木走日記

場末の時事評論

「憲法上、自衛隊は軍隊ではない」(朝日社説)〜この国に軍隊はない、だって憲法にそう書いてあるから

 よいこのみなさん。

 この国には「軍隊」はありません。

 憲法9条第2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明文化されているからです。

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 「軍隊」はないのですから「軍人」もいません。

 軍隊のないこの国は「文民」だけの国なのであります。

 憲法66条第2項には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」とありますが、これは「念のため」です。

第六十六条  内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
○2  内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
○3  内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

 この考え方は難しい言葉で「文民統制」・シビリアンコントロール(Civilian Control Over the Military)という考え方で、文民の政治家が軍隊を統制するという政軍関係における基本方針です、軍部が独走して戦争に突入する軍事国家の道をふさぐため、多くの民主主義国家が採用しているものです。

 主権者である国民が、選挙により選出された国民の代表を通じ、軍事に対して、最終的判断・決定権を持つ、という国家安全保障政策における民主主義の基本原則であります。

 難しい説明が続きましたが、この国には「軍隊」はないのですから、「文民統制」・シビリアンコントロールも本来必要ありません。

 従って憲法66条第2項はあくまでも「念のため」です、盲腸みたいなものです、本来不要です。

 さて従って自衛隊は軍隊ではありません。

 だってこの国には軍隊はないのですから。

 憲法にそう書いてありますから。

 この国のオピニオンリーダーである朝日新聞も社説で「憲法上、自衛隊は軍隊ではない」と高らかに定義しております。

 歴代政府は「自衛隊は、通常の観念で考えられる軍隊とは異なる」としてきており、憲法上、自衛隊は軍隊ではない。

 単なる呼び方の問題ではない。自衛隊の位置づけは憲法の根幹にかかわる。

3月27日付け 朝日社説「我が軍」発言―憲法軽視が目にあまる より
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_gnavi

 朝日新聞は間違ったことをいったことがないのです。

 だから「自衛隊は軍隊ではない」のです。

 自衛隊は軍隊ではないですから攻撃型の兵器も持っていません。

 誰が見ても空母のようですが「いずも」は実は「護衛艦」です。

 誰が見ても攻撃戦闘機のようですが「F35」は実は「支援機」です。

 ・・・

 みなさん。

 この国には「軍隊」はありません。

 従って安倍首相が国会で自衛隊を「我が軍」と言ったのは誤りです。

 アンデルセンの寓話を思い出しましょう。

裸の王様

 新しい服が大好きな王様の元に、二人組の詐欺師が布織職人という触れ込みでやって来る。彼らは何と、馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている者には見えない不思議な布地を織る事が出来るという。王様は大喜びで注文する。仕事場に出来栄えを見に行った時、目の前にあるはずの布地が王様の目には見えない。王様はうろたえるが、家来たちの手前、本当の事は言えず、見えもしない布地を褒めるしかない。家来は家来で、自分には見えないもののそうとは言い出せず、同じように衣装を褒める。王様は見えもしない衣装を身にまといパレードに臨む。見物人も馬鹿と思われてはいけないと同じように衣装を誉めそやすが、その中の小さな子供の一人が、「王様は裸だよ!」と叫んだ。ついに皆が「王様は裸だ」と叫ぶなか、王様一行はただただパレードを続けるのだった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%B8%E3%81%AE%E7%8E%8B%E6%A7%98

 賢者は正しく朝日新聞のように「自衛隊は軍隊ではない」と理解できます。

 愚者には自衛隊が「軍隊」に見えるのです。

 みなさんも朝日新聞のような賢者になりましょう。

 自衛隊は軍隊ではありません。

 だってこの国には軍隊はないのですから。

 憲法にそう書いてありますから。



(木走まさみず)