木走日記

場末の時事評論

安倍首相を"Mighty Fool"(無敵のバカ)と批判する失礼なロシア紙〜それでも当ブログは安倍外交を支持いたします

 さて一部ネット上で騒がれていますロシアの報道について今回は取り上げたいです。

 ロシア紙のRUSSIA INSIDERが9月15日付け紙面で日本の安倍外交を痛烈に批判しています。

 ネットでも当該記事を確認できます。


https://russia-insider.com/en/japans-abe-made-mighty-fool-himself-russias-eastern-economic-forum/ri24761

 記事タイトルが読みやすいようにアップします。


Japan's Abe Made a Mighty Fool of Himself at Russia's Eastern Economic Forum
日本のアベがロシアの東方経済フォーラムで自らの無敵のバカをさらした
But then his entire Russia policy has been a joke -- dangling the prospect of measly economic investments in return for the Kuriles while ignoring Russia's very real concern that Japan is a military satellite of a hostile USA

 記事タイトルにある"Mighty Fool"(無敵のバカ)という描写が非常に象徴的なのですが、このGilbert Doctorow記者の記事全文が読んでいて不愉快になるほど一国の首相を馬鹿にしています。

 サブタイトルでは、アベの対ロ外交政策はジョークの域にあると断じています、日本が米国の忠実な軍事同盟国であるというロシアの懸念を無視していると。

 記事はとても長文なのですが関心ある読者は是非原文をお読みいただければと思います。

 記事を簡単に要約しますと、まずは日本だけがロシアと極東地域で進行中もしくは計画されている大規模な投資活動に参加していないことを非難します。

 まず、安倍総理変人("odd man")だったと言わざるを得ない、と嘆きます。

First, it has to be said that Prime Minister Abe was odd man out..

 日本のプロジェクトはすべてチープであり、

The Japanese projects are all on the cheap.

 これらの「ニンジン」で、平和条約を締結するための日本の条件にロシアに合意するよう動機付けることができるという(アベの)考えは、全く非現実的であるのに、と糾弾しています。

The notion that these “carrots” could motivate Russia to agree to Japanese conditions for concluding a peace treaty is wholly unrealistic.

 そして、本当に問題になっているのは、南クリル(北方領土)を日本に明け渡した場合そこに米軍基地や弾道ミサイル防衛システムが展開されることだと指摘します。

What is really at issue was brought up directly by Sergei Brillyov in a question to Vladimir Putin during the plenary session: whether

the Kuriles, if held by Japan, would become yet another stationing point for American military bases and in particular for the installation of anti-ballistic missile units.

 換言すれば、ロシアは日本を米国・ペンタゴンの忠実なカイライ("stalking horse")とみなしている、その限り譲歩には同意しない。

Put in other words, Russia does not agree to concessions so long as it sees Japan as a stalking horse for the United States and its Pentagon.

 記事の結びは文学的(?)なアベ批判で結ばれています。

 アベのような陳腐で臆病("as stale and timid as Shinzo Abe"な指導者の下では、日本は落日("the Land of the Setting Sun")を迎える運命にある、と。

Under leadership as stale and timid as Shinzo Abe proved to be at the Forum, his country is fated to become the Land of the Setting Sun.

 さてこの礼を失する不愉快なロシアの記事をご紹介したのは、この偏った記事の中にも隠された真実があると感じたからです。

 ロシア、中国、モンゴル、韓国がこの極東で経済連携しつつ協力を強化する、そして特にロシア中国は対米強硬外交を選択していますから、フォーラム全体で反米的な空気がよどみ、日本が相対的に孤立するのは当然です。

 参加国の中で日本以外で唯一の米国の同盟国韓国が対ロ対中外交でまったく当てにならない以上日本の孤立は避けられなかったと考えます。

 BLOGOSにおいても日本が無視されたとのエントリーがありました。

MONEY VOICE
2018年09月16日 17:14
無視される日本。東方経済フォーラムで中国とロシアの巨大経済圏構想が明らかに=浜田和幸
http://blogos.com/article/325609/

 だがしかし、プーチン側にも経済連携にまい進する切羽詰った事情があります。

 この春、Newsweek誌はロシア経済危機は相当深刻であると指摘しています。

4期目のプーチンを襲うロシア経済危機 トランプが発表した新制裁が重荷に2018年4月12日(木)12時20分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/4-52_1.php

 ただでさえ不安定なロシア経済にトランプ制裁が追い討ちを掛けているというわけです。

 ロシアや中国などの大国との外交は一筋縄でいかない面も確かにあります。

 確かに日本はフォーラムで孤立しました、しかしBLOGOSエントリーには反論しておきたい、無視はされていません。

 ロシア紙が痛烈な安倍外交批判するのは日本との経済連携を欲していることの何よりの証左でありましょう。

 北方領土の帰結を決定せずに平和条約締結などは断じて認めるわけにはいきません。

 ロシア、中国、モンゴル、韓国、これらの国との経済連携で少々出遅れたとしても、日本としての筋を通すべきです。

 当ブログは領土問題で筋を通す安倍外交を支持いたします。



(木走まさみず)