があります。

本来治癒できる可能性がある肺炎患者さんの重症化は避けるべきです。



(木走まさみず)