木走日記

場末の時事評論

それでいいですよ、橋下さん〜地方公務員法29条「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当する単純な話

 2日付け読売新聞記事から。

橋下市長、入れ墨職員「クビ無理なら消させよ」

 大阪市橋下徹市長が、市職員の入れ墨を禁止するルール作りを関係部局に指示した。

 市の児童福祉施設の男性職員が子どもたちに入れ墨を見せ、2か月の停職処分を受けたが、市側の指導で長袖シャツで隠したまま職務を続けていることを問題視し、「入れ墨だけでクビにできないのなら、消させるルールを」と服務規律を厳格化する方針だ。

 市の職員倫理規則に入れ墨の規定はないが、橋下市長は関係部局への指示の中で、「入れ墨をしたまま正規職員にとどまれる業界って、公務員以外にあるのか」としている。

(2012年3月2日15時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120302-OYT1T00249.htm

 市職員が、採用後に入れ墨をし、子どもたちに入れ墨を自慢げに見せびらかしたり恫喝したりして処分されたわけです。

 「入れ墨をしたまま正規職員にとどまれる業界って、公務員以外にあるのか」との橋下徹市長の発言が波紋を呼んでいます。

 BLOGOSなどでも批判記事が掲載されています。

それはないよ、橋下さん! ―「入れ墨は首、それが駄目なら消させよ」発言
http://blogos.com/article/33426/

 憲法で保障された基本的人権を侵害するとも取られかねない発言ということのようです。

 この問題、憲法を持ち出す必要はありません。

 もっと単純な問題です。

 まずナンビトであれ入れ墨を入れる自由は保障されています。

 しかし全体の奉仕者である公務員が「子どもたちに入れ墨を自慢げに見せびらかしたり恫喝したり」するのは完全にアウトです。

 (懲戒)
第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
1.この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
2.職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
3.全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

http://www.houko.com/00/01/S25/261.HTM

 地方公務員法29条3項の「3.全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に見事に該当するからです。

 例えればこの国ではイスラム国の一部と違って飲酒は法律で認められています。

 でも多くの職場で職務時間中の飲酒は認められません、服務規程に反し度が過ぎれば解雇となりえます。

 社会通念上の「非行」を禁じられている「全体の奉仕者たる」公務員が入れ墨を入れたとするならば、それだけで公務員不適格であります。

 憲法までさかのぼるほどの大げさな問題ではないでしょう。

 こういう人は、さっさと公務員を辞めて「自由」に別の人生を謳歌すればよろしいのです。

 それだけのことだと思います。

 別に橋下知事を特に支持しているわけではないですが、本件では橋下さんを応援します。



(木走まさみず)