木走日記

場末の時事評論

笑止!菅直人元首相が安倍晋三現首相を名誉棄損で提訴!〜政策決定のプロセスを歴史的に検証することを無効にしてきた無責任政治家集団がどの口で言う

 菅直人元首相が安倍晋三現首相を名誉棄損で提訴、一連の流れを「訴状」や「証拠証明書」を含め、ご丁寧にネット上で公開されております。

安倍総理を名誉棄損で提訴
http://blogos.com/article/66361/?axis=b:30
安倍総理の反応
http://blogos.com/article/66400/?axis=b:30
「訴状」
http://blogos.com/article/66411/?axis=b:30
「証拠証明書」
http://blogos.com/article/66412/?axis=b:30

 さて誰が誰をいかなるタイミングであれ名誉棄損で提訴することは、ご本人の勝手です、好きにすればよろしいです。

 私は法律の専門家ではありませんから現時点で本裁判の結果を推測する能力はありませんし、本来国民国家を論じるべき元首相のこのようなスケールの小さな個人の名誉毀損訴訟には正直、関心は無いです。

 菅直人氏が一般国民であれば何も言及しません、ご本人の勝手です、しかしながら現役の国会議員が、わざわざ国会で記者会見までして安倍晋三現首相を名誉棄損で提訴したことを広くメディアに報道させ、また自身でも積極的にネットで情報を公開しています、ならば政治家菅直人のこの行動に対して、私は2つの点で糾弾しておきます。

 まず菅氏は訴状の中で「慰藉料として、被告に対し1000万円を支払わせることが相当」とする根拠として、「原告ないしその所属する民主党を攻撃しようとする害意」を掲げています。

 本件メールマガジン記事は、今回の参議院議員選挙の選挙運動期間中も閲覧できる状態にされていることに見られるとおり、原告ないしその所属する民主党を攻撃しようとする害意によって掲載されていることなど、諸般の事実を考慮すれば、慰藉料として、被告に対し1000万円を支払わせることが相当である。

 現在参議院選東京選挙区において、所属する民主党公認候補に反旗を振りかざし無所属候補を応援しているという「その所属する民主党を攻撃しようとする害意」のかたまりのようなご本人が、よくこのような訴状を恥も無く掲げられるものです。 

 さらにより本質的な問題は、本件の言った言わないという低レベルの争いは、民主党が当時議事録を起こしてさえいれば、簡単に検証できたことなのです。

 ここは事実に従い、広く民主党政権を糾弾しなければなりませんが、実は民主党政権が議事録を起こさなかったのは、極めて意図的であり、それは菅政権の前の鳩山政権のときから「確信犯」であったことです。

 ここに3年前の時事通信の記事があります。

鳩山内閣、議事録残さず 政治主導の検証困難

 鳩山内閣が政治主導の舞台としている閣議や閣僚懇談会、閣僚委員会、政務三役会議の議事録を基本的に残さない方針を続けている。「議事録作成が前提となれば政治家同士の自由な意見交換が妨げられる」との理由だが、関係者からは「政策決定のプロセスを歴史的に検証できない」と懸念する声も出ている。

 鳩山内閣では各府省ごとに閣僚、副大臣政務官の「政務三役」が政策を立案し決定。複数の府省にまたがる重要課題は担当閣僚で「閣僚委員会」をつくり調整するなど、官僚に関与させない仕組みだ。

 閣議や閣僚懇談会については旧政権下でも議事録を残していなかったが、これには事務次官会議で事前に発言内容を調整していたという背景もある。鳩山内閣では事務次官会議を廃止したため、閣議での発言はこれまで以上に政策決定の上で重要な意味を持つのは間違いない。

 平野博文官房長官は議事録作成に否定的な意向を示し「自由闊達な意見を述べてもらい方向性を出していく場だ」と強調。「記者会見や背景説明により、透明性を確保できる」との立場を崩していない。

http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010301000147.html

 3.11のときも菅政権は議事録を起こしませんでした、これは「政策決定のプロセスを歴史的に検証」することを放棄して「政治家同士の自由な意見交換」を優先させた民主党の組織としての確信犯的な政治家としての責任放棄にほかなりません。

 議事録一つ起こさないで政策決定のプロセスを歴史的に検証することを無効にしてきた無責任政治家集団が、その無責任さには何もふれず、「事実と違う」と安倍晋三現首相を名誉棄損で提訴しているのです。

 笑止です。
 
 「事実と違う」などと無責任政治家集団がどの口で言えるのでしょう。



(木走まさみず)