木走日記

場末の時事評論

福島第一原発放射能汚染水大量海洋流出〜東京電力の科学的にまったく不誠実な態度が今日の事態を招いたのだ!!

 長文にて失礼します。

 8日付け朝日新聞記事から。

海に汚染水1日300トン 福島第一原発 政府、国費で対策 東電任せ、破綻

 東京電力福島第一原発の建屋近くの地下水から高濃度の放射性物質が検出されている問題で、政府の原子力災害対策本部は7日、1日あたり推定300トンの地下水が放射性物質で汚染され、海に流出しているとの試算を明らかにした。東電による汚染水対策は破綻(はたん)しており、政府は国費を投入して対策に乗り出す方針を固めた。▼3面=事故処理、結局は税金
 資源エネルギー庁によると、福島第一原発では山側から海側に1日約1千トンの地下水が流れ込んでいるという。このうち、原子炉建屋などへ約400トンが流れ込んで汚染水になっているとしていた。
 しかし、試算では、残り600トンの地下水のうち300トンが建屋周辺の汚染土壌の影響で汚染水となり、海に流れ出ているとした。漏れ始めた時期は特定できず、事故直後からずっと漏れ続けている可能性も否定できないという。残りの300トンは汚染されずに海に流れているとみられる。

(後略)

http://digital.asahi.com/articles/TKY201308070589.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201308070589

 まず、資源エネルギー庁の今回の発表した数値をしっかり押さえて置きましょう。

 実は福島第一原発には1日約1千トンの地下水が流れ込んでいると推測(これは初めての公式見解)、このうち、原子炉建屋などへ約400トンが流れ込んで汚染水になり東電によりタンクに溜めている(既知の事実)と、で残り600トンのうち半分の300トンが汚染水となり海に流出(初めての公式見解)、残り300トンは汚染されずに海に流れていると推測(初めての公式見解)、で、漏れ始めた時期は特定できず、事故直後からずっと漏れ続けている可能性も否定できない(初めての公式見解)、ということであります。
 政府が東電による福島第一原発における汚染水対策が完全に破綻(はたん)、長期に渡り(おそらく事故直後から)高濃度の放射性物質が海に駄々漏れしていたことを認めたわけです。

 ・・・

 この発表自体には驚きはありません、逆に政府の原子力災害対策本部は、海に流出しているだろう汚染水の推測値や、漏れ始めた時期は特定できず事故直後からずっと漏れ続けている可能性も否定できないという最悪の可能性を、よく正直に国民に公表したと、評価します。

 メルトダウンした原子炉に地下水が大量に流入したのです、汚染水の流出を完全に防ぐことは、おそらく東電でなくてもこの国のいかなる組織・いかなる技術を動員しても、汚染水の流出を止めることは不可能であったと思われます。

 起こっていたことは人類の持ち合わせていた技術では制御できなかった、それだけの深刻な事態であったということでしょう。

 しかしです。

 この事態は科学的に予見しうるものであり、しっかりとした科学的対策を実行しておれば、事故から2年半たった現在までかかる悲惨な状況を放置されていることはなかったはずです、今日の高濃度の放射性物質が海に駄々漏れしているこの事態の責任は、ひとえに東京電力にあります。

 東京電力の科学的にまったく不誠実な態度が今日の事態を招いたのは明々白々です。
 今回はこの事態は科学的に予見しうるものであったことを徹底的に検証しておきます。

 当ブログの総力をあげて検証しますので長くなりますが、ぜひ最後までお付き合いください。

 ・・・

 3.11から2ヵ月後、福島1号機がメルトダウンしていたことが明らかになります。

2011-05-12■[社会]やはりメルトダウンしていた福島1号機〜あっけなく破られた「5重の壁」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20110512

 当時のエントリーより抜粋。

 毎時8トンの水で内部を冠水状態にするつもりが、「水位計を復旧して正確に測ったところ」、燃料棒を閉じこめていた原子炉圧力容器内の「水位が極端に低い」状態が判明、空焚き状態で「燃料棒が原子炉の底に崩れ落ち」たのだが、「容器の底に残った水で冷却は続いている」ということであります。

 予想されていたことですが、福島第1原子力発電所1号機で、炉心溶融、いわゆるメルトダウンが起こっている可能性を東電側が初めて認めたようであります。

 記事によれば燃料棒は完全に崩落した模様ですからフルコアメルト(full core melt)状態ですね。

 燃料棒が溶けて圧力容器の底に溜まっている状態ですが、容器の底に残った水で冷却は続いているのは不幸中の幸いです、いわゆる再臨界、再び核燃料が燃えだして制御不能の状態になる可能性は現状ではゼロですからその点は安心です。

 で、この段階で冷却水が汚染水として「ダダ漏れ」している可能性がすでに指摘されています。

 しかし気になるのは、あれだけ大量の水を注入していたのに圧力容器内の水がほとんどないという事は水蒸気として漏れている以外におそらく圧力容器内の底から水が「ダダ漏れ」している可能性が高いのだと思われる点です。

 外側の格納容器も冠水状態にする予定でしたが、圧力容器内の水が格納容器に大量に漏れているとなれば、高濃度汚染水が格納容器内に流出している可能性が高く、格納容器内を冠水させてその水を循環させる予定だったわけですが、高濃度汚染水を循環させるとなれば、漏れがあってはならなくなります。

 記事によれば「圧力容器とその外側の格納容器はともに損傷があり、相当量が抜けている」とありますから、これはまず外側の格納容器の損傷箇所を発見しそこを修理しなければ、冠水計画は不可能になります。

 当時は炉を安全に冷やすために冠水計画、つまり炉全体を水で満たす方法が検討されていたのですが、直後に判明しますが冠水計画など不可能だったのです、原発の「5重の壁」がすべて壊れていたからです。

2012-04-15■[コラム]原発再稼動において科学的合理性より経済合理性を優先する愚策〜ものごとをすべからく市場原理から見るべしのような考え方はもう耐用年数が切れたのだと思う
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120415

 「5重の壁」がすべて壊れていた説明をしている当時のエントリーから当該部分を抜粋。

 関西電力のサイトでは今でも原発のいわゆる「5重の壁」の説明が掲載されています。


ウランが核分裂すると放射性物質がつくられます。そのため原子力発電所では、放射性物質を閉じ込めるため5重の壁でおおい、万が一の異常の際にも放射性物質を閉じ込められるように、安全確保に備えています。
http://www1.kepco.co.jp/bestmix/contents/16.html

 設けられた障壁が、内側から「燃料ペレット」、「燃料被覆管」、「原子炉圧力容器」、「原子炉格納容器」、「原子炉建屋」の5つであるためこの名が定着したわけですが、原発の「安全神話」の中核でもあったこの「5重の壁」は福島原発事故でことごとく破られてしまいました。

 昨年3月11日の大地震で、まず送電線の鉄塔が倒れるなど大きな被害を受け、十数メートルに達した大津波で非常用電源も働かなくなり、全交流電源を失ってしまいます。

 原子炉の冷却ができずに炉心が溶融、いわゆるメルトダウンが起き、第一と第二の壁である「燃料ペレット」と「燃料被覆管」は完全に溶けて、第三の壁である「原子炉圧力容器」の底にたまります。

 第三と第四の壁であった、「原子炉圧力容器」、「原子炉格納容器」にも穴やひびが入り冷却水が放射性物質とともに駄々漏れする事態となります。

 その過程で発生した大量の水素が爆発して第五の壁である「原子炉建屋」も大きく破壊されました。

 原発のいわゆる「5重の壁」が瞬く間といっていいでしょう、あっけなくすべて破られ大量の放射性物質が撒き散らされたわけです。

 メルトダウンした燃料がどこにどのぐらいどのような状態で分散したのか、事故から1年余りたっても原子炉内部の様子は満足にわからず、放射性物質に汚染された冷却水が漏れ出す事故もたびたび起きています。

 つまり一年たっても福島第一原発事故対策は現在進行形でありなにも収束していないわけです。

 ・・・

 当初東電は炉を冷やすのに完全な閉鎖系つまり冠水計画で炉を冷やした汚染水を循環して使用するシステムを考えていました。

 しかし汚染水循環処理は困難を極めます。

2011-06-19■[社会]想定濃度の144倍!?〜汚染水浄化システムがわずか5時間で停止した極めて深刻な事態
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20110619

 当時のエントリーより抜粋。

 うむ、頼みの綱である高濃度の放射能汚染水を浄化する装置が稼動5時間で停止してしまいました。

 停止の理由は放射性セシウムを吸着させる装置がカートリッジを交換する目安の毎時4ミリシーベルト放射線量を越えてしまったためとあります。

 このカートリッジの交換は予定では月に1回程度とされていましたから、東電福島事務所は「原因が判断できないので止めた」と説明していますが、いつ原因が明らかになるのか、そして再開できるのか、まったく予断を許さない状況になっている模様です。

 ・・・

 福島第一原発の現状を整理しておきます。

 1号機から4号機を冷やすために毎日500トンの冷却水を使っていますが、ご存知のとおり原子炉はメルトダウンしており、一部メルトスルーの可能性も否定できず、冷却水はダダ漏れの状態で、高い濃度の放射能汚染水として原子炉建屋やタービン建屋の地下にたまっており、現在約11万トンと推定されています。

 これからも冷やし続けるためには毎日500トンの冷却水を注入し続けなければなりませんが、もはや建屋地下の許容量はいっぱいに近くこのままでは今月末には汚染水が海にあふれ出しかねない状況なのであります。

 そこで地下に溜まっている汚染水を浄化し冷却水として再使用する循環型の汚染水浄化システムが試運転の後、17日から本番稼動を迎えたわけです。

 汚染水処理システムは順調に稼動すれば1日1200トンの汚染水を処理可能とのことであります。

 本システムは、(1)油分離装置(東芝)、(2)セシウム吸着装置(米キュリオン社)、(3)除染装置(アレバ社)、(4)淡水化装置(日立など)、の四つでサブシステムで構成されており、運転中は周囲が高線量になるため、遠隔操作で稼働するようになっています。

 今回高い放射線量を検出して停止したのは(2)セシウム吸着装置(米キュリオン社)においてであります。

 図で整理します。

 ・・・

 そもそもが「5重の壁」が破壊され、原子炉建屋にはひび割れから毎日400トンもの地下水が流入していたわけです。

 ほっといても400トンの汚染水が生じます。

 そこで東電はその地下水を汲み取って炉の冷却に使用するのですが、毎日400トンの放射能汚染水が生じるので、瞬く間に福島第一敷地内は汚染水貯蔵タンクで埋め尽くされます。

 溜まりに溜まった汚染水、この問題の重大さが今年の3月に報じられます。

2013-03-12■[科学]もっと注目されるべき福島第一原発の高濃度汚染水〜捨て場のない放射能汚染物質に対し備えがない日本
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130312

 当該エントリーより。

 この危機的な状況の中でポイントはやはり、事故から2年を経緯しても、いまだ原子炉に地下水が毎日400トンも流れ込み、汚染水が増え続けている事実です。

 例えば自宅の風呂釜に亀裂が入りお風呂に外から汚水が入るならば、調べて亀裂を塞げばよいだけですが、原子炉内部の致死量に至る放射能が邪魔をして地下水が流れ込んでいる実態を東電は把握出来ていません。

 毎日400トンといえば、毎秒4〜5リットルというかなりの流入量になります、おそらく複数箇所から地下水が流入しているものと想定されますが、対策はまったく取れていません。

 実はこの大量の地下水流入の事実は原子炉が大穴を開けていることを意味し、当然ながら逆流しての原子炉からの汚染水の外部流出も危惧されますが、実態はつかめていません、現在分かっていることは、(外部からの地下水の流入量)ー(外部への汚染水の流出量)という引き算の結果が毎日400トンの流入であるということだけです。

 そしてこの大量の高濃度汚染水の処理問題は、そもそも解決策を見い出せていない使用済み核燃料の問題、最終処分場の決定をみずに一時的な中間処分場に蓄積されている除染作業に伴う大量の汚染物質の処理問題と、完全に通底しています。

 私たちの社会は、性急に原子力エネルギーを扱うことを急ぎましたが、その結果生成される放射能汚染物質に対する備えが、科学的に、あるいは社会的に、まったくできていなかったのです。

 現在27万トンにならんとする高濃度汚染水はこのままでは3年後には危機的な状況を迎えることでしょう。

 そして現在に至っても東電は汚染水を溜め込むほかは、海洋投棄以外の策を持っていないのです。

 この深刻な問題はもっと注目されるべきでしょう。

 このままでは放射能汚染水が溢れてしまう、これは原発推進であろうと脱原発であろうと立場に関係なく、早急に対処しなければならない厳しい現実なのであります。

 この段階で当ブログは重大な警鐘を鳴らしているある大学教授の科学的推測を取り上げ、もしかして汚染水は海に流出しているのではないのかと、ネット上問題提起しました。

2013-04-23■[科学]IAEA調査団にハッキリ駄目出しされた東京電力の危機管理能力〜「東電には不具合を迅速に突き止める能力とそれに対応する能力がない」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130423 

 このエントリーはネット上少なからずの反響をいただきました。

 今日の事態をほぼ推定している核心的部分と思われますので、少し長めに引用します。

 この福島第一における放射能汚染水の対処問題での東京電力の対応のゆるさ・まずさ・いいかげんさに関して、重大な警鐘を鳴らしている大学教授の科学的問題提起を示しておきましょう。

 そもそもですが、福島第一原発事故の復旧作業においては、まず事故を起こした原子炉を十分に安全になるまで大量の水で冷やし続けることが肝心です。

 東電は溶融した260トンの核燃料を取り除くことが可能になるまで放射能レベルが低下するには8年かかるとみていますが、米スリーマイル島原発事故では核燃料を取り出すまでに10年以上かかっています、同事故では原子炉1基で部分的なメルトダウン炉心溶融)が起きたが、核燃料の量は福島第一原発の5分の1程度でした。

 冷却作業が完了する時期がいつになるか、東電は現時点で正確な工程表は示せていませんがこれからも長い月日を要することは間違いありません。

 原子炉を冷却した大量の水は当然ながら放射能汚染されますから、除染処理をしない限り海など外部に投棄することはできません。

 そこで東電は一度原子炉冷却に使用した放射能汚染水を、除染処理を施しながらサイクリックに何度も再利用することにより、放射能汚染水が増えることを防ぐことを計画していました。

■図1:放射能汚染水を、除染処理を施しながらサイクリックに何度も再利用(計画)

 しかしこの理想的な除染計画はご存知のとおり現在破綻しています。

 冷却している原子炉に地下水が毎日400トンも流れ込み、汚染水が増え続けているからです。

 そこで東電は大量に流れ込んでくる地下水の一部(αトンとしておきましょう)を冷却水として使用しつつ、結果として一日当り400トンの高濃度汚染水を溜め続けることに結果としてなりました。

■図2:流入する地下水を利用しながら冷却、発生する高濃度汚染水はタンクに溜め込む(現状)

 東電の説明によれば、一つあたり1000トンのタンクが2日半でいっぱいになるという状況であり、高さ十数メートルある容量1000トンのタンクを施設内に次々に増築するも、汚染水の量はすでに27万トンに上り、敷地内にタンクを設置できる限界が2年後に来る、仮にタンクを増やし続けても、あと2年で汚染水があふれる状況にあります。

 さて、ここで当然ながら地下に亀裂が入り大量の地下水が流入している原子炉建屋ですが、流入だけではなくて逆に、高濃度汚染水の地下への流出は全く無いのか、という、当たり前の工学的疑問がおこるわけです。

 例えば河口湖の水位が最近下がって話題になっていますが、河口湖の水位が下がっているのは、河口湖への水の流入量が河口湖からの流出量よりも少ないから結果として水位が下がっているだけです。

 同様に毎日400トンの汚染水をタンクに溜め込んでいる事実だけでは、原子炉建屋への地下水の流入量から建屋から汚染水の流出量を引き算した結果が400トンであることを示しているに過ぎません。

 つまり一定量(βトンとしておきましょう)の高濃度汚染水の流出が発生している可能性は否定できません。

■図3:実は汚染水が一定量流出している可能性がある(推測)

 この推測は決して非科学的ではないし、逆に土木工学的には流出が0リットルで全く無いことのほうが考えづらいでしょう。

 そして現に海洋環境学を専門にしている大学の教授が、実は汚染水は漏れ続けているのではないのかと、まさにこの問題を科学的に問題提起をしているのです。
 3月25日付け共同通信記事から。

【福島第1原発の現状】セシウム17兆ベクレル海へ流出か 原発港湾内濃度から試算

東京電力福島第1原発の港湾内で海水の放射性セシウムの濃度が下がりにくい状態が続いていることに関し、汚染水の海への流出が止まったとされる2011年6月からの約1年4カ月間に、計約17兆ベクレルの放射性セシウムを含む汚染水が海に流れ込んだ恐れがあるとの試算を、東京海洋大神田穣太 (かんだ・じょうた) 教授がまとめた。
 東電は、11年4月に1週間で意図的に海に放出した汚染水に含まれる放射性物質の総量を、約1500億ベクレルと推計しているが、その100倍以上に当たる。
 神田教授は「現在も地下水や配管を通じて流出が続いている可能性がある。すぐに調査すべきだ」と指摘。これに対し東電は「11年6月以降、大規模な汚染水の流出はない」とした上で「放射性物質を拡散させない対策をしているため、港湾内の濃度が下がらないのでは」と反論している。
 神田教授によると、港湾内の放射性セシウム137の濃度は、11年6月〜12年3月にかけて下がったが、12年4月以降は下落傾向が鈍くなった。
 東電が発表した11年4月のデータを基に、港湾内の海水の44%が1日で湾外と入れ替わると推定。11年6月1日〜12年9月30日の放射性セシウム濃度になるには、計約17兆1千億ベクレルが新たに流出したことになるとした。1日当たり81億〜932億ベクレルとなる。
 (2013年3月25日、共同通信
http://www.47news.jp/47topics/e/239528.php

 この神田教授の「現在も地下水や配管を通じて流出が続いている可能性がある。すぐに調査すべきだ」との指摘に対し、東電は「11年6月以降、大規模な汚染水の流出はない」とした上で「放射性物質を拡散させない対策をしているため、港湾内の濃度が下がらないのでは」と反論、今日に至るまでまったく調査しようとはしていません。

 ・・・

 そして今年の6月以降、汚染水の海洋流出を強く示唆する計測データが次々と現出します。

2013-07-09■[科学]東電にとって実に『不都合な真実』(An Inconvenient Truth)が現出するのか!?〜福島第一で放射能汚染の海洋流出が止まっていない可能性が浮上
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130709

 科学的に海洋流出を認めない東電の誠意の無いかたくなな態度に、「あくまでも科学的な立場を堅持し、東電には詳細なかつ真摯な実態調査を行っていただきたい」と当ブログとして要望しています。

 一連の報道をダイジェストでまとめましたが、ここへ来ての濃度上昇は、今現在も汚染水が原子炉から地下へ漏れ出し続けている可能性が高いことを強く示唆しているものであり、東電の「2011年4月に海に漏れた高濃度汚染水の一部が地中に残留した影響」だけではこの濃度上昇を科学的に説明することは難しいでしょう。

 あわせて同時に港湾域内でも汚染数値が上昇していることは、原子力規制委員会の更田豊志委員が厳しく指摘しているように、「汚染水漏えいの影響が海水に及んでいる可能性が強く疑われる」と考える方が、東電の「井戸水が約25メートル離れた海に流出していることは認めていない」立場よりも、科学的な妥当性があると思えます。

 いずれにしても、福島第一で放射能汚染の海洋流出が今この瞬間も実は止まっていないという極めて深刻な事態が可能性して示唆される検出が続いています。

 もしこれが真実ならば、東電にとって実に『不都合な真実』(An Inconvenient Truth)となりましょう。

 しかしどんな結果が得られようと、そしてそれが政治的には不都合であったとしても、ここはあくまでも科学的な立場を堅持し、東電には詳細なかつ真摯な実態調査を行っていただきたいものです。

 ・・・

 そして東電が海洋流出をようやく認めるのは、参議院選挙開票日の翌日であります。

 何度も繰り返して主張します。

 この事態は科学的に予見しうるものであり、しっかりとした科学的対策を実行しておれば、事故から2年半たった現在までかかる悲惨な状況を放置されていることはなかったはずです、今日の高濃度の放射性物質が海に駄々漏れしているこの事態の責任は、ひとえに東京電力にあります。

 今検証したとおり、東京電力の科学的にまったく不誠実な態度が今日の事態を招いたのは明々白々です。



(木走まさみず)