木走日記

場末の時事評論

都議選投票日朝刊で露骨にアンチ安倍の「読者誘導」記事を掲載する朝日新聞

 日本列島全体がアンチ安倍モードになっている7月第一日曜日であります。

 そう7月2日、都議選投票日であります。

 逆風吹く安倍自民党に、メディア・野党は勢いづいているのですが、そのような7月2日日曜日の朝日新聞朝刊紙面が出力全開でアンチ安倍報道です、「印象操作」「読者誘導」テクニックが調子付いていて興味深いのです。

 朝刊2面には大きな二つの記事が左右並んでいます。

 右側には名物特集記事である「時時刻刻」が、香港返還20周年で香港を訪れている習近平国家主席が、香港市民の強烈な反対デモを浴びていることなどが報じられています。

(関連記事)

(時時刻刻一国二制度、曲がり角 香港、強硬習氏に不信感 返還から20年
2017年7月2日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S13015140.html

 香港独立を認めないそして自由な言論を弾圧している強権的な習近平国家主席の強硬姿勢に、記事は民主派の議員や、デモ参加者の声をていねいにひろっています。

 会場で演説を聞いた民主派の梁継昌・立法会(議会)議員は「国家が過度に強調され、香港がないがしろにされていた」。午後の抗議デモに参加した無職の男性(60)も「習氏の演説内容と一国二制度の本来の姿は大きくかけ離れている」と批判した。

 強権的で非民主的な権力者に対して、民主化を求める人々がデモによって抗議の声を上げるも、それを黙殺する政権中枢。

 大変わかりやすい図式の記事であります。

 で、その2面に並んでいるもうひとつの記事であります。

 日本では、安倍首相が都議選最終日に初の街頭応援演説をしたら、「「辞めろ」「帰れ」コールがわき起こった」ことを、嬉々として報じる記事なのであります。
(関連記事)

首相、初の街頭応援演説 都議選最終日、秋葉原
2017年7月2日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S13015138.html

 朝日記事によれば、そもそも安倍さんは「今回の都議選では、ヤジが飛ぶ可能性が高い街頭には立たず、支援者が多い小学校体育館での演説に限っていた」と逃げ回っていた印象を与えます。

 今回の都議選では、ヤジが飛ぶ可能性が高い街頭には立たず、支援者が多い小学校体育館での演説に限っていた。最初で最後の街頭演説の場所に選ばれた同駅前は、2014年の衆院選や13年と16年の参院選の最終日にも演説した、首相にとってはなじみのある場所。首相官邸幹部は「政権への支持率が高い若年層が多くいる」と話していた。

 で、秋葉原では「「辞めろ」「帰れ」コールがわき起こった」のだと報じます。

 この日は、日の丸の小旗を振る支持者らが、首相の演説に「そうだ」と勢いよく合いの手を入れた。一方で、「安倍政治を許さない」などのプラカードや横断幕を掲げる一団からは、「辞めろ」「帰れ」コールがわき起こった。聴衆の中には、国有地売却問題に首相夫人や政府職員が関与していたと主張している、森友学園籠池泰典前理事長の姿もあり、「うそを言うな。民主主義を守れ」と声をあげていた。

 で、安倍さんは「人の演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしない。憎悪からは何も生まれない。こんな人たちに負けるわけにはいかない」と反論したわけです。

 こうした政権批判の声に対し、首相は演説で「人の演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしない。憎悪からは何も生まれない。こんな人たちに負けるわけにはいかない」と反論。石原伸晃経済再生相も「反対しかできない人たちが選挙妨害を繰り広げた。情けない」と訴えた。

 この朝日新聞朝刊二面の記事構成、どうでしょう。

 右側の記事で、中国において香港民主化を潰している強硬習主席に対する抗議デモの記事を熱く報じつつ、左側では、今度は日本で、逃げ回っていた安倍さんが遂に都議選最終日に街頭演説したら、「辞めろ」「帰れ」コールと強烈な抗議を喰らった記事を掲げるわけです。

 民主主義の敵である強権権力者に名もなき民衆が抗議の声をあげる・・・

 2つの記事を並べられれば多くの読者は否応なく誘導されていくわけです。

 いや、お見事です。

 ・・・

 都議選投票日に、朝日新聞による露骨な「印象操作」「読者誘導」記事なのであります。

 別に今回のこのエントリーは、朝日新聞を批判しようという意図はありません。

 日本の新聞では、ときに朝日新聞だけでなく読売にしろ産経にしろ、このような複数の記事を組み合わせて並べることにより、読者をある考え方に誘導しようとする試み(一種の印象操作)は、どこでも見られることです。

 しかし、注目の投票日の朝刊で、露骨にアンチ安倍の「読者誘導」記事を掲載する朝日新聞なのです。

 意図が露骨すぎて、技がなさすぎて、照れてしまうわけです。

 調子に乗るなよ、朝日新聞

 私たち読者はこのような朝日新聞の愚かな試みも味わいつつ、メディアの意図を正しく汲み取る、すなわちメディアをリテラシーする能力がますます必要になるのでありますね。

 ふう。



(木走まさみず)