正月早々時の政権を無視続ける不思議な不思議な朝日社説
本年もよろしくお願いいたします。
さて、1月1日、1月3日、1月4日の大新聞社説が出そろいました。
【朝日新聞】
【1月1日】激動世界の中で―より大きな日米の物語を
http://www.asahi.com/paper/editorial20100101.html
【1月3日】地球文明―低リスク型へかじ切る年に
http://www.asahi.com/paper/editorial20100103.html
【1月4日】アジアとの共生―手携え人づくりの大循環を
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
【読売新聞】
【1月1日】「ニッポン漂流」を回避しよう 今ある危機を乗り越えて(1月1日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091231-OYT1T00717.htm
【1月3日】日本経済再生 デフレ退治に全力投球せよ(1月3日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100103-OYT1T00079.htm
【1月4日】鳩山外交 揺らぐ日米同盟を再建せよ(1月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100104-OYT1T00022.htm
【毎日新聞】
【1月1日】社説:2010再建の年 発信力で未来に希望を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20100101ddm002070039000c.html
【1月3日】社説:2010再建の年 政治 マニフェストの深化を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20100103ddm002070026000c.html
【1月4日】社説:2010再建の年 国際 核廃絶に踏み出す時だ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20100104ddm004070018000c.html
【産経新聞】
【1月1日】【年のはじめに】論説委員長・中静敬一郎 「国思う心」が難局を動かす
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100101/plc1001010226001-n1.htm
【1月3日】【主張】日本経済 「脱デフレ元年」めざせ
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100103/fnc1001030227000-n1.htm
【1月4日】【主張】安保改定50年 自らリスク担う国家を 日米同盟の空洞化を避けよ
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100104/plc1001040234001-n1.htm
【日経新聞】
【1月1日】社説 未来への責任(1) 繁栄と平和と地球環境を子や孫にも(1/1)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091231AS1K2500B31122009.html
【1月3日】社説 未来への責任(2) 外向いて行動する日本にこそ価値あり(1/3)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20100102AS1K2800102012010.html
【1月4日】社説 未来への責任(3) 若者が負担できる年金・医療 築き直せ(1/4)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20100103AS1K2800929122009.html
各紙ともお正月と言うことで特別構成で普段なら2本掲げる社説を一本に絞り連日掲げているわけですが、不肖・木走、全紙全文熟読させていただきましたが、正直、例年のことですが無駄に長い駄文(失礼)が少なからずと感じましたが読者のみなさまはいかがお感じでしょうか。
全社説URLを付けておきましたので興味ある読者は是非本文をお読みくださいませ。
さて、それはともかく、全国紙5紙3日分、合わせて15本の社説を一気に読みまして、どうにも朝日新聞の社説に、不思議な顕著な偏向を見い出してしまいました。
・・・
もう一度朝日社説のタイトルを確認します。
【朝日新聞】
【1月1日】激動世界の中で―より大きな日米の物語を
http://www.asahi.com/paper/editorial20100101.html
【1月3日】地球文明―低リスク型へかじ切る年に
http://www.asahi.com/paper/editorial20100103.html
【1月4日】アジアとの共生―手携え人づくりの大循環を
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
それぞれに朝日なりの主張は垣間見えます。
各社説結語から。
【1月1日】激動世界の中で―より大きな日米の物語を
むろん、同盟の土台は安全保障にある。世界の戦略環境をどう認識し、必要な最低限の抑止力、そのための負担のありかたについて、日米両政府の指導層が緊密に意思疎通できる態勢づくりを急がなければならない。日米の歴史的なきずなは強く、土台は分厚い。同盟を維持する難しさはあっても、もたらされる利益は大きい。「対米追随」か「日米対等」かの言葉のぶつけ合いは意味がない。同盟を鍛えながらアジア、世界にどう生かすか。日本の政治家にはそういう大きな物語をぜひ語ってもらいたい。
【1月3日】地球文明―低リスク型へかじ切る年に
ベーコンが未完の寓話をどのように終えようとしていたのか。今となってはわからないが、こう考えてはどうだろう。「君臨」から「共生」へと頭を切り替え、物語の続きを記していくのが21世紀だ、と。文明を低リスク型へと変えるため、歴史の歯車を大きく動かしたい。
【1月4日】アジアとの共生―手携え人づくりの大循環を
アジア融合は将来「共同体」と呼ばれるような姿を結ぶかもしれない。大切なのは、そこへの道筋を支える経済や社会の下部構造を築く営為である。米国との政治的なきずなを大切にしつつ、アジアという大海の中で生き抜く訓練を重ねる。そうした日本人の中から、次の優れた世代を生み出すことができるだろう。中国は今年には国内総生産(GDP)が世界2位になる。だが、3位になる日本を悲観すべきではない。中国を含むアジアの跳躍に日本の人と技術と文化を生かすことで、共生と新たな成長への道を切り開きたい。
この3本の朝日社説ですが、驚くべき事に鳩山政権に対する具体的な批判・評価が完全に欠落しているのです。
3本の社説では「鳩山」という固有名詞は1月1日社説で1カ所現出しているのみです。
当該箇所を抜粋。
とくに日本の政治には、同盟の土台である軍事の領域や負担すべきコストについて、国民を巻き込んだ真剣な議論を避けがちだった歴史がある。鳩山政権のつたなさもあって、オバマ政権との関係がきしんではいるが、実は、長期的な視野から同盟の大事さと難しさを論じ合う好機でもある。
それだけではありません、驚くべき事に政権与党である「民主党」については3本の社説で一カ所も触れていません。
他の新聞社説との対比する客観的資料を提示して朝日社説の特異性を検証してみましょう。
それぞれ各紙の1月1日から1月4日までの間で、キーワードの社説上の出現回数を新聞社別にカウントしてみました。
「鳩山」
朝日社説 1回
読売社説 18回
毎日社説 7回
産経社説 9回
日経社説 7回「民主党」
朝日社説 0回
読売社説 4回
毎日社説 7回
産経社説 5回
日経社説 2回
このように現政権をほぼ完全無視した社説を新年早々連発した朝日社説でありますが、当然の事ながらその内容は具体策無き寓話のような理想論が並ぶわけですね。
そりゃそうです、現政権をここまで無視すれば理想論的論説しか展開できません。
現実論ではなく「物語」なのです。
1日社説では、日米安保に関しては「同盟を鍛えながらアジア、世界にどう生かすか。日本の政治家にはそういう大きな物語をぜひ語ってもらいたい」と「大きな物語」というわかったようなわからんような結び方になるわけです。
2日社説でも、「「君臨」から「共生」へと頭を切り替え、物語の続きを記していくのが21世紀だ」と、またしても「物語」で論説を締めています。
4日社説では「物語」こそ現出しませんが「中国を含むアジアの跳躍に日本の人と技術と文化を生かすことで、共生と新たな成長への道を切り開きたい」と理想論でまとめています。
おかげで国民の最大関心事である「年金」や「医療」については1行も触れることができていません。
「デフレ」と言う言葉も1回も現出しません。
「年金」「医療」「デフレ」というキーワードがこの間で1回も登場しないのは勿論5大紙の中で朝日社説だけです。
・・・
鳩山民主党政権の評価をしないでいや評価どころかほぼ完全に無視して、箸にも棒にもならない(失礼)理想論を連発するその意図は何なのでしょうか。
これは私の憶測ですが、これは朝日新聞の鳩山政権への間違った愛情表現ですね。
つまりこうです。
支持率が急落し始めた鳩山政権に元旦社説から触れるとすると、他紙と同様批判せずにはすまない。
評価しにくいならばいっそ現政権にはいっさい触れない理想論でまとめてしまおう。
つまり武士の情けのような「愛」を持って朝日社説は鳩山民主党政権を一連の正月社説で完全無視したのではないでしょうか。
・・・
正月早々、時の政権を無視続ける不思議な不思議な朝日社説なのでした。
(木走まさみず)