木走日記

場末の時事評論

朝日の無責任でいじわるな報道姿勢が犠牲者を出したと言えまいか?

 各紙電子版速報記事が、財務省職員の男性が神戸市内で7日自殺していたことを報じています。

 複数の関係者によると、男性は、近畿財務局で学校法人「森友学園」への国有地売却を担当する部署に所属していたといいます。

(関連記事)

毎日新聞
近畿財務局
職員が自殺 森友の国有地売却担当部署に所属
https://mainichi.jp/articles/20180309/k00/00e/040/262000c
産経新聞
森友学園」国有地売却に携わっていた近畿財務局職員が自殺 問題との関連は不明
http://www.sankei.com/west/news/180309/wst1803090052-n2.html
共同通信
森友問題対応の近畿財務局職員が自殺か
https://this.kiji.is/344684524460770401

 自殺したのは一昨日7日で産経記事によれば「遺書」も発見されているようです。

 捜査関係者によると、男性職員は7日夕、神戸市灘区の自宅で死亡しているのが発見され、遺書もあったという。男性職員は当時、学園側と直接売却交渉をしていた職員の部下にあたる上席国有財産管理官を務めていた。

 近畿財務局は毎日新聞の取材に「個人情報に関することは答えられないし、把握もしていない」としています。

 ネット上ではすでに男性職員の氏名・役職等も明らかになっています。

 このタイミングでの担当者の自殺、遺書の内容その他事実関係の詳細が不明なのですが、3月2日に掲載されその後連日これでもかと繰り返し報道されてきた朝日新聞による森友文書書き換え問題報道と、因果していると考えるのは、 議論の余地はないでしょう。

 朝日紙面では9日付けでもまたしても一面トップで、元文書は7ページだったのが5ページに書き換えがあったと、ほぼ決めつけのスクープ第二段が放たれています。

森友文書、項目ごと消える 貸付契約までの経緯
2018年3月9日05時02分
https://www.asahi.com/articles/ASL385T4VL38UTIL03N.html?iref=comtop_8_06

調書はA4判全7ページだったが、複数箇所で文言がなくなったり変わったりし、国会議員に開示された文書は5ページになっている。それと同じ内容の文書が、8日に国会に提出された。

 朝日新聞は今回の書き換え疑惑を「確認」という定義不明の日本語で表現していますが、連日一面トップでほぼ決め付け報道を繰り返し、「書き換え」の詳細を小出しにちぎっては報じちぎっては報じ、しかし決してその根拠は明示しないわけです。

 このような角度をつけたしかし根拠を明示しない朝日新聞の無責任な報道姿勢を前回のエントリーで当ブログは痛烈に批判しました。

2018-03-06 森友文書書き換え問題〜スクープを発した朝日新聞にこそ検証責任がある
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20180306

 当該箇所を抜粋。

 なんという角度を付けた読者への説明責任を放棄した報道姿勢なのでしょう。

 タイトルの「書き換え疑惑」とは名ばかりにこの朝日新聞記事は「書き換え」を事実と断定して決めつけて報道しています。

 現時点で書き換えが事実であるとする検証はスクープした朝日新聞からも財務省からも我々国民にはなされていないのにも関わらずです。

 我々国民が本「書き換え疑惑」で唯一へその緒のように与えられた情報は「朝日新聞は文書を確認」(3月2日記事)したという断片だけです。

 ここまで事実と断定した報道をするのならば、その事実と断定した根拠を読者に示すのが、報道機関としての誠意ある報道姿勢でありましょう。

 「検証責任は財務省にある」と自らの情報源は秘匿し他者の責任に転嫁しつつ、しかし記事は書き換えを疑惑ではなく「事実」として断定した角度のついた暴走報道をする。

 なぜ事実と断定したのかその検証を放棄しつつ報道を暴走する。

 これはかつて従軍慰安婦捏造報道で、原発事故吉田調書捏造報道で、朝日新聞が陥った過ちを繰り返していないか?

 誤解なきよう補足しておきますが、今回の朝日新聞スクープ記事が事実でないと決めつけているわけでは、もちろんありません。

 現段階では実際に財務省が公文書書き換えを行なった可能性ももちろんあります。

 しかし朝日新聞のようにこの段階で書き換えを事実と断定した記事を国民に角度をつけて報道を繰り返すのならば、「朝日新聞は文書を確認」(3月2日記事)したなどのあいまいな説明ではなく当該文書の写真を公表するなりより具体的に証拠を開示すべきだと、それが報道機関としての当然の姿勢だと思うのです。

 根拠も未開示で曖昧にして、角度をつけた決めつけた報道を無責任に繰り返す

 朝日新聞のこの報道姿勢が問題だと思うのです。

 自らの記事が真実に基づいておるのか、その記事の検証をいつも後回しに軽んじるその報道姿勢。

 財務省に公表責任があるのは自明ですが、その前にスクープを発した朝日新聞こそ検証責任があります。

 朝日新聞がたちの悪いのは、「確認」したすべてを出すのではなく、小出しに報道を繰り返し、国会が空転するのを、まるで弄ぶように、状況を見ながら小出しにしていることです。

 このような、真綿で首を絞めるような、朝日の無責任でいじわるな報道姿勢が犠牲者を出したと言えまいか?

 犠牲者が出た以上、朝日新聞に報道機関としての矜持というものがが少しでも残っているのなら今こそそれを示すときです。

 朝日新聞に自らのスクープ記事の責任ある事実検証をあらためて求めます。



(木走まさみず)