徹底的な事実の検証無しに「村山談話を継承し発展させ」てよいのか?〜保守系メディアは沈黙せずきっちりと言論で反論せよ
12日付け韓国・朝鮮日報記事で、日本で「村山談話を継承し発展させる会」発足したことを速報で大きく報じています。
日本で「村山談話を継承し発展させる会」発足
安倍政権の村山談話見直し、集団的自衛権行使容認に知識人が立ち上がる
「安倍政権は戦前への逆戻りを目指している」
「植民地支配、侵略戦争を反省する村山談話の継承なくして韓中両国との首脳会談は困難」http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/12/2013111200675.html
いつもながらこの手の日本での動きは日本より韓国で大きく報じられるわけですが、グーグルで検索すれば7つの記事がヒットします。
「村山談話を継承し発展させる会」のニュース検索
https://news.google.com/news?ncl=dAiQ6tGWguPHlQMIOzMLIevupjRdM&q=%E6%9D%91%E5%B1%B1%E8%AB%87%E8%A9%B1%E3%81%AE%E7%B6%99%E6%89%BF%E3%81%AE%E4%BC%9A&lr=Japanese&hl=ja
韓国・中国のメディアは4つ。
【朝鮮新報】「村山談話を継承し発展させる会」発足/「侵略の反省と非戦の誓い」広めたい
で、国内メディアではご覧の3つ。
保守系メディアは沈黙するなかで、まず村山談話を強く支持している左派系国内メディアがこの動きを報道、そしておもに韓国のメディアが大きく日本の報道に呼応するかたちで報道しています。
まったくいつもの報道パターンが繰り返されているわけです。
この種の報道の偏向性については、以前当ブログにて「東京大行進」デモ報道に関してエントリーしました。
2013-09-24 「東京大行進」デモ報道で露見するメディアの偏向報道の二重性
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130924/1379990542
左派系の「好意的報道」、保守系の「無視・沈黙」、この偏向報道の二重性についてメディア論的にまとめた部分を少し再掲します。
うむ、確かに「東京大行進」報道について、その報道分布に媒体により興味深い偏向性が認められます。
一言で言えば保守系メディアは「東京大行進」をほぼ無視しているといってよろしいでしょう。
少しだけメディア論にふれましょう、偏向報道の二重性についてです。
あらゆるメディアは、何を報じて何を報じないか、報道内容を選択する時点で残念ながら偏向性を有しています。
この世に起こる森羅万象全てを報道することは無論不可能ですから、報道する価値を有しているとメディア自身が判断した事象だけが記事として報道されることになります。
ここで重要なのは「報道する価値を有している」かどうかをメディア自身が判断するときに、単に公共性とか重要性だけでなくメディア自身の主義やイデオロギーや利益による私益的判断がおうおうにして反映してしまうことです。
重要な事柄をメディアの都合で報道しない、これも国民の知る権利を侵害する点で、重大な偏向性です。
そして報道されたとして、実際のその報道内容の偏向性が問われます。
このように、何を報じるのか、そしてどう報じるか、偏向報道は二重性を有しています。
上記の記事リストから分析できることは2点あります。
現時点での「東京大行進」報道のメディアの有様は、かなりの偏向性を見て取れます、ある種イデオロギッシュであります。
まず「東京大行進」を取り上げている左派系メディアの各記事は、一読すれば明らかですが、どれもお世辞にも客観報道とは申せません。
極めて「東京大行進」に好意的です、その内容は偏向していると申せましょう。
一方の保守系メディアも明らかに偏向性を見て取れます。
たとえ批判的取り上げ方であってでも十分に報道する価値があると思われますこのデモに対して、全く報じないという偏向性を示しているわけです。
「東京大行進」デモ報道で、メディアの偏向報道の二重性が見事に露見したと言えるでしょう。
実に興味深いです。
・・・
さて上記朝鮮日報記事によれば同会の共同代表は以下のとおり。
埼玉大学鎌倉孝夫名誉教授
一橋大学田中宏名誉教授
元駐レバノン大使の天木直人氏
琉球大学の高嶋伸欣名誉教授
吉元政矩・元沖縄県副知事
作家の中山千夏氏
恵泉女学院大学内海愛子名誉教授
中村明・元共同通信編集委員
同会の主な主張。
「安倍政権が、植民地支配や侵略戦争に対する謝罪と不戦の決意を盛り込んだ村山談話を否定し、(戦争を禁じる)憲法第9条の解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認しようという動きを本格化させている」
(集団的自衛権の行使について)「日本を事実上、戦争のできる国にしようとするもので、村山談話や平和憲法を否定するものだ」と主張
「村山談話の精神を後世に伝え、日本が戦争をしない国家、平和国家として生き残れるよう、さまざまな活動を繰り広げていく」
会見での各氏の発言。
鎌倉名誉教授「安倍政権による村山談話の見直しは、第2次世界大戦以前の明治憲法の時代に逆戻りしようとするものだ」
天木氏「日本もドイツのように、真の意味での謝罪や反省をしていけるよう、国民を対象に講演会などを実施していく」
高嶋名誉教授「村山談話に対する否定的な意見が広まり、過去の日本による侵略戦争を『大東亜戦争』として賛美し、(日本による侵略戦争のおかげで)黒人が米国の大統領になれたといったむちゃくちゃな主張まで出ている」
市民憲法調査会の藤田高景事務局長「安倍晋三首相は村山談話を継承するといいながら、談話の核心である侵略戦争や植民地支配に対する反省には言及しておらず、誠意が感じられない」
社民党の吉田忠智党首「安倍首相が村山談話をしっかり継承すると表明しなければ、韓国や中国などとの首脳会談実現も容易ではない。国家主義の台頭や右傾化を防ぐためにも、市民団体と連携していく」
・・・
「村山談話を継承し発展させる会」の主張に決定的に欠落しているのは、村山談話およびそれを継承する河野談話の内容は本当に事実に基づいているのか、それを徹底的に検証をすることなく、「継承し発展させる」と無責任に宣言していることです。
当ブログで何度も指摘してきましたが、河野談話の生みの親は一連の朝日新聞の捏造報道にあります。
2012-09-01 「河野談話」の真の生みの親は朝日新聞である
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120901
産経新聞も独自調査で「談話そのものが虚構」とスクープしています。
2013-10-17 産経が主張する徹底的な事実検証を断固支持する
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20131017/1381975203
村山談話、およびそれに続く河野談話にまずなによりも必要なことは、朝日新聞の捏造記事も含めた徹底的な事実の検証です。
それをせずに「村山談話を継承し発展させる」などと主張することは無責任極まりないと考えます。
しかしこれらの主張はすでに韓国などで大きく拡散報道されています。
産経や読売など保守系メディアはこのような動きに沈黙を守っていますが、納得できません。
徹底的な事実の検証無しに「村山談話を継承し発展させ」てよいのでしょうか?
これらの主張には、きっちりと言論で反論すべきと考えます。
(木走まさみず)