これはこれでアッパレの菅政権を完全にシカトする琉球新報社説
沖縄県知事選で保守の仲井真氏が再選されたことを受け、29日付け各紙社説は一斉に本件を取り上げていますが・・・
【朝日社説】沖縄知事選―重い問いにどう答えるか
http://www.asahi.com/paper/editorial.html【読売社説】沖縄知事再選 普天間移設の前進を追求せよ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101128-OYT1T00813.htm【毎日社説】沖縄県知事選 首相は普天間現実策を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20101129k0000m070104000c.html【産経社説】仲井真氏当選 同盟重視派の勝利生かせ
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/101129/elc1011290343007-n1.htm【日経社説】宙に浮く普天間問題をどう打開するか
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE3EBE2E7E3E7E3E2E0EBE3E3E0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
うーん、どうなんでしょうね、最大の焦点である普天間基地移設問題で、両候補の移設先が「県外」と「国外」と何ともわかりにくい差しかなかったわけで、投票率も前回より下がり県民の盛り上がりもいまひとつのようだったわけですが、それでも保守産経は「同盟重視派の勝利生かせ」とこの結果を評価はしているようです。
で、この結果を受けて民主党政権は普天間基地移設問題をどうすべきなのか、各紙の主張はこの点で精神論や抽象論まで取り出してきて、なんだかもうなのですが、関心ある読者は是非各紙社説をお読みいただくとして、それぞれの社説で私がポイントだと思った菅政権への注文を一言だけ抜粋しておきます。
高度な政治的力量が菅政権には求められる(朝日社説)
菅政権に何を求めるのか、私には朝日社説が一番わかりづらかったのですが「高度な政治的力量」って何を指すのか、そもそもそんなものこの政権にあるわけないではないですか?
どんなに困難でも、菅政権は、日米合意を前に進めるという重い責任を負っている(読売社説)
「日米合意を前に進めるという重い責任を負っている」と指摘する読売社説なのですが、「どんなに困難でも」って根性論を持ち出されてもねえ・・・
菅直人首相は前に足を踏み出すべきだ(毎日社説)
統治責任を放棄するこれまでの姿勢を転換(せよ)(産経社説)
「前に足を踏み出すべき」(毎日社説)なのも「これまでの姿勢を転換(せよ)」(産経社説)なのも、その通りなのですが、そのような気概をお持ちだとは見受けられないわけですよね、菅首相には、そこが一番の問題だと思うわけですが。
「政治生命を賭けるくらいの覚悟」(日経社説)ですか、ですからそのような覚悟も気概もないからこそ、今日の事態を招いたわけでしょ。
ふう。
各紙とも「高度な政治的力量」(朝日)とか「政治生命を賭ける覚悟」(日経)とか、何を無い物ねだりしているのでしょうか?
そんなものないでしょ、民主党政権に。
沖縄の地方紙の社説も見てみましょう、まず沖縄タイムス。
【沖縄タイムス社説】[仲井真氏再選]「県外」の公約は重い まず日米合意の見直しを
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-11-29_12397/
菅政権への注文はこの1行に尽きていますね。
政府が説得する相手は仲井真氏ではない。米国に正面から向き合うことこそが求められている。
政府は沖縄県にこれ以上何も要求するな、米国にモノを言え、ということでしょう。
本土の各紙社説に比較し、なんか民主党政権には投げやりな論説ですね、
地元沖縄としては政府などあてにしていない、知事にがんばってほしいということなのでしょう。
で、琉球新報。
【琉球新報社説】仲井真氏再選/「県外移設」公約の実現を 問われる対政府交渉力
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-170703-storytopic-11.html
ん?
・・・
あれ? 菅政権への物言いがないです。
それどころか、社説全文に流れるこの民主党政権に対する憤懣というか怨念というか罵倒に近い激しい文調はなんでしょう。
特に激しい描写箇所を抜粋。
(前略)
そもそも普天間問題は、昨年8月の総選挙で「最低でも県外移設」を公約した民主党が政権を掌握し、県内では県内移設を進めてきた自公議員が衆院で全滅する「戦後沖縄政治のパラダイムシフト」まで起きた。
その上、ことし1月の名護市長選では県内移設反対を掲げる新人・稲嶺進氏を民主党が推し、県内・辺野古移設を認める現職を破った段階で終止符を打ったはずだった。
ところが民主党の罪の深さは、反対派市長を推しながら、「最低でも県外」との公約を簡単にほごにし、民意を裏切る「県内移設」に回帰し、事もあろうか辺野古移設の日米合意までしたことだ。
無責任な民主党政権が残した「政権交代の残滓(ざんし)」が、沖縄に累々と積み上がり、県民に根深い政治不信と閉塞(へいそく)感をもたらした。
今回の県知事選挙は、全国からも注目された。日米安保の根幹を揺るがす「普天間問題」が争点になったからだ。
一方で、今知事選の特徴は、政権政党の民主党が独自候補はおろか推薦候補すら出せず、参院選に次いで沖縄での2度目の「不戦敗」を選択したことだ。
加えて、最大野党の自民党も自公候補の仲井真氏の本部推薦を見送り、「県連」推薦とし責任を回避した点にある。政権の無責任ぶり露呈
前・現両政権党が「沖縄」から逃げる。そんな日本の政治、政権政党の無責任ぶりも露呈した。
沖縄問題から逃げる与野党両最大政党に日米安保の要を担う米軍基地問題の解決やその先の日米関係の再構築など望むべくもない。
その厳しい現実の中で迎えた県知事選である。「民主党政権が変わらない限り、知事の力では政治は変えられない」。そんな言葉を選挙戦の中で幾度も耳にした。
民主党が残した深い裏切りの傷、その後遺症となる政治不信と閉塞感が県民を包み、低投票率を生んでいる。
一方で、知事選を通して今の日本が抱える厳しくつらい現実も浮き彫りになった。乳幼児の保育所不足は改善されず、若者は職に就けず、年寄りは年金を奪われる。
弱き者はくじかれ、強き者がのさばる。そんな日本の政治の貧困ぶりが、その縮図となる沖縄からはよく見える。(後略)
『民主党の罪の深さ』
『前・現両政権党が「沖縄」から逃げる。そんな日本の政治、政権政党の無責任ぶり』
『民主党が残した深い裏切りの傷』
・・・
この社説はこう結ばれています。
今後は解決に向け、政府との交渉に挑まねばならない。仲井真氏にはぶれ続ける民主政権を見習うことなく、県民世論を追い風に、掲げた県外移設と経済自立の公約を、確実に実現してもらいたい。
仲井真知事にだけ呼びかけていますね、「ぶれ続ける民主政権を見習う」なと・・・
で、菅政権・民主党はもはや完全にシカトであります。
・・・
これはこれでアッパレと申しておきましょう。
(木走まさみず)