泥沼のような勝算無き懸賞ゲームコンプガチャを科学する
大手プラットフォーム事業者6社がコンプガチャ全廃へ
http://blogos.com/news/social_game/
NHN Japan、グリー、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、ドワンゴ、ミクシィのプラットフォー ム事業者6社が、コンプリートガチャの中止を決定したそうです。
うむ、コンプリートガチャを知らない読者のために解説しておきますと、ネットゲームで一回300円とか払うとアイテムとかカードが1個ゲットできるのであります。
で昔のおもちゃのガチャガチャのようにどの品物が出てくるかは確率が支配していますので、ほしい品物を手に入れるためにはそれが当たるまで何回かの試行をしなければならず、結果思いのほかお金を落としてしまうという寸法です、これガチャ課金といいます。
で、キャンペーン期間中(つまり限られた時間内に)にガチャして例えば5種類のカードを揃えると、超レアアイテムが当たるというのが、コンプリートするガチャというわけです。
このコンプガチャが「消費者庁が景品表示法で禁じる懸賞に当たると判断」(読売新聞)と報じられたので、あわてて自主規制と相成ったようであります。
うむ、ネットゲームなど興味のないオヤジ的には正直どうでもいい記事ではありますが、このコンプガチャですが報道によれば相当の高収益をあげていたそうで、最後の一枚がなかなかゲットできずに何万円も投入する人が続出してたとか。
わざと出にくいカードが仕込まれていたり、カードの出る確率が伏せられているとか、悪いうわさもたくさんあるようですが、ろくなもんではないのは確かで、これ(コンプガチャ)を正しく科学すれば、出目の確率がたとえ平等だったとしても、こんなもん後になればなるほど、つまりコンプリート(完成)に近づけば近づくほど、多くの金を落とすことに理論的になっていますもの。
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今回はコンプガチャを科学しようの巻です。
今1回300円のガチャで20種類の出目から8枚そろえる場合を考えて見ましょう。
まず一枚目。
1回で当たる確率は8枚/20枚ですから、2/5、0.4となりますね。
1回で当たらなければ、2回目、3回目と試行を繰り返しますが、運が悪ければ当たるまで何回も試行しなければなりませんが、これは幾何分布なので幸い期待値(平均何回目で当たるのか)は簡単な計算で求まります。
1枚目をゲットするのは平均2.5回(750円)と出ました。
で、2枚目ですが当たる確率は1枚減って7枚/20枚となります。
逆数を取れば期待値は20/7=2.86回となります。
最後の8枚目までのそれぞれの期待値の計算結果です。
■表1:枚数が揃う期待値
枚目 期待値(回数) ■1枚目 2.5 ■2枚目 2.86 ■3枚目 3.33 ■4枚目 4 ■5枚目 5 ■6枚目 6.67 ■7枚目 10 ■8枚目 20
全体で54.36回、1万6308円のお金を落とすことになります。
注目したい点はこのゲームの泥沼さです。
最初の1〜4枚目までは平均で2〜4回で当りが出ます、実際のばらつきもあり確率がすくなくなっていく実感が伴いません。
ところがです、最後の7枚目と8枚目つまりあと少しとアツくなってきたときに、10回と20回とおおはまり、つまり、それまでの6枚獲得するのの総和24.36回を遥かに上回る、30回試行しなければならないのであります。
こんな感じです。
1回300円だといってもチリも積もれば山となります。
ヨイコの読者はこんな泥沼のような勝算無き懸賞ゲームに、はまってはいけません。
(木走まさみず)