木走日記

場末の時事評論

日韓国交50年に想う〜まず盗んだ仏像は返せ、協定合意を国家として守れ、そこからだ!

 さて22日で日韓正常化50年を迎えるにあたり、各紙社説も出そろいました。

【朝日社説】日韓国交50年 正面から向き合う契機に
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11814623.html
【読売社説】日韓国交50年 「歴史」克服して未来に進もう
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150621-OYT1T50120.html
【毎日社説】日韓正常化50年 「違い」認め、前へ進もう
http://mainichi.jp/opinion/news/20150622k0000m070088000c2.html
【産経社説】日韓正常化50年 成熟した関係の出発点に
http://www.sankei.com/column/news/150616/clm1506160003-n1.html
【日経社説】協力の芽を育み強固な日韓関係を
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO88338470R20C15A6PE8000/

 各紙とも論調の色合いはさまざまですが、結論としては、「互いに正面から向き合うべき時」(朝日)、「戦略的な目標を日韓両国は共有すべき時」(読売)、「日韓100年に向けて双方の努力が必要」(毎日)、「両政府が知恵を出し合い、首脳も指導力を発揮すべき」(産経)、「強固な善隣関係を築いていきたい」(日経)、と両国双方に現状を改善するように求めています。

【朝日社説】
 だからこそ、政治は早く始動せねばならない。50年の節目を契機に、今こそ責任ある主権国家として互いに正面から向き合うべき時ではないか。

【読売社説】
 強引な海洋進出など、地域秩序の「力による現状変更」を目指す中国に自制を促す。中長期的に東アジアの平和と繁栄を追求する。そうした戦略的な目標を日韓両国は共有すべき時ではないか。

【毎日社説】
 日韓はこれまでの50年間、紆余(うよ)曲折を経ながらも協力し、関係を発展させてきた。しかし、旧来の枠組みは機能不全を起こしつつある。お互いに「違い」を認めた上で、協力の枠組みを再構築しなければならない。対話を拒否したり、「放っておけばいい」と突き放したりするのは健全な態度ではない。日韓100年に向けて双方の努力が必要だ。

【産経社説】
 だが、50周年のために取り繕っても効果は薄い。実のある関係改善につなげるよう、両政府が知恵を出し合い、首脳も指導力を発揮すべきだ。

【日経社説】
 「誠信之交隣」。互いに欺かず、争わず、真実をもって交わる。江戸時代の儒学者で朝鮮との交流に携わった対馬藩の外交官、雨森芳洲の言葉だ。こうした外交精神を引き継ぎつつ、協力の芽を一つ一つ育み、「歴史」の葛藤で大きく揺らぐことのない強固な善隣関係を築いていきたい。

 さて、メディア各紙は日韓双方の努力で、「実のある関係改善につなげるよう、両政府が知恵を出し合い、首脳も指導力を発揮すべき」(産経)とのような主張を展開しているわけですが、当ブログとしては建前として相互努力による善隣友好関係の構築の意義は認めるものの、実際今の韓国をあいてに論理的かつ建設的な関係を構築しうるのか、はなはだ疑問なのであります。

 韓国の司法判断ひとつとっても摩訶不思議な判決のてんこ盛りなのであります。

 長崎・対馬で盗まれた仏像の未返還問題はどうでしょう。
 韓国人の泥棒が盗んだ日本の寺の仏像を、日本に返還する必要がないとは、いかなる国際法規と照らしても説明がつかないのですが、この問題現在まで放置されたままです。
 あるいは産経新聞特派員が名誉毀損(きそん)で起訴された事件はどうでしょう、特派員が書いたコラムの引用元の韓国朝鮮日報の元記事は一切不問のまま裁判が進んでいますが、最近までこの特派員の日本への帰国が認められていなかったのはどうでしょう。
 50年前、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の父である当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領は、5億ドルの「経済協力資金」と引き換えに、請求権について「完全かつ最終的に解決された」とする協定に合意いたしました。
 日本政府はこの「完全かつ最終的に解決された」との協定合意には、戦時のあらゆる問題(慰安婦問題や戦時中の徴用工問題)が含まれているとの、当然の立場にあります。
 にもかかわらず韓国は、慰安婦問題や戦時中の徴用工問題を繰り返し蒸し返します。
 韓国の憲法裁判所は、慰安婦問題での対日交渉を政府に求めています。


 また、戦時中の徴用工問題で日本企業に損害賠償を命じる判決も相次いでいます。
 戦時中の徴用工問題では、実は韓国政府が05年に元徴用工の問題は協定で解決済みだと一旦声明を出したのですが、韓国の司法はその後、韓国政府の判断まで覆すようになったわけです。

 そして現在本件では韓国政府は沈黙を守っています。

 これが法治国家と言えるのでしょうか?

 外務省では今年、韓国に関して「我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有する重要な隣国」となっていた表現が、「我が国にとって最も重要な隣国」と「基本的価値を共有する」との表現を削ったわけです。

 韓国にはまず法治国家として日本と「基本的価値を共有」せよと言いたいです。

 まず盗んだ仏像は返せ、と。

 そしてありもしない請求権で慰安婦問題や徴用工問題を政治利用するな、と。

 50年前に戦時の請求権について「完全かつ最終的に解決された」とする協定合意を、国家として守れ、と。

 まずそこからです。

 「日韓100年に向けて双方の努力が必要だ」(毎日社説)などの主要メディアの主張にはこう反論しておきます。

 国際法規、国際公約を守らない国と善隣友好関係など築けるはずもありません。

 そこからでしょう。



(木走まさみず)