真のヤクルト創業者に対するリスペクトが著しく欠落している中央日報記事
韓国中央日報の3日付けの記事が興味深いです。
【韓国の長寿ブランド】500億本売れた国民的発酵乳「ヤクルト」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.11.03
https://japanese.joins.com/JArticle/259199?sectcode=890&servcode=800
記事は500億本売れた国民的発酵乳として韓国ヤクルトを称賛する記事になっております。
記事は、1971年に初めて発売された韓国ヤクルト創業者の尹徳炳(ユン・ドクピョン)会長が積極的マーケティングを継続したことにふれています。
韓国初の乳酸菌発酵乳ヤクルトは1971年に初めて発売された。ヤクルト発売初期に世論は好意的でなかった。「菌にお金を払って飲むのか」という非難を受けたりもした。6月に死去した韓国ヤクルト創業者の尹徳炳(ユン・ドクピョン)会長はこうした世論にも乳酸菌が下痢や便秘予防などに効果的だとして無料試飲行事など積極的マーケティングを継続した。
さらに「尹会長は女性の雇用を創出するために主婦を対象に「ヤクルトおばさん」制度を導入」したとします。
◇主婦雇用創出…「ヤクルトおばさん」制度
ヤクルトの訪問販売方式も国民的人気を享受できた秘訣のひとつに挙げられる。尹会長は女性の雇用を創出するために主婦を対象に「ヤクルトおばさん」制度を導入した。71年に47人にすぎなかったヤクルトおばさんは98年に1万人を超えた。
「フレッシュマネジャー」に名前を変えたヤクルトおばさんは現在1万1000人ほど。韓国最高の販売組織のひとつだ。
記事は韓国ヤクルトは「今後も限界を決めず多様な形態のブランド拡張で市場先導製品としての位置づけを強固にしたい」と関係者の話で結ばれています。
韓国ヤクルトでマーケティング常務を務めるピョン・ギョング氏は「韓国ヤクルトの代表長寿製品であるヤクルトは1971年から消費者の意見と市場状況を反映して変身を繰り返してきた。今後も限界を決めず多様な形態のブランド拡張で市場先導製品としての位置づけを強固にしたい」と話した。
まず韓国でもヤクルトが国民的発酵乳商品としてたいへん売れていること、喜ばしい限りであります。
ただ本記事にはいくつかの重要な事実が隠されています。
まず韓国ヤクルトは日本ヤクルトとの合弁会社であり現在でも株式の38%が日本ヤクルト所有の関連会社であります。
71年の会社設立時、当然ですが日本ヤクルトの技術支援のもと、韓国ヤクルトは立ち上がるわけですが、その事実が一切触れられていません。
また記事は「尹会長は女性の雇用を創出するために主婦を対象に「ヤクルトおばさん」制度を導入」と韓国の独自制度のように報じていますが、これも日本ヤクルトが63年から導入していた婦人販売店システム(「ヤクルトレディ」制度)の完全なコピーであり、その制度の運用においても日本ヤクルトが韓国側にノウハウを提供したものですが、その事実は一切触れられていません。
というか記事全体で「日本」という国名が一切登場していないので、ヤクルトがもともと日本ブランドであることも、韓国ヤクルトが日本ヤクルトの影響下にあった関係会社であることも完全に伏せられてしまっています。
記事タイトルの、『【韓国の長寿ブランド】500億本売れた国民的発酵乳「ヤクルト」』ですが、それはいいんです、事実として間違ってはいません。
ただですね、例えばこの韓国記事が触れている『ヤクルトの代表乳酸菌である「HY2782」』ですが、この正式名称は『ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株』、日本ヤクルト創業者の医学博士代田稔が培養に成功した菌なわけです。
しかしここまでヤクルトが日本発祥であることを伏せて記事を興すとなると、歴史が隠蔽されます、菌の本名すら報じれない、これはすなわち真のヤクルト創業者に対するリスペクトが著しく欠落してしまいます。
中央日報といえば、朝鮮日報、東亜日報と並ぶ韓国三大紙なわけですが、どうしてこのようなゆがんだ報道をするのでしょうか。
これでは事実が正しく伝わらないと思うのです。
ふう。
(木走まさみず)