木走日記

場末の時事評論

どこよりも早い(でも乱暴な)総選挙結果予測を楽しんでくださいませ

 さて総選挙一ヶ月前のマスメディア各紙の世論調査が出揃いました。

朝日新聞世論調査
http://www.asahi.com/politics/update/1119/TKY201211190001.html
【読売新聞世論調査
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20121117-OYT1T00838.htm
毎日新聞世論調査
http://mainichi.jp/select/news/20121119k0000m010125000c.html
産経新聞世論調査
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121119/stt12111911510006-n1.htm
日経新聞世論調査
http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS1801C_Y2A111C1MM8000/

 各紙世論調査における自民、民主、維新(+太陽の党)3党の支持率をまとめてみましょう。

■表1:衆議院比例選投票先(5紙世論調査

社名 自民 民主 維新(+太陽)
朝日 23 15 20
読売 26 13 13
毎日 17 12 17
産経 23 15 22
日経 25 16 15
平均 22.8 14.2 17.4

■図1:衆議院比例選投票先(5紙世論調査

■図2:衆議院比例選投票先(5紙世論調査平均)

 この結果ですが、民主党の支持率がけっこう持ち直しているのが意外です。

 与党に対して14.2%で持ち直しと表現するのも失礼ですが、私はもっと低いと予測していました、少なくとも10%は割るだろうと思っていたのです。

 やはり例の党首討論での野田さんの迫力ある「解散宣言」が民主党支持率下落の歯止め効果をもたらしているのかも知れません、対自民で形勢逆転するほどのインパクトはなかったようですが今後民主の支持率はどう動くのでしょうか。

 もちろん現段階で投票先を決めていない人が各調査で3割以上もいますのでこれから1月ほどの選挙戦においてどんな風がどこの党に吹くか、その当りを注目していきたいです。

 さて、当ブログとして少々気が早いのですが今回の衆議院選挙の予測をしてみたいと思います。

 材料は今回の各メディアの調査結果と過去5回の総選挙結果のデータだけであります。

 480議席のうちの300議席小選挙区ですが、ここに注目したいです、この1人区で自民党がどこまで議席を伸ばすことができるのか、維新が何箇所制することができるか、民主はどこまで後退してしまうのか、ポイントはここでしょうね。

 ・・・



●圧倒的に支持率一位政党に有利な小選挙区

 周知のとおり小選挙区制では当選は一人だけですから、支持率第一党が圧倒的に有利です。

 過去のデータで見てみましょう、前回の民主党が圧勝した小選挙区の選挙結果を数値でまとめてみます。

■図3:衆議院小選挙区得票率と獲得議席(2009年)

 ご覧のとおり、得票率では民主47.77%、自民38.68%であるのに対し、獲得議席数は第一党の民主が219議席(73.0%)と自民の64議席(21.3%)を圧倒しています。

 自民党が圧勝した前々回では、得票率47.43%の第一党の自民党が221議席と圧倒しています。

■図4:衆議院小選挙区得票率と獲得議席(2005年)

 この過去2回の例は極端ですが、しかし当選が一人しかいない小選挙区制の特徴が良く現れています。

 第一党以外への投票はすべて死票になってしまうので、このような極端な結果が生まれるわけです(話が煩雑になるので惜敗率による比例復活制度の話は触れずにおいておきます)。

 今の300の小選挙区による総選挙は過去5回行われています、選挙結果で第一党の得票率と獲得議席の推移を表でまとめます。

■表2:過去第一党の衆議院小選挙区得票率と獲得議席推移

第一党 得票総数 得票率 獲得議席 獲得議席
第45回(民主) 32,518,390 47.77% 219 73.0%
第44回(自民) 33,475,335 47.43% 221 73.7%
第43回(自民) 26,089,327 43.85% 168 56.0%
第42回(自民) 24,945,807 40.97% 177 59.0%
第41回(自民) 21,836,096 38.63% 169 56.3%

 事実として、過去において第一党は小選挙区300議席中168議席から221議席過半数以上を必ず獲得しています、そしてそれらはすべて得票率を上回る獲得議席率を示しています。

 小選挙区制度では第一党が圧倒的に有利であることが数字で示されているわけです。

 逆に第二党以下は圧倒的に不利になります、得票率の割に獲得議席が極端に少ない、すなわち死票が多いということです。

 今度は過去の選挙結果で第二党の得票率と獲得議席の推移を表でまとめてみます。

■表3:過去第二党の衆議院小選挙区得票率と獲得議席推移

第二党 得票総数 得票率 獲得議席 獲得議席
第45回(自民) 27,301,982 38.68% 64 21.3%
第44回(民主) 24,804,787 36.44% 52 17.3%
第43回(民主) 21,814,154 36.66% 105 35.0%
第42回(民主) 16,811,732 27.61% 80 26.7%
第41回(新進) 15,812,326 27.97% 96 32.0%

 事実として、過去において第二党は小選挙区300議席中52議席から105議席を獲得しています、そしてそれらはすべて得票率を下回る獲得議席率を示しています。

 参考までに第三党の得票率と獲得議席の推移を表でまとめてみます。

■表4:過去第三党の衆議院小選挙区得票率と獲得議席推移

第三党 得票総数 得票率 獲得議席 獲得議席
第45回(社民) 1,376,739 1.95% 3 1.0%
第44回(公明) 981,105 1.44% 8 2.7%
第43回(公明) 886,507 1.49% 9 3.0%
第42回(公明) 1,231,753 2.02% 7 2.3%
第41回(民主) 6,001,666 10.62% 17 5.7%

 事実として、過去において第三党は小選挙区300議席中3議席から17議席しか獲得できていません、第41回の民主党の獲得議席17(得票率10.62%)以外は一桁の議席になっています。

 小選挙区においては支持率が一桁の小政党では議席獲得がほとんど困難であることが数値で示されています。

 ・・・



●まとめ

 過去データで検証する限り、小選挙区では支持率1位の政党が圧倒的に有利に議席を獲得してきたことがわかります、小選挙区に限れば、必ず150議席を越え過半数を制してきました。

 1位の政党の得票率と獲得議席数の間には強い相関関係が認められます。

■図4:過去第一党の衆議院小選挙区得票率と獲得議席の関係

 当然ながら得票率が伸びれば獲得議席数も伸びていることが示されています。

 ところが、小選挙区制では第二党にはこの相関関係は認められません。

■図5:過去第二党の衆議院小選挙区得票率と獲得議席の関係

 例えば第45回の自民党は38.68%の得票率にも関わらず、64議席しか獲得できていません。このときは民主党が47.77%という驚異的な得票率をえたために自民党議席は増えなかったのだと推測できます。

 興味深いのは第41回の自民党は得票率38.63%と第45回よりも少ないにもかかわらず、第一党として169議席と第45回の2.5倍の議席を得ているわけです。

 現在のマスメディアの自民、民主、維新の支持率はそれぞれ22.8%、14.2%、17.4%です。

 もしこの割合が変化せず選挙となったばあい、過去の獲得議席上位政党の得票率データから3党の得票率総計はおそらく85%前後のはずですから、自民、民主、維新の得票率はそれぞれ35.6%、22.2%、27.2%と推測します。

 第1位の自民党は得票率と獲得議席数に相関関係を見出せます(図4)から、そのグラフから小選挙区の獲得議席は150議席強と推測します。

 比例区は過去データではほぼ支持率に比例した議席を得ていますので、180議席*0.356で64議席と推測します。

 自民党の獲得議席は215議席と推測してみました。

 さて維新ですが、過去の第42回民主党が第二党として27.61%で80議席を獲得していますので、27.2%の維新もこれに準ずる議席数を獲得可能と思われます。

 第42回の第一党自民党の40.97%の支持率よりも今回の自民党支持率は低いと思われますので、維新の議席数も90議席前後に伸びると推測しました。

 比例区180議席*0.272で49議席と合わせて、維新の獲得議席は140議席と推測しました。 

 最後に民主党ですが、支持率22.2%ですので、第三党で過去最大の議席数を獲得した第41回の民主党(10.62%で17議席)から、35議席と推測しました。

 比例区180議席*0.222で40議席と合わせて、民主の獲得議席は75議席と推測しました。

 自民:215議席
 維新:140議席
 民主:075議席
 他党:050議席

 まったく乱暴に試算してみましたが、マスメディアの現時点での世論調査と過去の選挙結果の傾向から試算しただけなので、あくまで読者の皆さんに楽しめていただけたらと企画した予測です。

 当たらぬも八卦でありますことをご容赦ください。



(木走まさみず)