木走日記

場末の時事評論

日刊ゲンダイは「無敵マリオ」だ。無理だ、場末のブログなどがかなう相手ではない。

 本日は与太話二題です、軽く読み流してください。


 
 まずは23日発売の日刊ゲンダイ記事から。

 待ってました、とばかりに大新聞・テレビが民主党の「生方騒動」に飛びついている。
 この3連休、ほかにニュースはなかったのか、テレビ各局は、副幹事長を解任された生方幸夫議員(62)をこぞって出演させた。呼ばれた生方議員も、喜々としてスタジオに駆けつけ、もっともらしく「小沢批判」を繰り返していた。記者に囲まれたことが、よほどうれしいのか、生方議員は日に日に、小沢批判をヒートアップさせている。
 しかし、この「生方騒動」、大マスコミが大々的に取り上げるシロモノなのか。
 「小沢嫌い」の大新聞は、生方議員を解任した民主党のことを、鬼の首でも取ったかのように「言論封じた民主の強権体質」「小沢民主党に言論の自由はないのか」と批判してきたが、どうかしているのではないか。トンチンカンもいいところだ。
 民主党が、生方幸夫副幹事長を解任するのは、当たり前のことだ。
 「コトの発端は、なんの脈絡もなく、生方議員が17日の産経新聞で、『権限と財源をどなたか一人が握っている』『幹事長をお辞めになるべきだという意見が多い』と、唐突に小沢批判をぶち上げたことです。こんなことをすれば、処分されるのは当たり前です。副幹事長は執行部ですよ。執行部にいながら、執行部を批判するなんておかしい。小沢幹事長に文句があるなら、なぜ、直接、本人に言わないのか。生方議員は、副幹事長の集まりでも、小沢幹事長のことを口にしていなかった。いきなり外部に向かって批判するのはルール違反です。山岡賢次国体委員長によると、半年間に何十回も会議をしたが、生方議員が出席したのは、たった2回だけだったとのこと。民間会社だって、社内で何も言わず、外で社長の悪口を言いふらしたり、ネットに社長の批判を書き込んだら、処分されるに決まっています」(政治評論家・山口朝雄氏)
 まったく、その通りだ。それが社会の常識というものであろう。むしろ、あのまま生方議員の行動を黙認していたら、そっちのほうが組織として問題というものだ。

(後略)
日刊ゲンダイ3月24日号(23日発売) 1頁〜2頁 記事より 抜粋

 気の毒なのは夕刊紙ですから、この原稿を草稿しているときには、そのあとでまさか小沢氏が解任撤回するとは考えもしていなかったのでしょう、解任撤回の後で市中に「生方議員を解任した民主党のこと」と誤報した形になっていますがこれはやむを得ないことですね、日刊ゲンダイに非はありますまい。

 ここでしかしこの記事を紹介したのは、小沢氏が解任した前提で実に興味深い民主党支持の論説が掲げられているわけです。

 文中では生方解任は「当たり前」「社会の常識」なのであり、「生方議員の行動を黙認していたら、そっちのほうが組織として問題」とまで言い切っております。

 民主党が、生方幸夫副幹事長を解任するのは、当たり前のことだ

 こんなことをすれば、処分されるのは当たり前

 副幹事長は執行部ですよ。執行部にいながら、執行部を批判するなんておかしい

 いきなり外部に向かって批判するのはルール違反

 民間会社だって、社内で何も言わず、外で社長の悪口を言いふらしたり、ネットに社長の批判を書き込んだら、処分されるに決まっています

 まったく、その通りだ

 それが社会の常識というものであろう

 むしろ、あのまま生方議員の行動を黙認していたら、そっちのほうが組織として問題というものだ

 ああ、しかし、なんということでしょう、こともあろうか小沢幹事長は「続けてくれないか。もう一度補佐してほしい」と生方議員に自ら哀願し、解任を撤回してしまったのであります。

 日刊ゲンダイ言うところの「当たり前」「社会の常識」であったはずの生方解任を小沢幹事長自らが撤回してしまい、何のとがめも無しに生方続投となり、結果的に「そっちのほうが組織として問題」としていた「生方議員の行動を黙認」してしまったのであります。

 かわいそうに信じていた小沢さんに梯子を外された形の日刊ゲンダイ

 これではメディアとしてメンツ丸つぶれです。

 ・・・

 で、一日明けた24日付けの日刊ゲンダイの紙面ががぜん注目されたのでした。

 私はさすがの日刊ゲンダイもここは限定的な小沢批判を展開するのではないかとチョッピリ期待してたのであります。

 ・・・

 今私の手元には日刊ゲンダイ3月25日号(24日発売)があります。
 
 1面には「なぜ大マスコミは反民主党なのか」の字がでかでかと掲げられサブタイトルは「小沢一郎民主党攻撃報道の裏側」とあり、あれ?生方解任撤回にまったくふれられていないではありませんか?

 2面をめくればありました「生方騒動」関連記事が・・・

 あれれ?

民主党生方副幹事長の「政治とカネ」〜「大物相場師」から1000万円

 スッタモンダの末、民主党生方幸夫副幹事長(62)の続投が決まった。国会内できのう(23日)、小沢幹事長と会談した生方は、小沢から「補佐してほしい」と頼まれると「私も民主党議員だから断る理由はない」とアッサリ受け入れたという。本人は連日、マスコミの注目を集めてご満悦の表情だったが、党内をシッチャカメッチャカかき回した罪は大きい。
 「政治とカネ」の問題を取り上げ、エラソーに小沢に辞任を迫っていた生方の「カネ」は”潔白”なのか。
 生方の政治団体「情報社会に向けて新しい政治を創る会」の08年分の収支報告書を見ると、ひときわ目を引くのが個人献金上限額いっぱいの150万円を寄付している「H・Y」という人物。
 H氏は、生方が支部長を務める「民主党千葉県第6区総支部」にも850万円寄付していて、献金額は合計1000万円にも上る。
「H氏は、商品先物業界でならした大物の相場師」と言うのは、金融業界関係者。
「絶頂期には1日で十数億円を動かし、原油と金で随分儲けたらしい。2000年初めにFX(外国為替証拠金取引)などを扱う会社を都内に立ち上げました。2年前に会社経営を退き、今は節税対策でシンガポールに居を構えているはず。一時期、月額賃料が100万円以上する港区愛宕や皇居庭園の緑が一望できる千代田区内の高給マンションに住んでいました」
 そんな「大物相場師」と生方はどこで知り合ったのか。生方事務所の説明はこうだ。
「昔からの個人的な付き合いです。どこで知り合ったのかは本人でないと分からない。ただ、今はもう何もないと聞いている」(担当者)
「個人的な付き合い」でポンと1000万円を出す一方、海外に拠点を移して「節税対策」とは何だかチグハグなH氏の行動だが、献金の”狙い”はどこにあったのか。
商品先物取引やFX業界は当局の監視が厳しくなり、先細りを懸念して積極的に政治家に献金を行った。それと無縁ではないでしょう。昨年は、与謝野馨財務相渡辺喜美行政改革担当相の政治団体が、商品先物取引オリエント貿易』グループから迂回献金を受けていた疑惑が報じられました」(経済ジャーナリスト)
 まさか、他人のカネを批判した先生にやましいことはありませんよね。

日刊ゲンダイ3月25日号(24日発売) 2頁 記事より 抜粋

 なんだかなあ、冒頭で「スッタモンダの末、民主党生方幸夫副幹事長(62)の続投が決まった」と、あれほど前日に「社会の常識」だと強調していた生方解任が、小沢氏により撤回されたのに「スッタモンダの末」でおしまいであります。

 で、「党内をシッチャカメッチャカかき回した罪は大きい」と指摘しつつ「「政治とカネ」の問題を取り上げ、エラソーに小沢に辞任を迫っていた生方の「カネ」は”潔白”なのか」と、エー?何の脈絡もなく民主党生方副幹事長の「政治とカネ」の話に一気にワープいたします。

 で、その後は延々、匿名の(金融業界関係者)や(経済ジャーナリスト)だのの伝聞情報を並べてさも「大物相場師」からの1000万円の生方副幹事長への献金が胡散臭いように書き連ね、最後のしめが「まさか、他人のカネを批判した先生にやましいことはありませんよね」と疑問文であります。

 何だよ根拠がまったくないただの伝聞記事じゃないか・・・

 ・・・

 orz・・・

 読者のみなさま、ごめんなさい。

 無理だ、まいりました。

 これでは場末のブログなどがかなう相手ではありませんでした。

 日刊ゲンダイよ、どのような逆境をも跳ね返すという、アナタは「無敵マリオ」メディアだったのですね。

 だってそうでしょう。

 解任撤回前はあれほど生方解任は「社会の常識」であり、むしろ生方続投は「そっちのほうが組織として問題」だと力説していたのに、小沢幹事長が解任を撤回したら翌日は「スッタモンダの末、民主党生方幸夫副幹事長(62)の続投が決まった」の一言でおしまい、そのうえ、生方批判は何の脈略もなく一気にワープして生方副幹事長への献金に関する伝聞情報を並べた上に「「まさか、他人のカネを批判した先生にやましいことはありませんよね」と疑問を投げかける、つまり完全に話題転嫁してしまっているのです。

 これでは議論が成立しません。

 「木走日記」の完敗です・・・orz



(木走まさみず)