木走日記

場末の時事評論

嫌な格言が走馬燈のように頭によぎる与謝野氏入閣

 14日付け産経新聞電子版記事から。

内閣改造】与謝野氏、経財相「引き受けた」言明 少子化対策、税制・社会保障担当も兼務
2011.1.14 09:44

 与謝野馨財務相は14日午前、同日行う内閣改造に関し菅直人首相から電話で経済財政担当相就任を打診されたことを認め、「経済財政と社会保障、税の仕事をするように指示があり、引き受けた」と述べた。
 また、「たぶん少子化男女共同参画もやるんじゃないか」と話し、税制・社会保障改革担当のほか、少子化対策男女共同参画も兼務することが固まった。
 都内で記者団に語った。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110114/plc1101140909005-n1.htm

 うーむ、与謝野氏が経財相を「引き受けた」そうであります。

 うーむ、ご立派です、実に現実主義者与謝野氏らしいです。

 与謝野氏にかかれば政党など意味がないことがよくわかります。

 一般に政党"Political party"は、共通の政治的目的を持つ者によって組織される団体であり、「保守主義の父」として知られる18世紀英国の政治家エドマンド・バークによれば「名誉や徳目による結合であり、私利私欲に基づく人間集団(徒党)ではない」と定義されていますが、与謝野氏にかかれば「名誉や徳目」など関係ないんでしょう。

 イソップ童話の「卑怯なコウモリ」を思い出します。

 獣と鳥が争う中、コウモリはどっちにもいい顔をし、結果どちらからも嫌われてしまう童話であり、現在でもどっちつかず、八方美人的な人や行動を比喩する表現として「コウモリ」を使用することがあります。

 しかし、実はその原典に戻ると、イタチに捕まったときに自分は鳥ではなくネズミだと言って放免してもらい、ネズミを嫌っている別のイタチに捕まった時には、自分はネズミではなくコウモリだと言ってまたも逃がしてもらうというエピソードを通じて、「状況に合わせて豹変する人は、しばしば絶体絶命の危機をも逃げおおす」、そして「いつまでも同じところに留まっていてはならない」という見習うべき教訓を象徴する動物として肯定的なのであります。

 まさに、「政界蝙蝠男」与謝野氏してみれば、「いつまでも同じところに留まっていてはならない」との想いなのでしょうか。

 ・・・

 ふう。

 溜息しか出ません。

 ポリシーもへったくれも何もないのですね。

 さらに情けないのは受け入れる民主党です。

 うむ、民主党の新内閣の顔ぶれを眺めてみれば、あら不思議、与謝野氏が重鎮のような頼りがいがある存在に見えてくるじゃありませんか。

 うむ。

 民主党新政権の面々の中の与謝野さんをおもうとき、またひとつコウモリのことわざを思い出してしまいました。

 鳥なき里のこうもり

 意味:すぐれた者や強い者のいない所ではつまらない者でも目だつ。

 ・・・

 政界蝙蝠男を受け入れてみれば、かえって民主党の人材難が浮き彫りになったってわけです。

 あ、もうひとつ英語のことわざを思い出してしまいました。

In the country of the blind the one-eyed man is king.

 意味:盲人の国では、片目の男が王である

 ・・・
 
 うーん、いろんな嫌な格言が走馬燈のように頭によぎる与謝野氏入閣なのであります。

 このような人事がはたして国民の理解が得られるとは思えませんが、まあがんばって下さい。



(木走まさみず)