木走日記

場末の時事評論

「ブログ市長」としつこい産経新聞記事を苦笑しながら検証する

 なんだかなあという4日付け各紙電子版速報記事から。

「マスコミいるから」と議会出席拒否 阿久根市
http://www.asahi.com/politics/update/0304/SEB201003040007.html
阿久根市長が市議会ボイコット「マスコミがいる」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100304-OYT1T00560.htm?from=main4
阿久根市長:「マスコミ入室している」議会出席を拒否
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100304k0000e040076000c.html
ブログ市長「傍聴席にマスコミいるから」と議会欠席 法に基づく要請も拒否
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100304/lcl1003041402001-n1.htm

 各紙報道によると、鹿児島県阿久根市竹原信一市長は4日、「傍聴席にマスコミがいる」ことを理由に市議会本会議をボイコットしたそうであります。

 「マスコミがいる」からと市長が市議会ボイコットですか、お馬鹿な話ではあります。

 この市長の行動は常軌を逸するもので批判されて当然でしょうが遠因はこのあたりにありそうですね、1月6日の産経新聞電子版記事から。

 ブログ市長防災無線で「マスコミが私を陥れようとしている」
2010.1.6 12:53

 ブログ市長として知られる鹿児島県阿久根市竹原信一市長が5日夜、市の防災行政無線を使った市民へのあいさつの中で、ブログの記述をめぐって障害者団体から批判された問題に触れ「マスコミが私を陥れようとしている」などと話していたことが6日、関係者への取材で分かった。
 複数の市議によると、無線を通じてあいさつが流れたのは5日午後7時35分から数分間。竹原市長が市政運営を報告する中で、ブログの記述について「文章を掲載して1カ月後にマスコミが騒いだ。陥れるためだ」と報道を批判したという。
 竹原市長は昨年11月、ブログに「高度医療が障害者を生き残らせている」などと書き込み、抗議を受けた。現在は「修正中」としている。
 市総務課によると、今回の無線使用は市民への年頭あいさつが目的で行政事務上の利用に当たるとしている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100106/lcl1001061255002-n1.htm

 防災無線を使っての新春のあいさつで市民に「マスコミが私を陥れようとしている」と訴えていたのでありますね。

 昨年11月に自身のブログに「高度医療が障害者を生き残らせている」などと書き込みしたことをマスコミに批判的に取り上げられたことを根に持ってのことのようですが、いやはやなんともお騒がせな市長さんなんであります。

 申し訳ないですがこの勘違いな市長さんの騒動はこれ以上取り上げるつもりはありません。

 ・・・

 それよりしかし、産経新聞さんのこの市長さんに対する記事タイトルがメディアリテラシー的にとっても興味深いのです。

 先に紹介した4日付けの記事もそうですが、過去、阿久根市竹原信一市長が問題を起こす度に、産経新聞さんはほぼ一貫して、他紙が「阿久根市長」と表記するところ、「ブログ市長」「ブログ市長」と見出しで連呼してますよね。

 過去1年でも20本以上の記事タイトルに「ブログ市長」と見出しを付けています。

ブログ市長「庁舎内で取材撮影を禁止」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100127/lcl1001271310001-n1.htm
ブログ市長」リコールも視野 鹿児島・阿久根で市民団体発足へ
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100126/lcl1001261916007-n1.htm
ブログ市長防災無線で「マスコミが私を陥れようとしている」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100106/lcl1001061255002-n1.htm
ブログ市長「今年は私のやり方を加速する」「従わぬ職員は辞めろ」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100105/lcl1001050904000-n1.htm 
【疑惑の濁流】ブログ市長が窮地に “権力乱用”で阿久根市「非常事態」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091231/lcl0912310702000-n1.htm
ブログ市長の問責、市議会が決議 障害者記述取り消しなど求め
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091218/lcl0912181241004-n1.htm
ブログ市長、給与明細はがしの職員にボーナス不支給
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091209/lcl0912091357004-n1.htm
【衝撃事件の核心】豚の頭も投げ込まれた壮絶選挙…“復活”ブログ市長は新たな「抵抗勢力」をロックオンした
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090607/crm0906071800012-n1.htm
ブログ市長】「職員に変わってもらう」 当選翌日に“宣戦布告”
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090601/trd0906011222008-n1.htm
ブログ市長】当選も立場変える市議おらず…議会との溝深く 
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090601/lcl0906010130002-n1.htm
【選挙】“ブログ市長”竹原氏が再選 鹿児島・阿久根市長選
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090531/lcl0905312201002-n1.htm
ブログ市長】出直し市長選 前職と新人が立候補 激戦必至
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090524/lcl0905241119001-n1.htm
【衝撃事件の核心】市長派が分裂?の急展開…「ブログ選挙」がもたらす破壊とカオスの現場
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090516/crm0905161301013-n1.htm
不信任でブログ市長失職へ 鹿児島・阿久根市臨時議会招集
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090417/lcl0904171026000-n1.htm
ブログ市長】異動の職員9人が格下げ理由の文書交付請求
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090402/lcl0904022019003-n1.htm
ブログ市長】任免権ない職員の異動強行
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090402/lcl0904021833002-n1.htm 
WBCで誕生した「抗日義士」、音痴なヒラリー長官にブログ市長の失墜…今週の「週末プレミアム」
http://sankei.jp.msn.com/etc/090328/etc0903280801000-n1.htm
ブログ市長】反市長派勝利で失職の危機
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090322/lcl0903222327005-n1.htm
ブログ市長】投票日に一時雲隠れ?マスク姿で投票
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090322/trd0903222158011-n1.htm
ブログ市長】「品格に欠ける」「改革のきっかけ」…地元では賛否両論 鹿児島・阿久根市議選
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090322/lcl0903220700000-n1.htm
ブログ市長が支持する市議候補明示のカード配布 市選管が中止指導へ
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090322/lcl0903220700000-n1.htm

 ね、読者のみなさん、こうして列挙して記事タイトル並べると、なんだかとってもしつこいでしょ(苦笑)

 もちろん「ブログ市長」という言葉を使用しているのは産経新聞だけではないのですが、ここまで執拗に記事タイトルに「ブログ市長」と付け続けているのは、産経新聞さんだけなんですよね、記事本数も含めて突出してます。

 特に以下のふたつの【衝撃事件の核心】シリーズの記事タイトルは東京スポーツ張りのイカシた香りを醸し出しています。

【衝撃事件の核心】豚の頭も投げ込まれた壮絶選挙…“復活”ブログ市長は新たな「抵抗勢力」をロックオンした
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090607/crm0906071800012-n1.htm
【衝撃事件の核心】市長派が分裂?の急展開…「ブログ選挙」がもたらす破壊とカオスの現場
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090516/crm0905161301013-n1.htm

 ブログ市長は新たな「抵抗勢力」をロックオンした

 「ブログ選挙」がもたらす破壊とカオスの現場

 なんだかなあ、読者のみなさまもお感じだと思いますが、ここまで「ブログ」「ブログ」と連呼されて、お騒がせ市長の騒動を報道されますと、

 「市長」が悪いのか「ブログ」が悪いのかよく分からなくなりそうであります。

 このように負のイメージの強いターゲットに別のターゲットを連結して報道続けることで結果的に読者にある種の印象操作をすることは、ナチスドイツの昔からよく使われてきた大衆洗脳手法であります。

 私は産経新聞のこのしつこいレッテル張りは嫌いではありません、ただブログに対して悪意があるのか知りませんが、場末ブロガーとしては少し迷惑だなと苦笑するしかありません。



(木走まさみず)