木走日記

場末の時事評論

「団塊の世代」を敵にまわす施策は誰も掲げれない〜この国の社会保障制度の世代政策原則(Generational Policy)はすでに破綻している

 3日付け産経新聞記事から。

【09衆院選】民主・鳩山代表、神戸で意気込み マニフェストは“完売”
2009.8.3 22:23

自らマニフェストを配り、支持を訴える鳩山由紀夫民主党代表=3日午後、神戸市中央区(彦野公太朗撮影)
 神戸市中央区のホテルで3日、開かれた民主党マニフェスト政権公約)説明会。鳩山由紀夫代表が熱弁をふるった後に、街頭で有権者にパンフレットを手渡すパフォーマンスを見せると、計3000部があっという間になくなるなど関心の高さをうかがわせた。
 説明会では約350人が参加。鳩山代表は「税金をより有効に使えば、消えた年金を消えない年金にすることもできる。財源もきちんとうたった、誇りを持てるマニフェストです」と力説すると、会場からは大きな拍手がわいた。
 参加した兵庫県加古川市の無職男性(61)は「国民の間に『このままの自民党政治でいいのか』という危機感が広がる中、鳩山さんの意気込みは伝わってきた」と話した。
 また、市内中心部の三宮センター街鳩山代表マニフェストの配布を始めると通行人が殺到。1000部が20分で“完売”状態になった。
 神戸市中央区の主婦、緒方栄子さん(71)は「やれることからやっていくという段階的な政策なので、実現しそう。子供が増えるのは心強い」と評価した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090803/elc0908032224014-n1.htm

 「鳩山由紀夫代表が熱弁をふるった後に、街頭で有権者にパンフレットを手渡すパフォーマンスを見せると、計3000部があっという間になくな」ったそうですが、「鳩山代表は「税金をより有効に使えば、消えた年金を消えない年金にすることもできる。財源もきちんとうたった、誇りを持てるマニフェストです」と力説すると、会場からは大きな拍手がわいた」のだそうです。

 民主党マニフェストなどタダなんですから“完売”て表現はどうかなと思いますが、それはさておき気になったのは「税金をより有効に使えば、消えた年金を消えない年金にすることもできる」(鳩山代表)との発言。

 原簿がないですから「消えた年金」の一部は永遠に「消えない年金」にはできませんので、そこんとこよろしくです。

 その理由など詳しくは2年前にシリーズで当ブログにて検証しております、ちょっとネットでも話題にしていただきました、関心のある読者は是非以下のテキストなどご覧くださいませ。 

■[社会]不明年金問題社会保険庁による「人災」〜5000万件というとほうもない数の「名寄せ」の失敗を放置してきた社会保険庁
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070526/1180137911
■[社会]原簿を破棄せよというおバカな命令を下したのは社会保険庁自身
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070601/1180687074
■[社会]原簿を完全にきれいに破棄した自治体数は284〜社保庁自体の民間では考えられない杜撰な体質
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070604/1180924449
■[社会]政府に代わって「宙に浮いた年金記録5000万件」不払い金額総額の試算をしてみる
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070606/1181100250
■[社会]年金不明問題:「自爆」発言で労組も政府もだめだこりゃ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070608/1181276510
■[社会]社会保険庁とNTTデータとの「特別の事情」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070611/1181541308
■[社会]不明年金問題:問われるシステム開発主幹会社NTTデータの責任
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070615 

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 まあ社保庁の年金管理の杜撰さには我々国民としては呆れるばかりなのではありますが、問題の本質は杜撰な管理という表層的問題だけではなく、年金を含めたこの国の社会保障制度そのものがすでに深刻な制度疲労を起こしていてこのままでは近い将来破綻してしまうだろうことであります。

 少し時間経過してますが7月11日付けの日経新聞記事から。

社会保障の生涯負担、世代間の差深刻に 内閣府研究所試算

 国民負担の世代間格差が深刻になりそうだ。生涯を通じて負担する税金などに対し、社会保障の受益がどれくらいかを示す「生涯純負担」を内閣府内で試算したところ、生まれたばかりかこれから生まれる「将来世代」は1億円以上の負担超になりうることがわかった。財政赤字のツケが集中的にのしかかる前提での試算だが、世代間の極端な不公平をなくす議論が急務といえそうだ。
 試算は内閣府経済社会総合研究所の研究員論文として公表された。「世代会計」という手法を使い、世代ごとの負担と受益の関係を算出。「負担」は税金や社会保険料の合計、「受益」は年金や医療、介護、失業給付といった社会保障給付を合計し、差額の純負担額を計算した。今の社会保障制度や財政構造が続くことを前提に、2006年度以降生まれを生まれ年によらず「将来世代」とひとくくりにとらえて、世代間格差を可視化するために数値化した。(11日 09:51)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090712AT2M1003R10072009.html

 この地味な記事ですがネット上では一部を除いてあまり話題にはなりませんでしたが、内閣府経済社会総合研究所の研究員論文によれば、「将来世代」は1億円以上の負担超になりうるという、これは社会保障制度としては破綻を意味するであろう、戦慄の試算結果なのであります。

 本日はこの深刻なこの国の社会保障制度について、この興味深い研究論文を通じて徹底検証・考察いたしましょう。

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内閣府経済社会総合研究所の研究論文を徹底検証する

 内閣府経済社会総合研究所のサイトはこちら。

内閣府 経済社会総合研究所
http://www.esri.go.jp/index.html

 で、日経に記事として取り上げられた研究員論文はこちら。

世代別の受益と負担
社会保障制度を反映した世代会計モデルによる分析〜
【本文】
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis220/e_dis217a.pdf
【図表】
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis220/e_dis217b.pdf

 ちょっとボリュームもあり統計モデルの解析手順など専門的説明が多く一般の読者には読みづらいレポートになっていますが、興味があり時間に余裕がある読者は是非ご一読ください、たいへんよい研究だと思います。

 さて、この分析は「世代会計モデル」なるものを用いて将来の予測を行っているのですが、簡単に理論武装しておきましょう。

○世代会計とは?

世代会計とは、現在の財政や社会保障等を中心とする政府の支出・収入構造と、今後実施されることが明らかにされている政策(例えば、年金支給年齢の引き上げ、医療保険の自己負担率引き上げなど)を、前提とした場合、どの世代が得をしどの世代が損をするのか、定量的に評価する枠組みで、1991年に Auerbach,Gokhale and Kotlikoff が"Generational Accounts: A Meaningful Alternative to Deficit Accounting" Tax Policy and the Economy で提唱したものです。Kotlikoff たちは、伝統的な「政府財政赤字」概念に対して、新古典派経済学の視点から新たな枠組みを提示しました。

もう少し具体的に言うと、世代会計とは、現役世代や将来世代の負担を前提として成り立っている公的年金制度や医療制度等の政府の経済活動を世代間の損得勘定から評価するための手法であると言えます。

すなわち、世代会計の根本には、政府の異時点間の予算制約式があり、無限の将来において政府を清算する場合(もしくは、政府が破産しないで永遠に存続できるとした場合)、将来世代の債権もしくは債務額がいくらになるかを現時点の金額で評価するものです。

 そのため、政府の異時点間の予算制約式、つまり、政府の支出・収入を、政府からサービスを受け取り、政府活動に伴う経費の負担を行う個人の側から再解釈することで、個人と政府の間の受益・負担関係を明らかにするものです。

 具体的には、税・社会保険料等は政府が個人から徴収するものですから負担(burden)、年金・医療等の給付(移転支出)は個人が政府から受け取るものですから受益(benefit)となります。

 この負担から受益を引いたものを純負担額(世代勘定)であり、それを年齢別に推計したものが世代会計です。

世代会計入門/Generational Accounting より、抜粋引用
http://homepage3.nifty.com/~~shimasawa/generationalaccounting.htm

 要するに、世代会計とは、世代別にその人の生涯において政府に払うお金(税金、年金、社会保険等)と政府から貰うお金(年金・医療等)を計算して、世代別にそのプラマイ損得を明らかにするものであります。

 負担から受益を引いたものを純負担額(世代勘定)といいますが、当然ながら理想は各世代の生涯純負担がフラットであり負荷が平等であることです。

 「世代会計」概念の確立者であるKotlikoff (1993)は、この理想を世代政策原則(Generational Policy)と呼んでます。

 論文【本文】の当該箇所を4ページ目から抜粋しておきましょう。

(前略)

 ・・・政府の非移転支出及び政府純金融債務残高を固定して考えると、現存世代の生涯純負担が減少すると必ず将来世代の生涯純負担が増加しなければならず、逆に、将来世代の生涯純負担を減少させるためには現存世代の生涯純負担を増加させなければならない。そこで、Kotlikoff (1993)は、基準年時点で0歳の現存世代の生涯純負担と基準年時点でまだ生まれていない将来世代の生涯純負担とが同一である状態をもたらす政策が、世代間の公平という観点から見てもっとも望ましい政策であるとし、これを世代政策原則(Generational Policy)と呼んだ。この原則によれば、例えば、0歳の現存世代の生涯純負担を将来世代の生涯純負担が上回る場合には、世代間で不公平な政策が現時点で行われていることとなり、世代間の受益と負担のバランスを回復するため、現存世代の負担を重くし(あるいは受益を減らし)、将来世代の負担を軽くする(あるいは受益を増やす)政策変更を実施することが望ましいということになる。

(後略)

 ここで補足ですが、世代会計モデルによる分析では基準年を決めて算出しますが、その基準年に生まれた世代を「0歳の現存世代」、また基準年にまだ生まれていない世代のことを「将来世代」と呼びます。

 ちなみにこの論文『社会保障制度を反映した世代会計モデルによる分析』では、2005年を基準年にしています。

 さてこの研究の結果は計算に与えたパラメータが多岐に渡るため複雑ですが、日経記事に取り上げられたものは、【図表】の44ページにある【付表4−2 世代別の受益・負担と所得】に示されています。

 以下に表を転記します。

付表4−2 世代別の受益・負担と所得     (単位:千円)

2005年現在の年齢 生涯純負担 将来分(純負担) 将来分(負担) 将来分(受益) 過去分(純負担) 過去分(負担) 過去分(受益) 生涯所得 生涯純負担率
0 35,108 35,108 94,174 59,066 0 0 0 210,486 16.7%
5 31,969 32,883 92,122 59,239 -913 0 913 212,934 15.0%
10 28,976 30,529 90,295 59,765 -1,553 0 1,553 216,325 13.4%
15 26,018 27,998 88,357 60,359 -1,980 0 1,980 220,416 11.8%
20 22,290 24,686 85,569 60,883 -2,396 0 2,396 225,061 9.9%
25 19,347 19,639 79,472 59,833 -292 4,340 4,632 231,152 8.4%
30 18,623 14,834 73,203 58,369 3,789 10,653 6,863 239,844 7.8%
35 20,124 10,274 66,928 56,654 9,850 18,885 9,034 251,732 8.0%
40 21,230 4,662 59,757 55,095 16,569 28,263 11,694 265,738 8.0%
45 22,827 -2,635 51,317 53,951 25,462 40,486 15,024 283,617 8.0%
50 24,326 -11,151 42,204 53,354 35,476 53,528 18,052 304,957 8.0%
55 26,501 -19,721 33,195 52,916 46,222 65,623 19,401 322,570 8.2%
60 24,596 -29,447 24,845 54,291 54,042 75,656 21,614 328,876 7.5%
65 16,938 -36,322 19,280 55,602 53,260 80,915 27,655 341,915 5.0%
70 11,708 -34,306 15,270 49,577 46,014 82,338 36,324 340,742 3.4%
75 5,650 -29,506 12,011 41,517 35,156 82,258 47,102 339,058 1.7%
80 -4,977 -23,456 9,050 32,505 18,479 78,735 60,256 326,833 -1.5%
85 -13,770 -15,859 6,467 22,326 2,089 73,772 71,683 304,368 -4.5%
90 -19,889 -7,049 4,189 11,239 -12,840 68,821 81,661 284,805 -7.0%
将来世代 107,947 210,089 51.4%
世代間不均衡 207.5%

(注)世代間不均衡=(将来世代の生涯純負担-0歳世代の生涯純負担)/0歳世代の生涯純負担

 表の見方ですが1行目の2005年現在0歳児の欄を例に説明いたします。

 この世代の国への「生涯純負担」は35,108つまり3510万8千円の持ち出しになります。将来分の負担が94,174つまり9417万4千円、受益が59,066つまり5906万6千円、差し引きが3510万8千円となるわけです。

 ちなみにこの世代の予想される「生涯所得」は210,486つまり2億1048万6千円であります。

 ですのでこの世代の「生涯所得」の中で「生涯純負担」の占める割合つまり「生涯純負担率」は16.7%となるわけです。

 さて注目したいのは、各世代の「生涯純負担」の額です。

 一目して行が下の世代(つまり年齢が増すほど)にいくほど負担額が軽減される傾向にあり、例えば45歳では22,827つまり2282万7千円であり、さらに80歳以上はマイナスつまり国から受け取る方が多くなっていることがわかります。

 世代間の格差は顕著であり、生涯純負担がフラットであり負荷が平等であることを理想とする世代政策原則(Generational Policy)が破綻していることが見て取れます。

 そしてこの表の下から2行目にある将来世代つまり2005年にはまだ生まれていない世代の「生涯純負担」および、「生涯純負担率」に注目してみましょう。

 「生涯純負担」は実に1億794万7千円に及び「生涯所得」が2億1008万9千円ですから、「生涯純負担率」は51.4%とになっております。

 これは何を意味するかは最終行の世代間不均衡の数字に表出されています。。

 つまり、この論文の推測によれば、2006年以降に生まれた世代は2005年に生まれた世代に比べて2.075倍も負担増になることを示しています。

 その2005年生まれは実は現存世代の中で16.7%と最も負担が重いにも関わらず、さらにその2倍を越える負担が将来世代にもたらされるというわけです。

 ・・・



●この国の社会保障制度の世代政策原則(Generational Policy)はすでに破綻している

 検証したとおり、この国の社会保障制度の世代政策原則(Generational Policy)はすでに破綻しています。

 これを格差と呼ぶならばまさに世代間格差は急速に拡大しつつあります。

 なぜ破綻したのか、ひとつにはこの国の社会保障が年金など「賦課方式」を取ってきたことがあげられます。

賦課方式

賦課方式とは、現役世代から保険料を徴収して、高齢者に年金を支払うという仕組み。

日本の年金の仕組みは、三角形の人口ピラミッドを前提にして、実質的に賦課方式のシステムをとってきた。しかし、少子高齢化社会の到来により、人口構成の前提が代わり、年金財政の問題や、若い世代は保険料の負担が増加して受給額が減少するという世代間の不公平の問題などが浮上してきた。これに対して、積立方式は、自分が年金として支払った保険料分を積み立てて、支払った本人が受け取るという方式。

http://kw.allabout.co.jp/words/w000999/賦課方式/

 「現役世代から保険料を徴収して、高齢者に年金を支払うという仕組み」ですが、「三角形の人口ピラミッド」が前提とありますが、現在日本で進行している少子高齢化に耐えられる制度ではないことは明らかです。

ここに総務省統計局の『平成18年10月1日現在推計人口』があります。

平成18年10月1日現在推計人口
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2006np/index.htm

 このページにある人口ピラミッドをご覧いただければ、現在の日本の人口ピラミッドはピラミッドというよりいびつな「ひょうたん型」(団塊団塊ジュニアにピークが2つあります)の形状になっていることが見て取れます。

 もう少しわかりやすい数字をやはり政府の統計資料から拾いましょう。

2 年齢別人口
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/2006-2.pdf

 このファイルの5ページ目に『表5 年齢3区分別人口の割合及び年齢構造指数(昭和25年〜平成18年)』がありますが、この表によれば、昭和25年には年少人口、生産年齢人口、老年人口の割合がそれぞれ35.4%、59.7%、4.9%でありました。

 生産人口12人が一人の老人をささえる割合でした。

 これが平成18年には年少人口、生産年齢人口、老年人口の割合がそれぞれ13.6%、65.5%、20.8%ととなっております。

 生産人口7人で2人の老人を支えなければならない割合に変化しています。

 また次代の生産人口を担う年少人口の割合は35.4%から13.6%へと減少しているのに、支えるべき老人人口は4.9%から20.8%と増えており、まさに急激な少子化・高齢化が進行していることが数字で読みとれます。

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●与党も野党もこの問題では思考停止状態〜「団塊の世代」を敵にまわす施策は誰も掲げれない

 今回検証した政府機関の研究論文ですが、その「まとめ」には、この状況を打破するためには「少子化対策」が有効であること、また消費税UPを含めた増税が有効であることなどが上げられています。

 「少子化対策」が有効であることに異論はありませんが、結論として世代間の格差を是正するのに単純に消費税UPを含めた増税に短絡することは、私は違和感があります。

 ただでさえ所得が低い若年層に逆進性がある消費税UPで追い打ちを掛けることは、各世代の負荷が平等であるべきとした世代政策原則(Generational Policy)の理念に反します。

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 はっきりいって、この世代会計では、ゼロサムゲーム的な性質を持っており、現存世代の生涯純負担が減少すると必ず将来世代の生涯純負担が増加しなければならず、逆に、将来世代の生涯純負担を減少させるためには現存世代の生涯純負担を増加させなければならない理屈になります。


 ここは消費税などの逆進性の伴う税ではなく、今の日本人で世代会計の恩恵を受けている「団塊の世代」を含む60才以上の高齢者を中心に負担バランスを調整すべきです。

 彼らが日本の貯蓄の大半を握っているのに、若い世代から絞った税金を支払うどころか受取るばかりなのは、納得がいきません。

 そしてもっともかわいそうなのは「将来世代」つまり、これから日本に生まれてくる子供たちです。

 同じ日本人なのに、社会保障ひとつとっても世代間で見ればここまで耐え難いほどの不均衡があるのを放置していいはずはありません。


 ・・・

 富裕層の老人から集中して国に還元するには、相続税を高めるなどの特効薬を含めいろいろなやり方が考えられます。

 ところがしかし、実は与党も野党もこの問題では、思考停止状態です、共犯者に成り下がっています。

 なぜならこの問題に触れることは「団塊の世代」を敵にまわすからです。

 この世代間格差を是正するには特に60歳以上の高齢者の中の特に富裕層に負担を求めることは避けて通れませんが、団塊の世代を含むこの層は、各党にとり全世代の中で最大の有権者数にあり、彼らの不評を買う政策をとなえれば選挙でしっぺ返しを食らうためにどの政党も大声でそれを主張することを躊躇してしまっています。

 一方犠牲者である若年者層は投票率も低いし、「将来世代」はそもそも選挙権を持っていません。

 ・・・

 このままでは私たちは「将来世代」に信じられない負担を負わすことになります。

  

(木走まさみず)