木走日記

場末の時事評論

嗚呼、東京五輪は煙の中〜諸悪の根源は自民党の族議員がばっこする古い体質だ

 厚生労働省は1月30日、受動喫煙対策を事業者らに義務付ける健康増進法改正案の素案を公表いたしました。

 飲食店は原則禁煙としつつ、既存の小規模店は「分煙」などと表示すれば喫煙を認めるという、完全に骨抜きの対策となってしまいました。

(関連記事)

受動喫煙対策の厚労省案、大幅に後退 東京五輪は煙の中
https://jp.reuters.com/article/japan-smoking-idJPKBN1FK15X

 国民の8割が非喫煙者である現在、なんでこうゆう国民意識と乖離した結果になったかといえば、政府・自民党の中の『自民党たばこ議員連盟』の政治家の暗躍が指摘されています。

自民党たばこ議員連盟
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E8%AD%B0%E5%93%A1%E9%80%A3%E7%9B%9F

 野田毅会長を筆頭に約300人の自民党議員が所属している大所帯でありますが、全国たばこ販売政治連盟および、全国たばこ耕作者政治連盟自民党内代行組織であります。

 厚労省の調査結果など、たばこの依存性に関わる傍証になる統計事実をいくつか抑えておきましょう。

 昨年発表されたものですが、厚生労働省の研究班が2010年の国民生活基礎調査をもとに調べたところ、学歴の違いで喫煙率に差がついています。

 中でも25〜34歳の若い世代の差が大きく、男性は中卒の喫煙率が68・4%、高卒が55・9%に対し、大卒は36・5%、大学院卒は19・4%。女性はそれぞれ49・3%、23・9%、6・6%、4・8%でありました。

(関連記事)

喫煙率、学歴によって差 若者でくっきり
https://www.asahi.com/articles/ASK596HZYK59UBQU00L.html

 また、年収と喫煙率にも強い相関関係があることが、これも厚労省ですが調査されています。
 200万円未満、200万円以上〜600万円未満、600万円以上でわけると、現在習慣的に喫煙している者の割合は(男性)で37.3%、33.6%、27.0%、(女性)では11.7%、8.8%、6.4%となります。


http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb-att/2r98520000021c30.pdf

 年収や学歴による喫煙率調査はアメリカでも行われています。

 日本と同様の傾向が見て取れます。


http://www.garbagenews.net/archives/1979788.html

 参考までに、日本の都道府県別の喫煙率は、国立がん研究センターの調査によればこんな感じです。


https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#smoking
※上記URLのデータより当ブログ作図

 きれいに西高東低、ではなくて東高西低でありまして、ワースト10は北海道、青森、岩手と、佐賀県以外東北・北関東で占めています(なんででしょう?)。


https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#smoking
※上記URLのデータより当ブログ作図

 話を「自民党たばこ議員連盟」に戻します。

 今回の、厚生労働省健康増進法改正案素案は、見事に「骨抜き」にされましたが、素案骨子は「自民党たばこ議員連盟」の分煙維持の対案に強く影響を受けているとされています。

 昨年3月の記事から。

自民たばこ議連、禁煙義務化に反発 分煙維持の対案発表
https://www.asahi.com/articles/ASK3762KWK37ULBJ00Z.html

 最大の特徴は、受動喫煙を受けたくないこと」は憲法で保障された国民の権利であるが、「喫煙を愉(たの)しむこと」もともに憲法に保障された国民の権利だと、非喫煙者と喫煙者の権利を「平等」に認めている点です。

 東京オリンピックを前に、世界の潮流から完全に逆行してしまった自民党なのであります。

 当ブログは安倍政権を支持していますが、ここに表出している自民党の古い「体質」はまったく支持できません。

 世論を無視しているある種の圧力団体の意見が代弁され党内で声の大きい者が主導し、その結果法律がトンチンカンな方向に捻じ曲がってしまう。
 政治家ではなく政治屋族議員がばっこする古い体質。
 まったくもって情けないことです。
 嗚呼、東京五輪は煙の中、諸悪の根源は自民党族議員がばっこする古い体質なのであります。

 ふう。



(木走まさみず)