木走日記

場末の時事評論

「sengoku38」海保職員逮捕は公判維持すらできない民主党政権の愚挙

 毎日新聞電子版速報記事から。

尖閣映像流出:「自分が流出」 神戸海保職員を逮捕方針

2010年11月10日 12時17分 更新:11月10日 14時0分

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像が流出した事件で、第5管区海上保安本部(神戸市)の神戸海上保安部に所属する40代の男性職員が10日、上司に「自分が映像を流出させた」と話したことが分かった。映像は5管のある神戸市内の漫画喫茶(ネットカフェ)から動画投稿サイトに送信された可能性が高いことも判明。海保が神戸市内で職員から事情を聴いており、警視庁は国家公務員法守秘義務)違反の疑いで取り調べ、容疑が固まれば逮捕する方針。

 海上保安庁の鈴木久泰長官は10日午後1時から衆院予算委員会で経緯を説明した。説明などによると、職員は巡視艇「うらなみ」の乗組員で、船上勤務中の10日午前9時ごろ、船長に「自分が流出させた」と報告したという。

 警視庁は9日から神戸に捜査員を派遣、映像が送信されたとみられる神戸市中心部の漫画喫茶の防犯カメラの映像を分析していた。職員が名乗り出たことを受け、映像が投稿された当時、本人がこの漫画喫茶を利用していなかったか詳しく調べている。検察当局も10日、神戸に検事を派遣した。

 流出した映像は、石垣海上保安部が那覇地検に提出した十数本の映像資料の一つだったことが分かっている。「sengoku38」という登録者名を使った人物が、4日午後、米グーグルが運営するサイト「ユーチューブ」に投稿、5日午前7時半過ぎに投稿者自身によって削除されたとみられている。

 検察当局は投稿記録を照会したが、グーグル側が任意提出は困難と回答したため、裁判所の令状を取ったうえで、9日に投稿記録を差し押さえた。東京地検と警視庁が、投稿記録を調べたところ、神戸市内の漫画喫茶が浮上した。

 5管は1948年に神戸海上保安本部として設置された。大阪や神戸、和歌山など7カ所に保安部があり、ホームページでは「ユーチューブを利用して海難救助やイベントなどの臨場感あふれる映像を配信している」としている。

http://mainichi.jp/select/today/news/20101110k0000e040049000c.html

 うむ、やはり「sengoku38」は海保職員であったのか。

 毎日記事によれば、上司に「自分が映像を流出させた」と話したこの人物は巡視艇「うらなみ」の乗組員で40代の男性とありますが、警視庁は国家公務員法守秘義務)違反の疑いで取り調べ、容疑が固まれば逮捕する方針だそうです。

 国家公務員法守秘義務)違反の容疑での逮捕ですか・・・

 ・・・

 あり得ない逮捕です。

 中国人船長を処分保留のまま釈放帰国させてしまい起訴すらできなくなったいま、真相を語る映像を外部に流出させた『犯人』が特定できたとして、なぜ逮捕や起訴の必要があるのか。

 国家公務員法の秘密漏えい罪(懲役1年以下)を適用する方針のようですが、本ビデオの扱いですが、裁判前に証拠を公にしない理由には、公にすると『被疑者の名誉を害する』『裁判に不当な影響を与える』の一般には2つがありますが、超法規的措置で本件を起訴すらできなくなったいま、本ビデオには証拠として公にしない理由など皆目ないわけです。

 今回は、被疑者はすでに釈放され中国に帰国してしまい、名誉は考える必要はありません。それどころか裁判になる可能性は皆無で、裁判に与える影響など発生するわけがありません。

 本ビデオは、裁判前に公にしてはならない機密性の程度はまったくなく、本ビデオは今後の研修用のCDから作成しているものですが、公務員の内部研修用資料に使う予定だったぐらいです、国家公務員法の漏えいといえるほどのの機密を漏らしたわけではまったくない。

 刑事事件として処罰する価値ははたして本当にあったのか。

 最高裁国家公務員法の秘密漏えい罪に該当する『秘密』は非公知かつ保護するに値すると認められたものに限ると判示しています。

 ビデオ映像はすでに国会議員には放映されており、非公知性の点ですでに『秘密』ではないことは明白です。

 今回の逮捕では公判維持をするのは極めて難しいと私は判断します。

 繰り返します。

 このビデオには国家公務員法の秘密漏えい罪に該当するような機密性はまったくありません。

 中国人船長を処分保留のまま釈放帰国させてしまい起訴すらできなくなったいま、裁判前に証拠を公にしない理由は完全に消失していますし、すでに国会議員には放映されておりもはや非公知性の点ですでに『秘密』ではなかったのです。

 公務執行妨害という犯罪容疑の中国人船長を超法規的に釈放してしまったくせに、犯罪の証拠を告発した日本人は逮捕するという信じられない事態が現実のものになりそうです。

 sengoku38逮捕は、民主党政権が自国民を守る意思がないことを明らかにしました。 

 予言します、sengoku38を逮捕しても公判維持はできないでしょう。

 そして民主党政権は完全に国民からNOを突きつけられるでしょう。



(木走まさみず)