ある意味で実に朝日らしい8月12日付け朝日社説
韓国の李明博大統領が、日本固有の領土である島根県・竹島(韓国名・独島)に日本政府の中止要求を振り切って上陸しました。
これに対して各紙は一斉に非難する社説を掲げています。
【朝日新聞】竹島への訪問―大統領の分別なき行い
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208100802.html?
【読売新聞】大統領竹島入り 日韓関係を悪化させる暴挙だ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120811-OYT1T01310.htm
【毎日新聞】竹島問題 深いトゲをどう抜く
http://mainichi.jp/opinion/news/20120812k0000m070079000c.html
【産経新聞】李大統領竹島入り 暴挙許さぬ対抗措置とれ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120811/plc12081103260008-n1.htm
【日経新聞】韓国大統領の竹島訪問の愚
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO44878470S2A810C1PE8000/
今回はこの12日付け朝日新聞社説「竹島への訪問―大統領の分別なき行い」を取り上げたいです。
社説は冒頭から韓国大統領の愚行を批判し「事態を沈静化させる責任は、まず大統領にある」と指弾します。
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、竹島を訪れた。日韓がともに領有権を主張している島だ。
これまで韓国の首相が訪れたことはあったが、大統領の訪問は初めてのことだ。
自ら「最も近い友邦」と呼んだ日本との関係を危うくしたことは、責任ある政治家の行動としては、驚くほかない。
日本政府は強く抗議して、駐韓大使を呼び戻す。日韓の関係が冷えこむのは避けられない。
事態を沈静化させる責任は、まず大統領にある。もともと経済界出身の実務家で、08年の就任直後から「未来志向の韓日関係」を掲げていたはずだ。
この一年両国関係が悪化したのは「元従軍慰安婦の問題がきっかけ」だとします。
両国関係は、竹島問題がくすぶりながらも良好だった。それがこの1年あまりで、急速におかしくなった。元従軍慰安婦の問題がきっかけだ。
韓国の憲法裁判所の決定を受けた昨年末の首脳会談で、李大統領は慰安婦問題を取り上げ、野田首相に解決をせまった。
これに対し首相は「法的に決着ずみ」との立場を伝え、ソウルの日本大使館前に立つ慰安婦記念像の撤去を要求した。
しかし今回は「本人の足元の問題ではなかったか」と疑問を呈し、「内政が手づまりの時、為政者が国民の目を外にそらそうとすることは歴史に何度も見ら」れることだと指摘します。
だが今回、大統領の背中を押したのは、こうした懸案というよりも、本人の足元の問題ではなかったか。
来年2月の任期切れを前に、大統領周辺では実兄や側近の逮捕が相次いだ。経済格差の広がりへの不満も強く、政権はすでに力を失っている。
15日の光復節を前に領土への強い姿勢を示す狙いだろうが、韓国民が一時的に沸きたっても、暮らしのプラスになるものではない。もはや、政権の浮揚にもつながるまい。逆に、竹島の領有権問題に決着がついていないことを国際社会に印象づけることにもなろう。
内政が手づまりの時、為政者が国民の目を外にそらそうとすることは歴史に何度も見られた。ナショナリズムをかきたてる領土問題は、格好の材料だ。
だが、そうした紛争のもとを絶つことこそ、指導者の最大の責務である。李大統領は、あるべき姿から正反対に動いたと言わざるをえない。
日本としては「これを政局の材料にすることなく、冷静にこの問題にあたるべき」とし、「市民レベルの交流は空前の活況だ。それを政治が後戻りさせることは、許されない」と結ばれています。
近隣諸国との懸案を一向に解決できない日本政治の弱さも、放っておけない。どの政党も、これを政局の材料にすることなく、冷静にこの問題にあたるべきである。
東京で韓国のポップスターの公演に数万の日本人が集い、ソウルの繁華街では地元の店員が日本語で観光客を迎える。市民レベルの交流は空前の活況だ。
それを政治が後戻りさせることは、許されない。
「それを政治が後戻りさせることは、許されない」ですか、かっこよく決めていますが、朝日新聞がよくいうよ、であります。
なんででしょう、この朝日社説は前段で「事態を沈静化させる責任は、まず大統領にある」と韓国側に責任があるとしながら、結論では「政治が後戻りさせることは、許されない」と、日本側が対処を自重することを強く促しています。
朝日社説としては明らかに日本に「東京で韓国のポップスターの公演に数万の日本人が集い、ソウルの繁華街では地元の店員が日本語で観光客を迎える」今の日韓関係を尊重し、「冷静にこの問題にあたるべき」、つまり過度な反応はするな、と主張しているわけです。
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数ある朝日新聞社説の中でも、この社説は朝日新聞と言うメディアの偽善性を見事に現している点で実に興味深いですね。
よくこの様な論旨の偽善に満ちた社説を掲げられるものです。
ポーズするだけの偽りの良い行いや良い発言を「偽善」、英語で【hypocrisy】ヒポクリシーといいます。
朝日が社説で解説している今回の日韓関係の悪化のきっかけには確かに「従軍慰安婦問題」が大きく影響しているのは事実です。
しかしながら、そもそもこの「従軍慰安婦問題」がここまで大きな問題として国際的に注目されるようになったのは朝日新聞の捏造記事であったことを忘れてはいけません。
いわば「従軍慰安婦問題」の生みの親である朝日新聞が、つまり日韓関係の悪化を招いた張本人が、社説にて善人よろしく日本と韓国は仲良くしなければならないと、涼しい顔で国民を諭しているわけです。
自ら火に油を注いで火事を起こしたくせに、火事はしっかり消火しなければならないと主張している放火魔のようなものです。
ある意味で実に朝日らしい社説なのではあります。
(木走まさみず)