木走日記

場末の時事評論

「これが『女性が輝く社会』を掲げる政権なのか」(朝日社説)にみる「朝日新聞限定の脳内真理」〜森羅万象この世で発生するあらゆる不届きな現象は全て結局は安倍晋三が悪いのだ


 朝日新聞が連日のように安倍政権批判社説を掲げております。

 25日付け社説も「これが「女性が輝く社会」を掲げる政権なのか」と痛烈批判であります。

(社説)福田次官辞任 「女性が輝く」の惨状
2018年4月25日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S13466528.html?ref=editorial_backnumber

 さて今回はこの朝日社説を丁寧に検証いたしましょう。

 社説は「財務省福田淳一事務次官の辞任が、閣議で承認された」事実から始まり、しかしセクハラを認めない本人に、「財務官僚のトップが、かくも不誠実な態度に終始する。そのことじたいが許されまい」と痛罵します。

 財務省福田淳一事務次官の辞任が、閣議で承認された。

 しかし、本人も財務省も、テレビ朝日の女性社員へのセクハラを認めたわけではない。

 次官は不自然かつ一貫しない言い訳を繰り返してきた。録音が自分の声かはわからない。いや、全体としてみるとセクハラではない。発覚した当初は省の聴取に「発言の相手が本当に女性記者なのかもまったくわからない」とまで語っていた。

 財務官僚のトップが、かくも不誠実な態度に終始する。そのことじたいが許されまい。

 そして朝日の批判の矛先は、例によって与党や政権に向かっていきます。

 さらに深刻なのは、問題をすり替えようとする政権や与党の姿勢だ。

 「隠しテープでとって週刊誌に売ること自体がある意味で犯罪」。講演でそう語った下村博文文科相が謝罪に追い込まれたのはつい一昨日のことだ。

 にもかかわらず、麻生財務相はきのうの記者会見で「はめられて訴えられているんじゃないかとか、ご意見は世の中にいっぱいある」と述べた。まったく反省がないと言うほかない。

 麻生氏はテレビ朝日から抗議文を受けた際も「もう少し大きな字で書いてもらった方が見やすいなと思った程度に読んだ」と、抗議を受けた組織の長とは思えぬ言葉を吐いた。

 財務省の矢野康治官房長は、省の顧問弁護士事務所を窓口にする調査方法が批判されるなか、衆院の委員会で「名を伏せて弁護士に話すのがそんなに苦痛なことか」と言ってのけ、セクハラへの無理解を露呈した。

 下村博文文科相や麻生財務相の会見での発言、財務省の矢野康治官房長の国会発言を「セクハラへの無理解を露呈」と批判します。

 そして安倍政権批判です。

 これが「女性が輝く社会」を掲げる政権なのか。

 ここからの論理飛躍が朝日新聞らしいところです。

 まず女性のとった週刊誌への情報提供という行動を擁護します、「反省すべきは会社で、記者は責められない」と。

 女性社員が録音したのは被害から身を守るためだ。週刊誌への提供も、会社が社員を守る措置を取らなかったため、やむをえず取った行動にみえる。反省すべきは会社で、記者は責められない。

 で、「ネットにはこの女性への中傷があふれる」と嘆き、その原因をなんと「この問題で、リーダーとしての明確な姿勢を示したとは言えない」安倍晋三に結びつけていきます。

 ネットにはこの女性への中傷があふれる。男性の行いよりも女性側の告発意図を無責任に勘繰り、あざ笑う。ジャーナリストの伊藤詩織さんが昨年、レイプ被害を訴えたときと同じだ。

 そうした言葉の暴力を助長しているのは、一連の政治家や官僚の言動だ。なのに、安倍首相は次官が辞任を表明した際に「誠に遺憾。行政の信頼回復に取り組む」とのコメントを出したが、この問題で、リーダーとしての明確な姿勢を示したとは言えない。

 社説は「女性の訴えにきちんと向き合い、真相を解明し、責任の所在を明らかにする。首相がその先頭に立たなければ」ならぬと、完全上から目線で安倍首相に命令して結ばれています。

 まずは女性の訴えにきちんと向き合い、真相を解明し、責任の所在を明らかにする。首相がその先頭に立たなければ、行政の信頼回復はありえない。

 ・・・

 今回の論理は全ての悪い事象は安倍政権がいけないという、朝日新聞のいびつな三段論法の典型であります。

 こんな感じです。

 ネットにはこの女性記者への中傷があふれる。

 さらにネットでは男性の行いよりも女性側の告発意図を無責任に勘繰り、あざ笑う。

 そうした言葉の暴力を助長しているのは、一連の安倍政権の政治家や官僚の言動だ。

 それなのに安倍首相は次官が辞任を表明した際に「誠に遺憾。行政の信頼回復に取り組む」とのコメントを出しただけだ。

 この問題で、安倍晋三はリーダーとしての明確な姿勢を示したとは言えない。
 
 だから安倍晋三がいけない。

 命令します、真相を解明し、責任の所在を明らかにする。安倍晋三がその先頭に立ちなさい。

 森羅万象この世で発生するあらゆる不届きな現象は全て結局は安倍晋三が悪いのだという「真理」は、朝日新聞社説をよく読めば誰でもが勉強・学習できます。

 真理とは、「いつどんなときにも変わることのない、正しい物事の筋道、真実」のことです。

 ただし、よいこのみなさんはこの「真理」が「朝日新聞限定の脳内真理」であることは理解しておきましょうね。

 朝日新聞論説室とその数少ない支持読者だけに有効なインチキな理屈なのですが、私はそのインチキを心から信じている人たちもいることを皮肉って「真理」という言葉をカッコ付きで使っているのであります。

 ふう。



(木走まさみず)